泉健太代表記者会見
2022年7月10日(日)23時45分~24時31分
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/Zs6Vmw0Kvmc
■冒頭発言
- (なし)
■質疑
- 第26回参議院通常選挙 開票速報を受けて(1)
- 憲法論議について
- 開票速報を受けて(2)
- 安倍元首相銃撃事件について(1)
- 開票速報を受けて(3)
- 農業政策について
- 開票速報を受けて(4)
- 「女性候補5割」について
- 安倍元首相銃撃事件について(2)
■冒頭発言
(なし)
■質疑
○第26回参議院通常選挙 開票速報を受けて(1)
【共同通信・田川記者】
参院選の結果、まだ開票途中だが、現有議席を割り、比例も振るわない結果となっている。結果をどうご覧になっているかと、敗因を何だと考えるか。お考えをお願いしたい。
【代表】
まず、全国で立憲民主党の候補者に、また比例区に、ご支援をいただいた全ての皆様に心から感謝を申し上げます。そして、この参議院選挙、全国の皆様にお訴えさせていただいたことにも感謝を申し上げたいと思います。そして、現時点でこの議席、それぞれ当選確実が出たという状況であります。
改めて、報道各社にもお伝えしましたが、昨年の総選挙以降、いわゆる政党支持率においても維新に逆転を許すという状況の中からのスタートでありまして、極めて厳しいかじ取り、また、厳しい環境の中からのスタート、ゼロからのスタートということになりました。
そういう中で、「生活安全保障」を打ち出し、「物価高と戦う」、この物価対策については各党よりも先んじて我々立憲民主党が全国に訴えをし、それが主要な争点となってきたということ。そして、我々自身が安全保障政策も含めて現実的な政策を打ち出す政党であるということ。これは、まだ完全ではありませんが、一定浸透をするということになったのではないかと思います。
しかし一方で、やはり今の自民党の政治に対して不満はあれども、それ以外に政権を任せられるだけの勢力というふうに国民の皆様から認知される勢力に、我々立憲民主党も含めてなり得なかったということ。これは痛感しております。
野党の力不足、これは率直に受け止めながら、立憲民主党として、政権交代を目指す、政権を運営できるもう一つの勢力づくり、ここに力を注いでまいりたいと思っております。
【共同通信・田川記者】
もう一点お願いしたい。1人区では3勝にとどまっている。野党の連携・共闘が限定的になったことが影響したのではないかと考えるが、代表の考えはいかがか。
【代表】
野党のいわゆる一本化というものが、限定的とはいえ実現できた地域がたくさんございます。しかしながら、そういった地域でも議席を勝ち取ることができなかったということも、また一つ大きな、我々としての結果を受け止めねばならない。ですから、共闘すれば勝てるとか、共闘しなかったから勝てなかったという、単純なものではない。この辺は今後選挙結果をよく分析して、今後の取組を決めていきたいと思います。
これも報道のほうにもコメントいたしましたが、やはり昨年の総選挙以降、右の野党、左の野党、それぞれがまた野党の中で対決姿勢を見せるという中で、なかなか一つにまとまる姿というものを構築できない環境が続いていたと思っています。そういう中で、立憲民主党としてはことしの3月に各党に呼びかけをして、できる限り国民の皆様にわかりやすい構図、これをつくっていこうではないかと。その呼びかけをして、限定的とはいえ各野党の皆様には協力をしていただき、また、温かいご支援もいただきました。そういったことができた地域において、大変感謝をしたいと思いますし、一方で、その構図をしてもなお勝ち切れないという環境があったということも重く受け止めて、今後考えてまいりたいと思います。
【共同通信・田川記者】
3点目、幹事社として最後に伺いたい。目標に掲げられていたのは、比例1300万票、野党で改選議席過半数を獲得というふうにおっしゃっていたが、これは達する見込みはちょっと難しいかなと思う。これから代表として党勢拡大に引き続き取り組むお考えなのか。もしくは、責任を取って職を辞すという考え方もお持ちなのか。今後の責任の取り方についてお願いしたい。
