泉健太代表記者会見

2022年4月27日(水)11時30分~12時13分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/FcUhYq_XdmU


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○重点政策「生活安全保障」を発表

【代表】
 きょうはいわゆる定例会見ではありませんが、月曜日に我々の新しいポスター「生活安全保障 もっと良い未来」を打ち出しました。そして、この「生活安全保障」というものをさらに皆様に説明したいということで、きょうのこの会見の場を設けさせていただきました。
 改めて、「生活安全保障」ですが、今まであまりなかった言葉だと思います。これは安全保障というものを国家の立場だけではなく生活の立場からも検証し築き上げていくということを主眼に置いた言葉です。特に我々立憲民主党は生活というところに常に視点を持って政治活動を行ってきておりますので、安全保障というのは国家だけが考えるものではないと。むしろ生活者からも考えなければいけませんし、生活者の視点から安全保障を政策化していかなければいけないと思っております。
 きょう皆さんにもレジュメというかパワーポイントの紙を配らせていただいていますが、まず1ページ目を開いていただくと、「生活安全保障 国民の『生活』こそ安全保障の起点」であるということで銘を打たせていただいています。この左側に、国家安全保障、人間の安全保障等々、さまざまな安全保障があると。その右側のほうには、これに「『生活』の観点」と書いてあって、命、人権、雇用、環境、物価、衣食住など、こういう視点と相互に相まって安全保障というのは強化されていくというふうに考えます。
 ですので、ウクライナに対するロシアの侵攻というのも、先日もお話ししましたが、軍事作戦の面からだけではなく、どのような被害が国民に発生し、そして国民をどのように避難させていくのか、国民の生活がどのように破壊されているのか。こういう視点からも当然安全保障を考えていかなければいけませんし、物価ということについても、マクロの経済だけではなく、一人ひとり、そして一世帯一世帯の生活の立場から物価高を考えたときにどのような影響が生じているかということも我々は強く発信し、政策化していくということが必要ではないかと思っております。各分野の安全保障というのは、生活の安全を保障するものということでありまして、そして生活を起点にして各種安全保障のあり方を問い続けるということを我々は考えていきたいと思っております。
 特に、この「生活安全保障」、1ページに書いてあるように食料安全保障やエネルギーの安全保障などさまざまありますが、この「生活安全保障」という言葉を我々が展開していく中で、特に立憲民主党として最重点で最重要で取り組んでいきたい3本柱というのを次のページに書かせていただいています。
 まずは、「物価高と戦う」。
 そして、「教育の無償化」。これが二つ目。
 そして三つ目が、「着実な安全保障」。
 この物価高、教育の無償化、安全保障、ここに特に重点を置いて全国で訴えを広げていきたいと考えております。

