参院本会議で4月27日、「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案」の趣旨説明と質疑が行われ、宮口治子議員が、(1)再生可能エネルギーを最優先とした非化石エネルギーへの転換(2)レアメタルのリサイクルの現状(3)電力の安定供給確保(4)再エネ導入拡大、電力の安定供給確保に向けた送電網の整備(5)蓄電池の技術開発支援――等について取り上げ、政府の見解をただしました。

(1)再生可能エネルギーを最優先とした非化石エネルギーへの転換

 立憲民主党は、生活安全保障を掲げ、「自然エネルギー立国で日本を元気に」することを政策として掲げており、原子力に依存しないカーボンニュートラルの実現を目指すこと、自然エネルギー電力を2050年に 100%にすることなどを柱にしていると述べ、原子力を含む「非化石エネルギーへの転換」ではなく、「再生エネルギーへの転換」に強く舵をきるべきと提案しました。萩生田経産大臣は、再エネだけで全てのエネルギーを賄うことは難しいとの認識を示し、「原子力、水素、アンモニア、CCUS、あらゆる選択肢を追求しカーボンニュートラルの実現を目指す」と答弁しました。

(2)レアメタルのリサイクルの現状

 経済安全保障の観点からも、レアアース・レアメタルを、できるだけ国内で確保する仕組みを作ることは、喫緊の課題であるとの認識を示した上で、レアメタルのリサイクルを進めるための課題をどう認識し取り組んで行くのかをただしました。萩生田大臣は、これまでも官民一体で取り組んできており、「引き続き技術開発を積極的に後押しすることでレアメタルのリサイクル等に取り組む」と述べました。

(3)電力の安定供給確保

 本年3月21日に史上初となる電力需給ひっ迫警報が発令される事態になったことなどから、電力需給のひっ迫という非常事態を回避するため、電力の安定供給確保にどう取り組むのかをただしました。萩生田大臣は、「改正案の電源の事前届出制も活用しつつ、国全体として必要となる供給力の確実な管理を実現していく」と述べ、これまでの答弁を繰り返しました。

(4)再エネ導入拡大、電力の安定供給確保に向けた送電網の整備

 送電網の整備について、日本全体での最適を考える必要があるため、事業者任せにすることなく、国が主体となって取り組む必要があるのではないかと述べ、どのように取り組む方針かをただしました。萩生田大臣は、2022年度中にマスタープランを策定し計画的に送電網の整備をすることや、地域間連系線や周波数変換設備などの増強を具体的に進めており2027年度中に完工予定だと答弁しました。

(5)蓄電池の技術開発支援

 蓄電池については、技術開発の余地が残されており、日本企業が開発をリードできる分野であるとの考えを示し、政府としても技術開発を積極的に支援していくことが必要ではないかと述べました。萩生田大臣は、全固体電池などの次世代電池についてはグリーンイノベーション基金等による研究開発プロジェクトに取り組み、リチウムイオン電池については国内製造基盤の確立と戦略的な海外展開を両輪で進めていくと答弁しました。

 宮口議員は冒頭、北海道・知床半島沖で観光船が遭難した事故で亡くなられた方、ご遺族の方に哀悼の意を表するとともに、このような事故が二度と起こることがないよう、原因究明を求めました。