【代表】
こうした選挙の議席数、そして得票ということについては、当然ながら責任を負う立場にあります。
その中で、これからこの参議院選挙の結果、まだ出ておりませんので、その結果を十分に踏まえてまいりたいと思いますが、私は今回、女性候補が我が党の擁立の半分以上を上回ったということも含めて、非常に能力の高い候補者がそろったと思っています。ただ、ある意味そこが難しいところでありましたが、昨年の秋の総選挙に全精力を集中してきた中で、参議院選挙の候補者擁立というものがさきの衆議院選挙の後に行われる選挙区が数多く出たということで、能力が非常に高い候補者であったけれども活動期間が短かったというところについては、非常に惜しい、もったいなかったケースがあったのではないかと思っています。
そういった意味では、立候補された仲間たち、また、さらに言えば衆議院選挙に立候補して、今、残念ながら議席を有していない党の仲間たちを大事にして、次の我が党の勢力拡大に向けた努力をしてまいりたいと思っています。
【共同通信・田川記者】
代表は、職を辞するというお考えは今はないということか。
【代表】
はい。
【朝日新聞・鬼原記者】
先ほどの話の中で、今後党勢拡大をということでお話があった。立憲民主党は、さきの衆院選の総括の中でもウイングを広げるということを書いている。今後その党勢を拡大するに当たって何が必要なのか。政策面、また、もしかしたら党内のこと、何を軸に今後有権者への訴えを強めていくのか。お考えを伺いたい。
【代表】
政策もそうですし、そして候補者ということもそうなのですが、選挙の度に新しいものになってしまうということであれば、それこそ定着というのは難しいと私は思っています。
その意味では、この選挙で訴えたことを大事にしながら、もちろん、今回評価いただけた部分、評価いただけなかった部分というものは当然分析をして、また改めるべきものは改めるという側面はありますが、一方で、有権者の皆様に立憲民主党が訴えているものが、今回、短期間ではありましたが、その中では浸透は一定見られてきていると思っておりますので、こうした立憲民主党の訴えをさらに平時から皆様に訴えて定着をさせていきたいと思いますし、そして、共に戦った仲間たちについても、その方に寄せられた個人的な信頼ですとか期待の票というものもあると思いますので、そういったものを大事にする立憲民主党でありたいと思っております。
【朝日新聞・鬼原記者】
確認だが、今回の参院選挙で政策の三本柱という意味では「物価高」と「教育の無償化」と「着実な安全保障」だった。先ほどおっしゃった政策面で引き続き訴えるというのは、この三つを今後も軸にという意味か。
【代表】
もちろん党の中で今後参議院選挙の総括もありますので、そういった中でもさまざま議論はされると思うのですが、今回立憲民主党がお訴えしたことは当然党として責任を持ってお訴えしてきたことでありますので、そういったことは選挙が終わってからも、有権者との対話の中で大事にすべきものは大事にすべきだと思っております。
【朝日新聞・鬼原記者】
もう一点。先ほどのお話の中で、選挙の度に新しいものに変わるということに対して否定的にお考えを述べられたが、旧民主党から続く歴史を振り返ってみると、やはり短期で代表が代わるということがあった。今おっしゃった、新しいものが選挙の度にというのは、これは党の顔である代表の代わる代わらない、それも念頭にあるご発言か。
【代表】
いや、今のは特段念頭にはないです。
【読売新聞・北村記者】
冒頭の発言の中で、政権を担い得る勢力になり得なかったと痛感しているとお話があった。この要因は何だと考えているのかが一点。また、受け皿になり得るために野党が一定力を合わせていくことが必要かと思うが、テレビでもよくおっしゃっているように、右の野党、左の野党とある中で、今後難しい状況が続いていくと思うが、野党の協力というのを今後どのように描いていらっしゃるか。この2点を伺いたい。