○重点政策1「物価高と戦う」

【代表】
 まず、「物価高と戦う」。立憲民主党は、国民経済を脅かす急激な円安・物価高への対策を強化するということで書かせていただいています。
 4ページ目の資料ですとか、4、5、6ページ目辺りにも書いておりますが、消費者物価指数が、特に昨年の4月以降、通信料を除いても値上がりはしているわけですが、このウクライナ危機でさらにその急激な円安・物価高というものが生じていると思っております。そういうものに対応していかなければいけないということで、我々はレギュラーガソリンですとか各種燃料費の、トリガー条項の凍結解除、補助の拡充ということも言ってきましたし、小麦の値段も下げることができると。輸入小麦が大半ですから、この小麦の値段を下げることができるということも言ってきた。そういう中で、7ページ目に具体的に「物価高と戦う」ということの主要項目を書かせていただいております。
 まず、きょう皆さんに紙を1枚別紙で配らせていただいていますが、「政府・日本銀行の共同声明」、平成25年のものです。この円安の基調を全く今の政府は変えることができていない。もちろん構造的な問題もありますが、さまざまな手だてというのを政府・日銀として考えているのかということで言えば、その検討は足りないと思っております。あらゆる選択肢を検討していくことが重要ではないかと思っておりまして、例えばこの「政府・日本銀行の共同声明」、こうしたことの見直しについて、政府は、日銀は、検討しているのかどうか。これも我々としては問うていきたいと思います。また、日銀の財務状況、今のままでいいのかということで、我々として、日銀ができる取組、そこにまだ不十分さがあるのではないか。また、金利に対しての考え方などなどもありますが、政府がこの円安を放置している状態について我々は指摘したいと思っております。一義的にはそれは政府・日銀が考えることではありますが、この円安放置のアベノミクスからの脱却ということを政府に求めていきたいと思っております。
 ガソリン・小麦の値上がり防止ということについては先ほどもお話ししました。政府も今回、経済対策の中で、補助の幅ですとか基準の価格を一定変えてはいますが、今後の燃料のさらなる高騰ということを踏まえると、もしかすればまた、その今の基準や補助幅では足りないということも生じてくると思います。そういったことにも思い切って対応していくということも必要ではないか。場合によっては本則の税金を全て対象にしていくということも考えていく必要があるのではないかと思っています。
 消費税の時限的な5%化。そして、最低賃金を段階的に1500円へ。この辺はこれまでも我々言ってきたことでもあります。また、月1万円の家賃補助ということもこれまでも掲げてまいりましたが、改めて訴えていきたいと思います。
 そして、物価に負けない年金ということで、これは今、我が党の政調の中でも議論しておりますが、物価スライドのあり方について改善していくことができるかというところを、今、最終詰めを行っているということであります。
 まず、この「物価高と戦う」という姿勢で取組をしていきたいと思います。

○重点政策2「教育の無償化」

【代表】
 二つ目は、「教育の無償化」です。立憲民主党は、教育費の無償化を進め、人生いつでも、ですから若い人たちだけではないですね、人生いつでも多様で先進的な学びを得られる環境をつくるということを考えております。
 次のページ、9ページ以降は、少子高齢化が進んでいることはもう間違いない。我が国の競争力ということについても年々下がってきているわけですが、その要因は、この少子高齢化であり、また、労働生産性が、各国が努力をしている中で日本はずっと低位なままであるということも、この我が国の競争力を低めている。次の11ページに競争力が低下というランキングがありますが、1990年代後半までは5位以内でありましたが、現在30位台と。この世界競争力ランキングでは30位台になっているということで、競争力が低下しております。こういったものをどうやって克服していくのかということを考えると、教育への投資、これを進めていかなければいけないと思っています。
 例えばデジタル人材が足りない足りないと言っているにもかかわらず、それは別に去年ことしに始まった話ではないわけで、政府はもっとデジタル人材を積極的に強力に育成するということが必要だったと思いますが、それが遅れてきたと考えています。教育投資を進めて、まず多くの子育て世帯の教育費負担を軽減する中で、これは生活の安全保障という文脈でもありますが、それに加えて、今お話ししたこの教育の中で、リカレント教育も含めて、いつでも多様で先進的な学びを得られる環境をつくっていきたいと考えております。
 そういった意味で、14ページに我々の政策を幾つか書かせていただいていますが、この「教育の無償化」を訴えていくという中で、小中学校の給食費無償化、高校・大学の授業料の無償化、そして児童手当の延長、また所得制限の撤廃、科研費の倍増、先ほどお話しした社会人のリカレント教育、デジタル人材の育成を特に進めていきたいと思っています。
 そういったもろもろを含めて、今、我々は法案も提出していますが、子ども・子育て関連予算、これをGDP比3%台まで引き上げていくということになるのではないかと思っております。財源は、我々として「教育国債」と。この増やしていく分については、これは十分、教育への投資、人への投資ということで、価値があると思いますし、そして我が国の競争力にもつながってくるものだと考えております。

