泉健太代表は2月28日、「持続可能な社会ビジョン創造委員会」の一環として、「若者と政治の行方―政治に関心がないと言われる一方で―」をテーマに同委員会委員で高校3年生の井上紗彩さんと対談。コーディネーターは京都芸術大学教授の本間正人さんが務めました。第1回委員会に続き、一般社団法人グラフィックファシリテーション協会代表理事の山田夏子さん、伊澤佑美さんも参加し、二人の対談の内容を次々と躍動的に描き出してくれました(写真上は、左から山田さん、泉代表、井上さん、伊澤さん)。

 静岡市の出身の井上さんは、高校1年生時の2019年度JCI  JAPAN少年少女国連大使(※)に任命され、スイス・スウェーデンで10日間のSDGs研修を経験。持続可能社会を肌で実感し、以後SDGsの普及活動に積極的に取り組んでいます。高校2年生のときには、学校の垣根を越えて共に話せるコミュニティを目指し、しずおか高校生団体『カケる』を設立、オンラインイベントなど場づくりをしてきました。

 「私は今日、なぜこの場でお話をしているのか。ビジョン委員会に若者、子どもはどれくらい必要とされているのか」。こう切り出した井上さんは、自身のインスタグラムで「政治」へのイメージを尋ねたところ、政治への関心が比較的高いと思われる人たちからも「難しそう」「利権」「変わらないもの」「声に出せないもの」といった回答が寄せられたと紹介。「若者は政治に関心がないのか。大人の事情で糸口を隠してしまっている可能性もあるかもしれない」と提起し、「2022年度からは高校で「公共」の授業が始まるなか、主権者教育はさらに広がり、若者は政治への接点が今よりも増えていくことが予想される。だからこそ、政治家の皆さんには『政治には意味がある』と声を大にして伝えてほしい」「未来の持続可能性を担うのは私たちだと思う。教育政策を通じてでも、SNSを通じてでも、政治家の皆さんにはさらに子どもや若者とのつながりを増やしてもらいたい。1番伝えたいのは、『私たちに語りかける政治であってほしい』ということ」などと訴えました。

 井上さんは、高校生にとっての「当たり前」は学校社会で形成されていくと思うと述べ、その高校が受験によって選抜された結果であり、小学校や中学校と比べて多様性が失われ、閉鎖された社会になっていると指摘。「教室は未来の社会の縮図だと思っている。多様な人と出会える教育機会が公平に提供されていなければならない。そのためには教育関係予算の倍増や、授業料無償化、適用学習、教師の負担軽減を実現してほしい」と求めました。

 「私はすべての若者の代弁者になることはできない。恵まれているだろう私が困っている若者について知った顔をして語っても意味がない。さらに子どもや若者を交えた意見交換が必要だと考えている」とも主張。「若者版ビジョン創造委員会」の設置など具体的な提案を挙げました。

 井上さんのプレゼンテーションを受け、「素晴らしい」と絶賛した泉代表。「『若者版ビジョン創造委員会』やりましょう」と即決しました。

 泉代表は、声を聴くこと、対話の重要性を強調するとともに、若者をはじめ多くの人が政治に関心を持つことでボトムアップの政策づくり、施行されている法律についても運用上の課題を共有し見直しの議論を進めることができると話しました。また、自分たち政治家と若者とでは使っているツールも違うとして、どうしたら伝わるのかと質問。井上さんは、政策や、どういう考えをもっているのかを柔らかく、もっと親しみやすくSNSで提示してもらえると、もう少し分かりやすくなるのではないかと話し、「立憲民主党はボトムアップを意識していて、『立憲フェス』であったり若者の意見を聞こうという姿勢が強いのかなということを調べていくなかで感じた。でも届いていない。すごくもったいないと思った。もっと伝えてほしい、アピールしてほしい」と党を激励。「若者が参加することが(政治が)お硬いところから抜け出せないことや、発信の仕方に大人と子どもでずれがあるところの間を埋めていくことになる。ただ若者の意見を聞けるだけでなく幅広い世代に向けた政治になると思う」と語りました。

 泉代表は、最後にあらためて「若者版ビジョン創造委員会」の設置を約束。「(井上さんから言及のあった)気候変動やLGBTQ(性的マイノリティ)を含めて、あらゆる社会課題について意見を聞きたい。具体的な政策についてもどんどん声を聴きたい」と、力を込めました。

※子ども達が国際社会の抱える課題や、日本と各国の生活・歴史・文化の違いを理解し、海外での交流を通して、国際化を進めていく次世代の担い手として成長することを目指す、(公社)日本青年会議所が主催する事業