【代表】
まずは、力を合わせていくというよりも、もう少し俯瞰をして見ると、力をつけていく。力をつけていく中の一つの手法として、力を合わせるという方法もあるということだと思っています。
野党が力をつけていくという意味では、先ほどお話ししたように、野党といってもさまざまな野党があり、そして、その野党同士が必ずしも折り合いがよくないという今の野党全体の環境の中でいったときに、立憲民主党がそこに気を使って、あっちに政策を訴え、こっちに政策を訴え協議をするというのは、なかなか難しい状況でもあると思っています。だからこそ、立憲民主党自身がしっかり軸を持って、有権者の皆様に信頼をいただける政党として成長していくということが極めて大事だと私は思っておりますし、その繰り返しの訴えそのものが信頼の積み重ねにもなっていくと思います。
私は今回全国を回らせていただいて、物価高アンケートも含めて、党一体となってこの参議院選挙を戦うということについては、一時期失った元気を、ある意味、今、皆が取り戻しながら、さらなる目標に向かって、高い目標に向かって歩んでいく過程にあると。もちろん今回の結果というのは非常に厳しい結果ではありますが、それをも皆の力で乗り越えていくという底力がこの立憲民主党にはあると私は思っておりますし、そういうメンバーがそろっていると思いますので、その仲間たちとのさらなる協同で、これから党勢の拡大を図っていきたいと思っています。
【東京新聞・井上記者】
先ほどおっしゃった、政権を担い得る勢力と認識されていないというところだが、これはもう今までもずっと言われていたことで、昨年の代表選の中でもそういう話が何度も出ていたと思うが、なぜその状況が変わらないのか。それを変えるために代表が就任してからやってきたことは正しかったとお考えになるか。また、これから次の国政選挙までかなり時間が空くと思われるが、その間にどういうふうに党を成長させていくべきとお考えなのかお聞きしたい。
【代表】
来年には統一地方選挙もあります。非常に重要な選挙だと思います。それは、昨年の総選挙でも言われたことですが、やはり地域の組織基盤を強化していくということが何より大事であるということからです。
そして、この立憲民主党の訴える生活目線などは多くの国民の皆様に政策的には受け入れていただいていると思いますし、また、現実的で着実な安全保障というものも政策的には理解はいただけるものであると思っておりますので、そこに多くの皆様が参画をしていただいて、立憲民主党で共に、特にこの失われた30年、地方が衰退してきているというのは間違いない中で、立憲民主党自身が地方の活性化に取り組む政党であるということも統一地方選挙の中で皆で力を合わせて訴えていけるように、仲間をつくって増やしていきたいと思っております。そういったものの中から、政権を担えるだけの体力というものもついていくことにつながっていくと考えています。
【「FACTA」・宮嶋記者】
さきの衆議院選挙で維新に敗れた辻元さんが復活したこと。維新と戦って、接戦だったが、福山さんが勝ったこと。このことは、ある意味で、「生活安全保障」というスローガンも含めて、一定の効果があったのだろうと私も受け止めているが、この2人が勝ったことを率直にどういうふうに受け止めておられるのか、まず一点伺いたい。
【代表】
立憲民主党、これは先ほどもお話ししましたが、政策に対しては是々非々であり、おかしなものはただす。さらに、これまで続けてきた政策提案。これは二者択一ではなく、当然両面で行い続けていくということであります。その意味で、国会で、より政府の問題点をわかりやすく、また鋭く国民の皆様にお届けして、その共感を得るという、これまでの国会の非常に論戦力の高い方が議席を獲得できたというのは我が党の力になると思っております。
これからも、おかしな政策についてはしっかりただす、その力を立憲民主党が持っている。同時に、政策立案能力を持っているということ。これを訴えてまいりたいと思っています。
【「FACTA」・宮嶋記者】