○重点政策3「着実な安全保障」

【代表】
 そして三つ目ですが、「着実な安全保障」。立憲民主党は、近年の日本周辺の安全保障環境の現実を踏まえ、対話外交と、着実な防衛体制の整備を行います。まず、これが基本的な姿勢になってまいります。
 中国の国防費が1991年以降42倍になっている。また、ロシアや北朝鮮の活動も近年活発になっている、我が国近海周辺でも活発になっているという認識を持っております。その意味で、当然こうした我が国の周辺環境には立憲民主党も責任を持って対応をしていきたいと思っております。
 19ページに具体的な政策を書かせていただいておりますが、まずは、今回のロシアによるウクライナ侵攻を踏まえて、改めてですが、戦い方というのは随分変わってきていると思いますので、新領域、サイバー、宇宙、電磁波、また、情報戦など、新たな分野には立憲民主党としても対応すべきだということをまず掲げております。
 そして、この日本の安全保障を考えたときに、これまで日米の役割分担、いわゆる盾と矛ということの中で防衛体制を構築してきましたし、そこには一定の信頼関係や、まさに役割分担があって進めてきていることでありますし、そういった日米の役割分担をまず前提としていくということ。その中で、新たな課題に対して日米がどのように連携を強化していくかということで言えば、例えば核による抑止力ということを初めとして、「日米拡大抑止協議」という枠組み、これはかつて民主党政権から定期化・定例化を図ってきた2010年からの枠組みでもありますが、こういった枠組みを有効に生かして、そして引き続き日米の役割分担を前提とした我が国の防衛体制の整備ということを進めてまいりたいと思っております。
 また、これは自民党よりも先行して取り組んできていることですが、尖閣周辺で有効に機能する領域警備・海保強化法案、こういう法案を我々は提出しておりますので、この成立を図っていきたいということ。
 そして、自民党は安全保障戦略ですとか、いわゆる防衛費の2%について、まず2%という数字から入っておりますが、あくまで必要な防衛予算は積算によって行われるべきだという考え方で、この防衛予算について我々として検証、予算の確保、こういう立場を取らせていただきたいと思っております。
 立憲民主党として、この3本の柱、「物価高と戦う」「教育の無償化」「着実な安全保障」、もちろんこのほかにも、農業分野や環境エネルギー分野、当然政治改革分野、さまざまにこの3本柱以外の政策というものを後に網羅的に発表されますし、その中には網羅的なものよりも重点的な政策として訴えていくものもありますが、まず我々立憲民主党として全国の皆様に、立憲民主党が特に取り組む政策分野として、その真剣な訴えとして、本気度を皆様にもお伝えしていくという意味でも、立憲民主党が本気になって取り組む、それが「物価高と戦う」「教育の無償化」「着実な安全保障」であるということであります。
 この最重要の3本柱、まずは紹介をさせていただきました。


■質疑

○重点政策「生活安全保障」について

【毎日新聞・宮原記者】
 今回もろもろ細かい政策も入りながら説明されたと思うが、財源の話で、「教育の無償化」のところで教育国債の話が出ているが、その他のところ。もちろん細かいところは公約でということになってくるとは思うが、例えばさきの衆院選のときは金融所得課税といったこともあったわけだが、今、代表が持っているイメージとして、どのように財源等を考えていくか。

【代表】
 まず、大きな考え方としては、消費税のみに頼るという考え方ではないということです。この間、所得税・法人税などは基本的には税収が全体の構成からすればその割合は低下してきているというところで、直間比率ということについても見直しをしていくべきだと思っておりますし、我が党の一つの考え方としての、応能負担という考え方、こういったものも我が党の今後の財源のつくり方というところに表れてくると思います。

【毎日新聞・宮原記者】
 「物価高と戦う」の一番最初の「円安放置のアベノミクスから脱却」というところだが、よく出口戦略がないとアベノミクスの金融緩和については言われる中で、どのように脱却していくかというところを伺いたい。

