参院本会議で5月18日、政府提出の「こども家庭庁法案」「こども家庭庁設置法整備法案」が審議入りしました。宮沢由佳参院議員が質疑に立ち、(1)「こども家庭庁」の名称(2)子どもの意見表明権(3)子ども・子育て政策に関する予算(4)子どもの権利を守る機関(子どもコミッショナー)――などについて政府の見解をただしました。

(1)「こども家庭庁」の名称について

 宮沢議員は、与党議員から「子育ての責任は家庭が負うべきだ」、「子どもは家庭でお母さんが育てるもの。『家庭』が入るのは当然」等の意見が相次ぎ「こども庁」から「こども家庭庁」に変更されたとの報道を踏まえ、「家庭」の責任を強調せず、「子どもを社会全体で育てていく仕組み」が必要だと岸田総理に質問。岸田総理は、「家庭における子育てを社会全体でしっかりと支える」と述べ、「家庭」にこだわる姿勢をあらためませんでした。

 さらに宮沢議員は、義務教育の政策は文部科学省から移管されないため、「縦割り行政が残ったまま」だと指摘。子ども政策の文部科学省関連業務をそのまま残すのなら、「わざわざ新しい組織をつくる意味はない」と指摘しました。

(2)子どもの意見表明権

 宮沢議員は、子どもに関する制度を検討する上で最優先に考えるべきことは憲法13条に書かれている「個人の尊重」だと強調。「子どもにも当然人権があり、個人として尊重されなければなりません」と訴えました。

 さらに日本が子どもの権利条約を1994年に批准していることも踏まえ、子どもの意見表明権を具体的にするためにも、法案に子どもの意見を尊重し、反映する手続きを明記すべきと訴えました。

(3)子ども・子育て政策に関する予算

 宮沢議員は、立憲民主党が衆院に提出した「子ども総合基本法案」を踏まえ、「子ども・子育て政策が単年度ごとの議論にならないよう、子ども・子育て関連予算を対GDP比3%台(約16.8兆円台)と国に対して義務付け、必要な予算を安定的に確保」し、小中学校給食費の無償化、高校・大学授業料の無償化、児童手当の所得制限撤廃と高校卒業年次まで延長などの施策を進めるべきと政府に迫りました。

 しかしながら、岸田総理は「少子化社会対策大綱に基づく少子化対策関係予算については、令和4年度の当初予算ベースで約6兆円となっております」と答弁。野田聖子・子ども政策担当大臣も、「必要な安定財源の確保」について、「国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担のあり方を含め広く検討」と述べるにとどまりました。

(4)子どもの権利を守る機関(子どもコミッショナー)

 学校において、いじめなど子どもの重大なトラブルが発生した場合、自治体などが第三者機関を設置することもありますが、常設の独立した機関、第三者機関である子どもの権利擁護委員会(子どもコミッショナー)を設置すべきと宮沢議員は提案。これにより、「トラブル対処のノウハウを集積し、素早く的確な対応も進む」と宮沢議員は訴えました。

 最後に宮沢議員は、「私たち立憲民主党は、これまでの社会や大人の都合を優先した『少子化対策』ではなく、子ども自身を優先するチルドレン・ファーストの『子ども政策』を進めます」と訴え、質疑を終えました。

220518こども家庭庁法案登壇原稿(宮沢由佳議員).pdf