もう一点は、やはり何回かの選挙を経て政権を担うという目標があるわけだが、参議院選挙はお灸の選挙と言われるぐらいだから野党が頑張り得るような選挙だと思うが、やはり今回の選挙は立憲民主党としては大惨敗だったのではないか。そのこと自体は認めないと。その上でどう立て直すかという問題だが、先ほどからゼロからのスタートとおっしゃるが、やはり対自民党、野党第1党としては、そのまわしに手がかからなかったほどの大惨敗だったのではないか。私は泉さんの責任だとは思っていないが、やはりそこの認識がないとまずいのではないかと思うが、いかがか。この結果は、自民党のこの数字を見ただけで、やはり惨敗と自ら認めるべきなのではないか。
【代表】
ありがとうございます。
これは昨年の総選挙から続いている状態であると私は思っています。極めて厳しい環境であると。それをどう表現するかは当然それぞれの見られ方ではあると思いますが、私はもう本当に昨年の総選挙以降の野党、これは第1党であろうとも極めて厳しい環境にあると、そういう認識をしています。
だからこそ、本当にゼロからのスタートという今の環境、その中で、しかしながら、今回議席を、今はまだ最終結果はわかりませんが、立憲民主党として獲得議席で野党第1党ということの結果を得るのならば、やはりその野党の力を伸ばしていく、その責任をしっかり担ってまいりたいと思います。
【フリーランス・宮崎記者】
2点お伺いしたい。まず国会対策に関して、内閣提出法案が100%成立するなど、提案路線といったことに関して、役員も含めた党内外の意見があったかと思う。これは最終的に確定したところでそれがどう影響したかというのはなかなかわからないような気が私はするが、代表として今、改めて、ああいった提案路線は正しかったとお考えか。
【代表】
きょうはおそらく定例の記者会見よりもはるかに数多くの皆様がお集まりだと思いますので、改めて共有させていただきたい、お伝えしたいのは、我々は与党に政策を提案しているわけではありません。あくまで国民の皆様に対して我々の政策を提示している。それを提出するのが国会であるということであって、与党に対して政策を提案しているのではないということですね。ここはある意味明確にさせていただきたいと思います。その意味で、当然、政権を担うためにチャレンジをし続ける政党として、国民の皆様に政策をお伝えしていくということは極めて大事だと思っています。
ただ、これだけ世の中も、通信媒体、伝達媒体も変わっている中で、立憲民主党自身がある意味旧来型の政党の発信力であったり、あるいは政策の解説力みたいなものを、これをどう脱皮していくか。新しい世代に対しても、一つ一つの法律というのは難解なものなので、それをいかにわかりやすく、まさに国民の皆様の生活に資する法案であるということを一つ一つ丁寧に説明していく努力。これをやはりやる必要があると思っておりますので、そういったところは強化が必要であろうと。ただ国会で真面目に論戦・論争していれば伝わるんだという考え方では、なかなかやはり今の時代は伝わっていかないのではないかと私は思っていますので、やはりこの伝える力を高める必要があると思っています。
【フリーランス・宮崎記者】
2点目は選挙対策に関してだが、1人区のほうが青森の田名部さんと長野の杉尾さんしか立憲民主党公認では当選確実になっていないが、お二人とも現職が序盤からリードしていた選挙区だ。現職のところでは岩手や山梨といったところは奪還されたということで間違いないかと思う。また、推薦は出ていないが、山形、国民民主党の舟山さんと、沖縄でオール沖縄、無所属の伊波さんが当確ということだが、それでも4勝28敗ということを考えると、情勢分析といったものが仲間内でうまく共有されないという、そういった環境があったのではないか。そこは、その党の所属の人や、あるいは応援団、そういった労働組合も含めて、少し何かお互いまだ信頼関係がないようなところがあったのか。
【代表】
私は、なかったと思っています。情報共有はされていたと思います。