【代表】
 まず、基本的には市場との対話というのは欠かせないということですし、我々、急激な物価高に対して対応していくという中での、やはり市場の安定性というか、何をするにしても急激というものはあり得ないし難しいと思っておりますので、おそらく積もり積もったアベノミクスのある意味障害というか、そういうものというのは市場により影響を与えない形で徐々に、しかし確実に取り組んでいかねばならないこと、どこかで脱却をしなければいけないことだと思います。アベノミクスの積もり積もった弊害、ですかね。そこからは、積もり積もった弊害からは脱却をしていかなければいけない。その起点をどこかに、そのスタート地点をどこかに作らなければいけないという局面が来ていると思います。

【東京新聞・井上記者】
 「着実な安全保障」のところで伺いたい。「これまでの日米の役割分担を前提としつつ」とあり、盾と矛ということかと思うが、この関連で、いわゆる敵基地攻撃能力の保有については、この「役割分担を前提としつつ」というところとの関連でどのように考えていらっしゃるかお聞きしたい。

【代表】
 今まさに敵基地攻撃能力という言葉も、何をどこまで語れているのかという、難しいものではあると思いますし、自民党でも反撃能力という言葉に変わってきたりしていますので、まず、その定義がはっきりしないというところが難しいところではあるのですが、敵からの攻撃を無力化するということは当然我々はあり得るし、その開発努力、こういったものは肯定的に捉えているというところもあります。
 一方で、その攻撃をする能力というものが少しでもあればよいという考え方なのか、圧倒的にその反撃なり敵基地攻撃なりの攻撃力を持つという考え方で行くのかによっても、随分違うのだと思います。
 私は、現時点の我が国、これまで長くアメリカと、盾と矛、矛と盾という関係で続けてきたということで言えば、敵基地(攻撃)なり反撃なりというのが、それ以降の敵の攻撃を完全に封じるほどの敵基地攻撃能力を持つというのは極めて難しいのではないかと思っています。ですので、やはり着実に、現実的にと考えれば、前提は日米の役割分担、盾と矛ということになるのではないかと思っています。

【東京新聞・井上記者】
 その次の「『日米拡大抑止協議』の活用」というところだが、これは既にあるものだと思うが、現状ではどういう課題があって、活用してどのように変えていきたいとお考えなのかお聞きしたい。

【代表】
 定期協議、先ほどお話ししたように2010年から始まってはいるのですが、決して、その日米両国からのこの会議体に対する参加者というか構成員のレベルは必ずしも高いものではない。また、政治の側も入っているわけではない。実務者というか、そういったもののレベルも格上げをしていくということも当然あり得ると思います。あとは、定期協議の持ち方、回数などになるのかもしれないなと思います。

【東京新聞・井上記者】
 格上げして、どういうことを議論していくべきだとお考えになるか。

【代表】
 日米の拡大抑止をまさに議論するのがここですので、そういったことを議論していきます。

【共同通信・田川記者】
 安全保障について伺いたい。きょう自民党が防衛費の増強や反撃能力を含む提言を政府に渡す。これに対して問題点はどこだと考えるかと、2%という目標ありきではなくとうたっていらっしゃるが、立憲民主の考え方を改めて伺いたい。

【代表】
 立憲民主党の考え方はもうここに書いてあるとおりでありますので、防衛費は、2%目標ありきではなく、あくまで必要な予算の積算で確保する。これが立憲民主党の考え方です。
 自民党の調査会の報告書ですね。あちらで言えば、これは既に指摘していますが、「指揮統制機能等」も反撃対象にするということが何をどこまで指すのかということです。ですから、当然ミサイル発射台という考え方もあれば、そこに付随する通信ということ。そこからさらに、その通信の上部構造で言えば、随分と離れた場所にある指令部。そしてまた、そもそもの軍事作戦・軍事行動を指揮命令するということでは、政府中枢のような、軍事組織以外の行政組織。そういったものも入るのかどうか。これは自民党さんが作られている言葉なので、自民党さんにしかわからないことでありますので、そこは問わなければいけないことだと思います。

