泉健太代表は5月21日、猪奥美里候補予定者の応援のために奈良県入り。香芝市、橿原市で街頭演説を行い、奈良県初の女性参院議員を誕生させようと呼びかけました。
県議会議員として3期、10年6カ月仕事をしてきた猪奥さん。コロナ禍でいろいろな物の値段が上がる中、地元飲食店の店主からは円安の影響で4カ月前には1斗缶2800円だった油の値段が6千円へと2倍も値上がりし、このままでは経営ができなくなるとの話を聞いたとして、「一つひとつのものごとに、一つひとつの政策に、お財布感覚で、地域の感覚で話をしていきたい」と力を込めました。
県議時代には地元県立高校の制服の値段をめぐり、母親たちから聞いた声をきっかけに、同じ県立高校でありながら県内では2倍もの価格の差があることを知り、県立高校の制服の入札のガイドラインを作ることができたと紹介。制服に限らず教育・子育てにはお金がかかりすぎだと指摘し、この大きな政策転換をすべく県議会を辞職し国会議員に、参院議員に挑戦することを決めたと述べました。
今の政府・与党は現下の物価上昇にも何ら対策を講じようとしないとも述べ、「制度、政策を変えることで生活を守ることができる。変えることができることを、私は見せたい。たくさんの組織団体から応援をしてもらい、ものを言えない政治なのか、おかしいなという声を上げ、暮らしに密着した政治に変えていくのか。皆さんと一緒に戦い、動き、変えていきたい」と訴えました。
泉代表は、これまで女性の参院議員がいなかった奈良県で、今回猪奥さんが立候補を決意したことの意義を述べ、「ようやっと国会でも女性の高齢者の一人暮らしの問題、更年期や出産、育児の問題が取り上げられるようになってきたがまだまだだ。もっともっと女性の声が届く政治にしなければいけない。猪奥さんの勇気あるチャレンジを応援してほしい」と呼びかけました。
その上で、泉代表は「権力者のための、権力者による政治がどんどん進んでいるのではないか。私たち立憲民主党は、権力者の自由度を高めるのではなく、国民の皆さんの自由、民主主義を大事にしている政党だ」と表明。今国会で成立した経済安全保障法の議論を一例に挙げ、政府与党や大阪維新の会は、何が経済安全保障を脅かすかが分かりにくい状況の中で、民間企業に対し法律を犯したら罰則を強化するよう求めたことを問題視し、「萎縮を招くような経済にしてしまったらこの国の活力はなくなる。権力を強くする政治ではなく、皆さんの自由を高め、活力を発揮できる国を作りたい」と述べました。
立憲民主党が掲げる「生活安全保障3本柱」(1)物価高と戦う(2)教育の無償化(3)着実な安全保障――については、国家目線ではなく、国民目線から安全保障を考えたものだと具体策を挙げながら説明。「着実な安全保障」については特に、「今の与党、危険ではないですか」と切り出し、「皆さんの命を守るための政策を最優先に考えていくことが生活安全保障だ」と強調しました。
ロシアによるウクライナ侵攻などを受け、核共有や反撃能力など言葉だけがどんどん前のめりになっていると警戒感を強め、日本が軍備を強化することは周辺国も軍備を拡張することになりかねず、結果として日本を取り巻く安全保障環境の危険が高まることになると指摘しました。サイバー攻撃といった新たな戦争にも備えるため、必要なものは整えていくべきとの考えを示した上で、自民党内で防衛費を現在の国内総生産(GDP)比1%(約5兆円)程度から2%(11兆円)へと引き上げる案があることには、「防衛政策は、本当に必要なものを積み上げて計算するもの。中身も決めずに確保するものではない。そんないい加減なことを訴えている自民党には任せられない」と批判。「私たち立憲民主党は、皆さんにとって安全な国際環境を作り上げていきたい。どちらが皆さんの視線に近いのか、ぜひ立憲民主党に力を貸してほしい」と訴えました。
街頭演説後に記者団の取材に応じた泉代表は、奈良県選挙区での戦い方について、「立憲民主党が今の政府与党に対峙(たいじ)をする1番の候補だと主張していきたい。野党第1党として、議席獲得を目指して全力を尽くしていく。他の野党の動きもいろいろあるが、立憲民主党としてこの全域で自治体議員と力を合わせて票の掘り起こしをしていきたい」とコメントしました。