ただ、やはり権力を持った政権与党であれば、そこから業界団体の締めつけや動員など、ある意味わかりやすい形でてこ入れなるものを行うことはできるわけですが、そういった力というものが、情報は共有できたり情勢は共有できても、なかなか取り得る手段というものは限られていると思います。
だからこそ自治体議員も増やしていかなければいけませんし、いざというときに力を出せる、出し切れる党としての、さまざまな総合力を高めていく。これが必要なのであろうなということは感じております。
○憲法論議について
【日本経済新聞・大澤記者】
憲法改正についてまず伺いたい。自民党は憲法改正を柱の一つに掲げて戦ったわけだが、先ほど岸田総理は、改憲の発議に向けて具体的な憲法の改正案をまとめていくことに意欲を示した。これに対してどう対応していくか、お考えを伺いたい。
【代表】
立憲民主党は、これまでも憲法審査会の議論を続けてまいりました。それは、一つ一つのこの憲法に関する論点が、憲法改正を必要とするものか。それとも、憲法改正までを必要とせぬものなのか。こういう吟味・審査というものも当然行われなければいけないと思っていますし、国民投票法などについてもまだ課題が解決されていないという状況においては、憲法審査会は引き続き一つ一つの課題を丁寧に対応していくということがまず必要だと思います。
もう一つは、憲法改正そのものが国民の皆様にとって本当に優先課題であるのかということについては、今回の参議院選挙においても他のいわゆる政策課題のほうに、国民の皆様は、対応を急いでもらいたいという声が強いのではないかと考えています。
また、現在、憲法改正せねば国民生活や我が国の安全保障において決定的な欠落が生じるというものには至っていないと私は思っていますので、そういった意味で、政治家のための、手柄のための憲法改正ということでは、これは国民の理解はやはり得られないと思いますので、あくまで国民の皆様が何を望むかということについて、これからも引き続き丁寧に話を伺っていきたいと思っています。
【日本経済新聞・大澤記者】
自民党は衆院選よりも憲法の優先順位を上げて公約を掲げて戦ったわけだが、その結果を踏まえても、まだほかの公約のほうが優先されていると受け止めていらっしゃるということか。
【代表】
選挙というのは一点だけで戦っているものではないわけでありまして、私はそこは今回の参議院選挙が憲法の論点について全てというふうな受け止め方はしておりません。
○開票速報を受けて(2)
【日本経済新聞・大澤記者】
最後に一点お伺いしたいが、定着への重要性というところを先ほどご認識をお話しされたと思うが、泉代表がとどまるという前提で、執行部の刷新というお考えはあるか。
【代表】
これは今、現時点で何か考えていることはございません。今後よく考えていくかどうかも含めて、現時点では何か考えていることではありません。
【新潟日報・山田記者】
新潟県選挙区で現職の森ゆうこ参議院幹事長が落選という報道があった。こちらについての受け止め、所感をお願いしたい。また、その敗因について何か分析があればお願いしたい。
【代表】
本当に国会で、それこそ鋭く今の政府の抱える課題をただしてきた議員でもありますし、そして今回、「物価高と戦う」ということについては、森参議院幹事長が県民の生活実感を踏まえて執行部に提言・提案をしていただく中で、この「物価高と戦う」という項目づくりに至った経緯もありまして、その意味では、今回の参議院選挙全体の戦いを位置づけてくださった、そういう方だと思っています。このまま逆転するということがないとなれば極めて残念で、本当に大切な議席を失ったと思っています。
もちろん、この結果の敗因ということについては、県内が最も詳しいものがあると思いますし、国政全体の影響と、また、県政の中における影響というのもあるというふうに思いますが、確かに直近、新潟県知事選挙等もあって、その中の構図と今回の参議院選挙の構図というものは異なるものがありますので、その意味で、改めて参議院選挙の態勢を構築して前回ほどの力を発揮するというところにまで至るところができなかったと思っております。