【共同通信・田川記者】
 もう一点。「生活安全保障」というキャッチコピーについて、先日のポスターの発表のときにもご説明いただいたが、この文言に決めた経緯、幾つか候補があったのかと、ポスターを見た方から反応などがあれば教えていただきたい。

【代表】
 まず、やはり「生活」という言葉は立憲民主党にとって重要なキーワードです。ですから、「生活」という言葉がまず一つ。何らかこの「生活」という言葉を使って表現をしていきたいという思いがまずありました。
 その一方で、このウクライナ情勢、そして、それに伴ってエネルギーの安全保障や資源の安全保障や食料の安全保障などなども国政の中心課題になってきた。そういったもので、我々が元々大事にしていた「生活」というワードと、この近年というか特にことしに入って国民的に課題となっている「安全保障」という言葉を考えたときに、先ほどお話ししたように、我々としてこの両方の言葉が一つになって国民の皆様に今のこの我が国が置かれている危機感や克服しなければ(ならない)課題というものを語れるのではないかという、執行部の中での話合い、議論の経過で、このような「生活安全保障」という言葉になりました。
 そのほかの言葉がどんなものがあったのかというのは具体的には言いませんが、基本的にはこういう「生活」という言葉が含まれたものを軸にして考えてきていたと思います。

【朝日新聞・神澤記者】
 「『日米拡大抑止協議』の活用」について伺いたい。アメリカの持つ核兵器も含めた抑止力を日米安全保障の抑止力に活用しようという議論だと思うが、核共有という議論とは一体何が違うのかという点を伺いたい。

【代表】
 我々、現時点です、もちろん今後いろいろな議論もあるのかもしれませんが、核共有、これもNATO型かそうではないのかということは核共有を議論したいという方々がそれを明らかにしなければいけないわけですが、今の我が国の安全保障体制というものを基本的に立憲民主党は是としている立場ですので、その中で、核共有について、もちろんさまざまな議論というのはあるのかもしれませんが、我が党としてそこに何かメリットですとか効率性ですとか、そういうものが認められているとは認識をしておりませんし、また、非核三原則を変更する考え方もありませんし、そういうニーズが今の安全保障環境にあるという考えには立っていないということです。

【朝日新聞・神澤記者】
 核兵器の抑止力を活用するということは、非常に重い言葉だと思う。現在、日本がアメリカの核の傘の下にいることで、どのような抑止力が我々が感じない中でも発揮されているとお考えなのか。また、今回のこの活用策というのは、これまでの立憲民主党の方針とは、転換するものなのか、それとも連続性があるものなのか。どのようにお考えか伺いたい。

【代表】
 核の傘については、外務省も、もう日本政府として見解を出していますので、我々もそれにのっとっているということです。

【朝日新聞・神澤記者】
 方針としては、これまでと連続して、立憲民主党の今までの方針と同じというか、延長上にあるというお考えでよろしいか。

【代表】
 はい。

【時事通信・眞田記者】
 改めてだが、今回発表された重点政策については、参院選の公約に向けて、公約を作るに当たってどういう位置づけになるものなのかと、参院選の公約の発表のめどやスケジュール感みたいなものがもしあれば教えていただきたい。

【代表】
 最重点の位置づけになります。
 公約は、連休明けの5月中というイメージです。

【時事通信・眞田記者】
 今回「生活安全保障」とうたっている中で、こちらの資料にある説明だと、人間の安全保障とかエネルギー安全保障とか、どちらかというと国家の安全保障、そこに生活者の目線を入れたいという形のことをおっしゃっていると思うが、それと最重要の3本柱と掲げている物価高と教育無償化というところの、この「生活安全保障」との関係性のところが少し見えづらいところがあると思うが、その辺はどのように。

