西村智奈美幹事長は3月18日、「持続可能な社会ビジョン創造委員会」の取り組みの一環として、同委員会委員でコーディネーターを務める、京都芸術大学教授の本間正人さんと党本部で対談。「持続可能な社会の教育」について意見を交わしました。「学習学」を提唱している本間さんは、アクティブ・ラーニング(※)を25年以上実践、英語の教師やテレビ番組のコメンテーターとしても活躍。「権力モデルではなく学習モデルの未来をつくっていくのが私のアンビション」だと話します。

※能動的学修のことを差し、学習者(児童、生徒、学生等)が受け身ではなく、自ら能動的に学びに向かうよう設計された教授・学習法のこと。

 本間さんはまず、「人間は『学ぶ存在』で学習する本能を持っているにもかかわらず、学校という社会装置があまりにも幅をきかせてきたために、『学ぶ=学校で教わる』という誤解が蔓延している。自分が学ぼうと思って興味・関心が喚起された楽しい学びは残るが、無理やりやらされたことは残らない」などと述べ、持続可能な学びについて解説しました。

 西村幹事長はこれを受け、学校での「主権者教育」を例に、「もっと自発的に学んでいくことを優先させるべき。生涯学習という言葉もあるが、多様な学び、自発的な学びが当たり前になるといいと思っている」と発言。「学校での関係も上下関係や、型にはまったものが多く、『こうでなければいけない』となる。不登校などいろいろな問題も、教育が画一的なものになっていることの証左ではないか」と述べました。

 本間さんは、学校教育がいまだに知識のインプット中心で、個人主義の競争原理、同質性を前提としている画一的なものになっていると指摘。「教師、教育側が用意した正解があって、そこに合っているか、逸脱しているかを試験で評価し、『評価する人』『評価される人』という権力関係が生まれている。テストで評価するのではなく、お互いにどう感じたのか、どう考えるのかを言葉にするリフレクション(振り返り)をシェアしていくことが大事。社会に出れば一人で完結できる仕事はほとんどなく、誰かとの協力でやらなければいけない。持続可能な学びとは、アクティブ・ラーニングのような、さまざまな体験を通じて、一人ではなく、チームで力を合わせようというもの」だと説きました。

 西村幹事長は、立憲民主党の教育政策の一例として、少人数制学級制や教員の待遇改善・人員の拡充、学校給食の無償化などを挙げ、「すぐに結果が見えるものではないが、10年、20年先の未来への投資として予算を振り向けるべき」だと話しました。

 本間さんは、持続可能な社会の教育として特に、AIやロボットと共生していくなかで、新しいものを生み出す力が重要だと強調。「AIはすでにあるものを加工することは得意だが、オリジナルものをつくることはできない。知識の有用性に関する構造が変わっていくときに、新しいものを生み出す力がすごく大事。人間関係を結び、深められること、物事や体験に意味を見出す力、やってみようとチャレンジする力を持っているのは人間だけ。人間しかできないことに教育がウエイトを置いていくべきだと考えている」と話しました。

 本間さんが今の「最終学歴」ではなく、社会人として機能していくために学び続けていく「最終学習歴の更新」が社会ビジョンとして不可欠だと話すと、西村幹事長もこれに同調。「教育だけでなく先に出ていく大人の社会、社会人になってからの世界が、多様な子どもたちが育ってきた多様な生き方があって、多様な世界が受け入れられる大人の社会を同時に作っていかなければいけない。競争していればいいという数十年間の社会の在り方、それを作り出してきた法律や制度は直していかなければいけないことがたくさんあると思う。一人ひとりの命、未来を守っていくことを貫いていきたい」と力を込めました。