また、一方では、全国的には、私も後半新潟に入ったときには相当な盛り上がりを感じて森陣営の戦いを見ていたわけですが、その後、総理が新潟入りする等々を含めて、また、全体情勢の中で、最終的に結果を得ることができなかったと。そんなふうに思っております。
○安倍元首相銃撃事件について(1)
【NHK・坂井記者】
今回の選挙中には、安倍元総理大臣が銃撃されて亡くなるということが起きた。与党内からは、今回の事件によって投票の機運が高まったという趣旨の声も出ているが、今回のことがこの選挙戦に与えた影響。また、結果にどのような影響があったのか。代表としてどのようにお考えか。
【代表】
まず、本当に安倍元総理、我々もこの政治の世界で働く、同じ仕事という立場に立つ者ですから、こうして凶弾に倒れられたというのを、本当に重く、残念に、また、怒りを持ってこの行為を非難したいと思いますし、命を落とされたことは大変残念に思います。
私は、こういったことによって、さまざまな分析をされる方もあるかもしれませんが、しかし、やはり失われた命は大変重たい、こういったことがあってはならないということに尽きるのであって、それと選挙結果というものは区別をして考えなければいけないと、そう思っています。
○開票速報を受けて(3)
【毎日新聞・宮原記者】
先ほど新潟の話が出たが、それ以外も、1人区で現職がいた選挙区は五つあったわけだが、2勝3敗と、なかなか厳しい結果が出たと思う。この現職のいる1人区の選挙区の結果についてどう分析されているかというところをお願いしたい。
【代表】
今、結果が出た直後でありますし、本当に最終盤まで抜きつ抜かれつという選挙でありましたので、現時点で分析ができているという状況にはありません。
ただ、少なくとも、例えば6年前の選挙を戦ったときには、一つの大きな民進党という政党があり、その中で各党に協力を求めるという構図があったわけですが、本当に今のこの野党の全体状況というものが前回とは大きく異なってしまっている。そういう中で、もう最大限の奮闘をしていただいたと思いますが、残念ながらぎりぎりのところで結果が及ばなかったと思っています。
【毎日新聞・宮原記者】
もう一点。比例代表について、衆院選後は維新のほうが支持率が高い中で、そこから持ち直してきたというような趣旨のこともおっしゃっていたが、一方で、今のところの比例の結果を見ていると、かなり立憲と維新が競っているような状況だと思う。このような比例代表の獲得状況について、今のところどう見ているかというところをお願いしたい。
【代表】
昨年の総選挙以降の一時期の状況からすれば、本当に全国で仲間たちが奮闘していった結果、まだどうなるかわかりませんが、こうした比例票の現在の状況になっていると思っています。
ただ、決して立憲民主党として満足できる水準では到底ないわけでありまして、ここは先ほどもお話ししましたが、野党がかなり数多く存在している中で、6年前に比べれば、相当国民の皆様に我々自身が懸命に宣伝をしているつもりであっても、その政策や訴え、あるいは候補者の人柄がどこまで浸透しているのかということは、もっともっと現実を見つめなければいけない。そして、日常からのその発信を強めていかなければ、なかなかこの野党多党の時代にあって、政策、我々の候補者像、そういうものが伝わりにくくなっていると思いますので、これを克服して伝えられるように努力をしていきたいと思います。
○農業政策について
【日本農業新聞・木寺記者】
農業の関係で伺いたい。政府による水田活用交付金の見直しなどが農業では焦点となっていたが、今の状況を踏まえて、手応え等はいかがか。
【代表】
私は、立憲民主党の掲げた、この水田活用の直接支払交付金についての恒久化というか法定化ということを訴えたわけですが、この政策は農業者の方々に、届いた方には一定の理解をいただいた、また、共感をいただいたと認識していますし、願わくは、この政策は野党であっても申入れを行って、正しい農政に転換していくためにも実現していきたいと、このように思っています。ただ、確かに選挙全体というのはそのほかにも数多くの論点・争点がありますので、そのこと一点のみで議席を得るには至らなかったということは大変残念であります。
