5月20日、参議院本会議で「刑法等の一部を改正する法律案及び刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案」について質疑が行われ、立憲民主党からは真山勇一参院議員が登壇し(1)法案を一括にした理由(2)拘禁刑の創設等(3)侮辱罪の厳罰化と言論の自由の関係(4)インターネット上の誹謗中傷対策(5)追加された附則の「見直し条項」―――等について政府に質問しました。
冒頭、真山議員は、自身の3度の戦争取材の経験に触れ、犠牲を強いられるのは一般市⺠であり、子どもであり、そして、ウクライナのように人々の命を救うために働いていた人達でしたと述べ、戦争が終わるまで声を挙げていかなければならないと訴えました。
(1)法案を一括にした理由
受刑者の処遇を充実させ更生を支援することと、侮辱罪の法定刑の引上げは全く別個の内容であり、別々に諮問されてきた内容を、今回、1本の法案として同時に改正する理由を問いました。古川大臣は「いずれも刑事法における現下の課題に対応するということで同じ」と答えました。
(2)拘禁刑の創設等
「拘禁刑」の創設の理由、受刑者の処遇要領の策定にあたっての具体的な内容、少年院法、少年鑑別所法の改正に伴う人的整備の在り方等に関連して、ひとりひとりの人生を左右する問題であり、社会に対する影響も大きいことから、見切り発車にならないようにと強く訴えました。
(3)侮辱罪の厳罰化と言論の自由の関係
侮辱罪の法定刑の引き上げに伴い、侮辱罪に認められてきた条文上の「教唆及び幇助の制限」、「逮捕の要件」、「勾留の要件」といった制限を失うことについて、言論の⾃由が大幅に制限されかねないと指摘しました。これについて法務大臣は、法制審では、表現の自由との関係について、議論は尽くされたと考えていること、正当な表現行為、刑法35条の正当行為として処罰されないこと、言論の自由に対する委縮効果は生じないと考えている等と答弁しました。
(4)インターネット上の誹謗中傷対策
インターネット上の誹謗中傷への対応について、警察、法務省の体制整備をせずに厳罰化をするのでは、真の目的は、国⺠の人権擁護ではなく、公権力にとって都合の良い武器を手に入れることと勘ぐられても仕方がないと指摘しました。吉川法務大臣は、「関係機関との緊密に連携をとり、人権侵害の救済に対応していく」と述べました。
(5)追加された附則の「見直し条項」
衆議院では本改正案に加えられた附則において、侮辱罪に関わる改正がインターネット上の誹謗中傷に適切に対処できるか、表現の⾃由その他の⾃由に対する不当な制約にならないか外部有識者を交えて検証を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることが明記されたことについて、今後の政府の対応について質問しました。古川法務大臣は「適切に対処していく」とだけ答弁しました。