参院本会議で4月1日、岸田総理による「G7首脳会合に関する報告」とそれに対する質疑が行われ、福山哲郎議員は、(1)中国・アジア諸国への働きかけ(2)ウクライナ難民支援について(3)ロシアとの経済協力等(4)北方領土交渉(5)核共有(6)自衛隊の敵基地攻撃能力(7)緊急経済対策――等について、岸田総理にただしました。

■中国・アジア諸国への働きかけ
 

 福山議員は冒頭、「ロシアのウクライナへの侵攻は国連憲章違反であり、民間人や病院等への攻撃はジュネーブ条約違反であり、いかなる理由があっても許されるものではない」と厳しく批判しました。

 岸田総理が、各国首脳との会談し、首脳声明を発出したこと、また追加制裁や1億ドルの緊急人道支援を表明したことを評価した福山議員は、「G7では中国のロシアへの支援に懸念が表明された。日本としてどう中国に働きかけていくか。同様にアジア諸国への働きかけについてもどう進めていくか」と質問しました。

 岸田総理は、「さまざまなレベルで、G7をはじめとした関係国と緊密に連携しながら働きかけていく」と答えました。

■ウクライナ難民支援について

 ウクライナ避難民への支援について、「どのようなスキームを作るのか早急に詰めてほしい」「人道支援について、日本のNGOにも拠出をお願いしたい」と求めました。

 岸田総理は、「政府の対策会議で、一時滞在場所の提供、生活費、医療費の支給や日本語教育、就労支援など、具体的な支援策を決定した」「日本のNGOを通じた支援も重視している。1億ドルの緊急支援にも含まれている。今後とも日本のNGOと緊密に連携しながら寄り添った支援を実施していく」と述べました。

■ロシアとの経済協力等

 ロシアに対する経済協力について、「サハリンプロジェクトからの撤退について、G7の一員として足並みを揃えるべきではないか。また、ロシアが天然ガスのルーブル建て払いを要求したことに、日本政府はどう対応するのか」とただしました。

 岸田総理は、「サハリン1、2は、エネルギー安全保障上重要なプロジェクト。G7でも各国の事情に配慮するとなっていることから撤退はしない。天然ガスのルーブル建て払いについては、ロシアからの要求は拒否する」と、それぞれの政府の方針を示しました。

 

■緊急経済対策

 緊急の経済対策について福山議員は、「予備費で対応するのではなく、補正予算を編成し、迅速に国民生活と企業活動を支える対策を講じるべき」と提案しました。

 岸田総理は、「3月29日に、原油価格物価高騰等総合緊急対策の策定を指示した。新たな財源措置を伴うものには、本予備費の趣旨に該当しているかどうかなど、個別具体的な政策の内容に基づいて判断する」と答え、補正予算を編成するかどうかには言及しませんでした。


 最後に福山議員は、国際政治学者の高坂正堯氏の著書から一文を引用し、不戦への努力をともに進めようと訴え質問を締めくくりました。