【代表】
 我々は、生活の安全を保障する、あるいは「生活安全保障」、この言葉の中でさまざまな政策を考えたときに、この三つの分野が最重点であるというふうに位置づけたということです。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 改めて「生活安全保障」という言葉は非常に冒険的で、摩擦の起こる言葉だと私は感じているが、これをご自身のカラーとして打ち出した。この言葉自体は議論の中で代表が自ら選んだ、自分で作られた言葉なのか。

【代表】
 すみません、最初に何々的と。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 冒険的と。非常に仕掛けのある言葉だと思うが、この言葉はある種の摩擦を生むだろうということで作ったのだと思うが、この言葉自身は代表が作ったのか伺いたい。何か仕掛けがあるから、この言葉ですよね。

【代表】
 まずということで言うと、執行部で作りました。代表が作ったとか代表が発案したではなく、執行部で作りました。現に私もいる場で議論をして、その中で最終的にこの言葉になっていったということです。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 この1ページ目を見ると、二つの四角があって、これは矢印でカウンターになっているわけだが、やはり「生活安全保障」というのはよくわからないが、こういうときに僕は英語で表現したら何となるかと聞くと大体わかる。もちろん野党第1党だから、この「生活安全保障」というのをどういう形で英語で表現されるか。

【代表】
 それは今お話しして確定的になってしまうというのはちょっと避けたいので、また改めて、英語でどう表記するかは考えたいと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 理念的には、立憲民主党だから、憲法25条のいわゆる生存権とか、そういう言葉の上位概念で理念的に出したということかと思ったが、そうではなく、これは基本的にはスローガンで、要するにそこまで詰めていないと。

【代表】
 そこまで、というのは。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 要するに、こういう言葉でやっていくということは、やはり野党第1党だから世界的にも発信していくわけだが、議論を詰めて英語でどういう表現をするかということが決まっていないというわけですね。

【代表】
 決まっていないというのは。きょう説明をしたように決まっていると。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 英語でどう表現するか、まだ詰めていないということですね。

【代表】
 英語でどう表現するかまでは詰めていません。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 私が一番伺いたいことは、基本的にライフというか生活というのはリベラルとか左系の人が好きな言葉で、安全保障というのはまさに安保だから、これはまさに自民党というか保守系が。この二つの言葉の間にぶつけることで「生活安全保障」という言葉を作り、ある種の摩擦を起こして話題を呼ぼうとしているんだろうなと私は想像するが、要するに、この「生活安全保障」という言葉は私は非常に違和感があるわけだが、代表が大会のときにおっしゃっていた、これまでの左よりも安保とかそういうものについて積極的にウイングを広げていくという目標もあって、ウイングを中道とか穏健な保守に広げるためにあえて安保という言葉を使われたのか。これは別に「生活が第一」という言葉でも別にいいわけだから。そこのところを率直に伺いたい。

【代表】
 もう大体先ほどお話ししたとおりでして、執行部で、「生活」という言葉を軸にしてどのようなスローガンを作っていくかという中で、今、安全保障が注目されている。しかし、その安全保障というのは国家の文脈だけで語るものではないはずだと。そういう中で、我々としては生活の視点から語ろうではないかということを執行部として共有した。それがこの「生活安全保障」につながったということです。

【読売新聞・北村記者】
 「アベノミクスから脱却」について改めて伺いたい。先ほど政府・日銀のアコードについて問うていきたいという言葉があり、市場との対話の重要性についても述べられていたが、脱却ということに向けては日銀が進めている異次元金融緩和の方針を転換していく必要があるというお考えをお持ちということでよろしいか。

【代表】
 そうですね、はい。その転換というのはもちろん市場との対話が必要であり、急激ということで無用な混乱を生じさせてはいけないとは思いますが、このまま続けていい、足抜けできないということではないと思います。

【読売新聞・北村記者】
 アベノミクス全体のことだが、第2次政権以降続けてきて、現在円安という形で表れているが、この功罪について、功も含めて、泉代表としてはどのようなお考えをお持ちか。

