参院選挙9日目の6月30日、大阪府選挙区で立候補している立憲民主党公認の石田としたか候補は、泉健太代表を応援弁士に迎えて豊中、大阪両市内で街頭演説会を開催。大阪市内では、選挙期間中初となる青空対話集会も開き、聴衆の声に耳を傾けました。

 石田候補は、大阪府内各地を回る中でさまざまな人と対話し、声を聞いてきたとして、非正規雇用で働きながら子育てをし、仕事で疲れて時に子どもにつらく当たってしまうという悩みを聞いたと紹介。他国に比べて圧倒的に少ない子ども・子育て予算の拡充や、非正規で働く人たちも安定した働き方ができる環境整備の必要性を説き、「法律や制度を変えることで、この世の中にある不安や孤独、悲しみを喜びや希望、連帯感に変えることができる」と力を込めました。

 大阪のIRカジノ計画には、元銀行員の立場からもカジノは儲からない、負債を残すものであり「反対」だと述べ、大阪の経済を発展させるためには仕事をつくること、産業を取り戻すことだと主張。かつては大阪でも新エネルギー事業があったが、政治が支援してこなかったが故に今はなくなってきていると指摘し、政治の力で新エネルギー産業事業を推し進めていきたいと決意を述べました。

 泉代表は、立憲民主党、自民党はそれぞれなぜ存在するのかと切り出し、「立憲民主党と自民党の違いは、目線、視点の違い。どこから見て政治をするのかだ」とあらためて強調。自民党は、どこかの輸出企業の方を向いて政治をしているため当初円安対策をやろうとせず、岸田総理も参院選挙の争点が物価高になるとは考えていなかったはずだと指摘。「生活目線」の立憲民主党は、この円安で物価が上がることを問題視し、選挙では「物価高と戦う」を掲げきたとして、具体的な対策として年金追加給付や、小麦価格引き下げ、消費税引き下げを挙げました。

 泉代表は、「現実的な政党としてさらに進化していきたい。経済政策、産業政策、安全保障政策において、皆さんに安心していただける立憲民主党を、私、泉健太は作っていく」と表明。「石田としかさんは、その大事なパートナーになる。私は石田さんと一緒に政治活動をして20年を超えているが、非常に信頼をしている。皆さんの声を代弁できる、人の心が分かるやさしい。庶民的な政治家でもある」と石田候補への支援を呼びかけました。

 街頭演説会には、大阪府連代表の森山浩行衆院議員も参加。司会進行は、西哲史堺井市会議員が務めました。

 街宣後は、泉代表、石田候補、森山衆院議員が聴衆と直接対話。憲法改正や大阪のカジノ計画、恒久平和の実現、若者の自殺対策等に関する質問に対し、党の考えを明確に答えました。

 泉代表は、憲法改正の動きについて、「(国会の)憲法審査会は、憲法を改正するための機関ではない。一つひとつの課題を憲法改正が必要かどうかを議論し、ある意味分類していく場所」との認識を示し、国会審議のオンライン化や、教育の無償化を例に、議論にしたことで最終的には憲法を改正せずとも法律で対応できることが明らかになったと指摘。「皆さんが『これを変えてくれ』『変えないと国民に害が及ぶ』というものには応じたいが、今他党が出しているものは、論点も含めて見当たらない。政治家の手柄のための改憲論議は防いでいきたい」と述べました。

 若者の自殺対策については、民主党政権時代に自ら担当の政務官を務めた泉代表は、官僚だけでなく、現場で寄り添い、支援する関係者の方に入ってもらい一緒に政策を考えた経験を振り返り、「門戸を広く開け若者、困っている人の声を聞ける体制を強化していく。支援している人の政策判断を最大限尊重していく」と発言。「われわれはいつも『居場所と出番』と言っている。どの皆さんも孤立することのない支援をやっていきたい」と述べました。

 中国からの留学生からは、選択的夫婦別姓について、「日本は世論調査では6割が賛成しているのに実現しない。この問題をどう考えるのか」と問いかけられ、石田候補は「賛成」だと表明した上で、「議会と皆さんの気持ちが違っている。皆さんの声を反映する人を議会に送ってほしい。そうでないと選択的夫婦別姓は実現できない」と訴えました。

 集会後、記者団の質問に応じた泉代表は、石田候補について「大阪生まれ、大阪育ちで、長く金融の世界と国会で仕事をしてきた人物。法律を作る意味での即戦力であり、(候補者である)現職議員でカジノに疑問を呈している人がいない中で、いまのカジノ政策はおかしいと明確に言っている候補として、皆さんに期待をしていただきたい。候補者の中で一番物価高対策を述べていることも大事だと思う」と述べました。

 演説の中で政権批判よりも、維新を念頭に置いた発言が目立ったとして「野党第1党として維新の存在に警戒感を持って対応しているのか」との質問には、「立憲民主党が警戒をしているよりも、出されている政策が日本のためになるのかどうかということで、批判すべきことは批判しないといけないと思っている。核共有の話や、自民党との向き合い方という意味で、日本の政治が国民が選択できる政治にはならないと思うので、国民の皆さんに必要なことは訴えていきたい。

 維新でなく、立憲民主党でなければいけないポイントはとの問いには、「1つは、自民党との向き合い方。自民党が不祥事を起こしても追及されない。汚職や、法律違反には、国民の声を受けておかしいことは正さなければいけない。その正し方が甘いと思っている。国会における論戦も、政策の分厚さがある。そういう意味での優位性はある」と発言。核共有の問題を例に、「立憲民主党も、自民党も党内議論を終えて『核共有は、実益がまったくない』と結論を出している中、維新さんはこれから議論をすると言っており、議論が手薄になっているのだろう。他党と同じスピードで結論を出していただくべきだと思っている」と述べました。