【代表】
 輸出主導型で、円安に誘導して、輸出産業の業績が上がるというところまでは一定実現したのかなと。これは功の部分でしょうね。
 しかし、いわゆるそこからのトリクルダウンというものは不十分であったし、そして、大手輸出産業・企業の業績を回復している間で、日本の経済がある程度回復してきている過程の中で、本来は新たな投資分野、成長分野を作っていく、あるいは生産性を上げるなどの構造改革をしていかなければいけなかった。それが不十分だったと思います。
 あとは、輸出産業を中心にということで取り組んできたのだけれども、長年、ある一定期間、円高であったこともあって、日本の各企業も必ずしも輸出主導型という構造のままではなかった。企業が海外に移転をしていたなどのことも含めて、おそらく思ったほどの効果を上げることができなかったのではないかと思います。そういう観点から見直しをしていかなければいけない。
 また、これだけずっと低金利が続くというのも、マイナス金利も含めてですが、本来あるべき金融の役割を果たせていないということも指摘をされていることだと思います。

○国会におけるジェンダー平等点検について

【朝日新聞・神澤記者】
◎ 国会で現在、ジェンダー平等の点検作業が進んでいる。この中で、完全無記名で実施するということが決まり、その中には、記名では世論を意識し所属政党の影響を受けるなどということが書かれた。記名であれば参院選への投票の材料にもなったと思うし、今まさにジェンダー意識が求められている中だが、これを無記名で行うことでいいのかということを泉代表はどのようにお考えか伺いたい。

【代表】
 すみません、まだそもそものものを見ていないので、ちょっとお答えはできないです。

○参院選に向けた取組について

【宮崎日日新聞・寺原記者】
 先週、参議院宮崎選挙区の候補者調整をめぐり、玄葉選対本部長代行と国民の前原選対委員長が協議された。結論は出なかったということだが、今後の宮崎選挙区の調整についてどういうふうに代表はお考えか伺いたい。

【代表】
 今、いわゆる候補者調整を双方の努力で続けていると思っていますし、一歩一歩ですが前進をしていると思っていますので、最終的にはよい形に向かえるのではないかと思っています。

【静岡新聞・青木記者】
 参院選の静岡選挙区について、先週の会見のときは、維新と国民民主党の相互推薦を受けて、改めて静岡県連の声を先に聞くと泉代表はおっしゃったと思うが、それ以降、県連との意見交換や、声を聞いたり、そういうことをされたのかということと、もしされたのであれば、県連は党本部に判断を一任しているので、県連の意向と、結論の時期も含めて、改めて党本部の方針を伺いたい。

【代表】
 県連と、というものが、またこれ誰を指すのかだと思うのですが、県連所属国会議員とは私は少なくとも確かにお話をしています。その中で、やはり今、静岡の国民民主党と維新の、結局のところどのような形になるのかというのはまだ不明だと思いますので、これは支援団体である連合静岡も含めて、どのように対応するのかということをいま少し待たなければならない状態なのかなと思います。どんな構図で国民民主党がこの静岡で戦おうとしているのかということも踏まえながら決めていくことになろうかと思います。

【静岡新聞・青木記者】
 ということは、結論はまだちょっと見通しが立たないと。

【代表】
 現時点では、どこかで、いつまでに、何かの結論を出すという話をしてはいません。

【京都新聞・国貞記者】
 参院選の京都選挙区のことだが、国民民主党と維新が、京都において維新の候補を国民が推薦するという形になった。地元の京都のほうでは、京都市議会で旧民主系が同じ会派を作っていたが、立憲民主党の所属議員の方が離脱するという形になって、地元のほうで一定混乱が生じているような状況かと思う。泉代表はその点どういうふうにお考えになるか。

【代表】
 それぐらいに、国民民主党が立憲民主党と連携するのではなく維新と連携するということに対しての違和感は、当然一般の京都府民の中にも、そして支持者の中にも、また、京都政界の中にもあるのだと思います。そういう中で、その違和感の一つの表れとして、そういうことであればもう会派は別にしなければいけないねということに至ったのだと思います。