ただ、引き続き、国の考える農政と現場の農業従事者が考える農政の乖離を埋めていくために、立憲民主党は現場のその声を大事にして、今後の農政、私も今回の参議院選挙で言うと、期間中に山梨、また福島、いずれも選挙期間中ですが選挙カーを降りて農家を視察させていただく機会もありました。果樹農家からも、収入保険の必要性がより高まっている、先日も雹害があって打撃をかなり受けた、あるいは果樹の盗難ということも深刻になっている、気候変動も重要な対応の一つの課題になっているという、さまざまな現場からの声もいただいていますので、こういうことは我が党の議員を通じて農林水産省の政策の中に反映させていく努力を続けていきたいと思います。
【日本農業新聞・木寺記者】
今回の結果を踏まえて、立憲民主党の農業政策というのは変わらないというか、現状掲げている方針で行かれるということでよろしいか。
【代表】
この気候変動ですとか、あるいは天災というか風水害、さまざまなことで農業従事者の収入は不安定になっていると思います。その意味では、価格は市場で、しかしながら経営は支援をすると。こういうスタンスというのは今後の我が国の、今回食料自給率についても大きな争点になりましたが、それを各党が掲げたということを、やはり今回の選挙を受けても政権与党も重く受け止めるべきであって、農業従事者を減らしてはいけない。この視点から立憲民主党としては引き続き訴えていきたいと思います。
○開票速報を受けて(4)
【朝日新聞・鬼原記者】
まず、国民民主党との関係について伺いたい。この選挙戦を通じて、エネルギー政策や金融政策、あとは安全保障政策も、かなり違いが明確になったと思う。泉代表は以前、兄弟政党という表現も使われたことがあるが、この参院選の結果を受けて、今後の国民民主党との距離感はどういうふうになっていくか。
【代表】
あくまで、それは国民民主党は国民民主党の考え方や政策があると思いますので、相手がある以上は、こちらで一方的には決められないものではあると思います。
ただ、全国の1人区を中心に、現地・現場では、やはり生活者目線の物価対策や、働き方の改善、賃上げ、こういうことについては一緒に訴えをするという環境は、全国各地、地域地域の中には存在していると私は思っています。ですから、そういった声をむしろ両党の本部は重く受け止めねばならない。重く受け止めた上で、今の政権与党に対して、働く者の立場を守っていくためにどう行動していくべきなのかということを、両執行部は真剣に考えるべき時が来ているとは思います。
【朝日新聞・鬼原記者】
あと一点。連合との関係だが、今回の連合との選挙戦の連携をどう評価されているのかということと、今回、連合は基本方針の中で支援政党を明記せず、連携ということで国民民主と立憲民主を併記した。このことが、支援政党でないということが選挙戦に何か影響を与えたと、そういうふうにお考えになるか。
【代表】
多くの組合員の皆様にとっては、そこが何か大きな要因になったとは考えていません。むしろ、本来であれば政治の側が、連合としても応援しやすい環境をできる限りつくっていく、そういう努力をする役割もあると思います。
その中で、5月の下旬でしたが、連合の本部に立憲民主党・国民民主党の党首が訪問して、地方の代表者の皆さんを前にして、芳野会長と共に三者でこの選挙の必勝に向けた気勢を上げたということがありましたが、やはり多くの組合員もまた、この連合の枠組みというものの中で、一つでも合意できる項目を増やして、共に政権をつくるという気概を持って取り組んでもらいたいと思っておられると思いますので、そういうものにやはり政治が応えていく。これが必要ではないかと思います。
【朝日新聞・鬼原記者】
今回の選挙戦での連携というのはうまくいったと評価されるか。
【代表】
はい。現場現場では本当に惜しみないご支援をいただいたと理解しています。そして、勢いもつけていただいたと思います。
私は、あくまで政党自身が積極的にそういった支援をいただく方々に対して訴えをしていく、政治の側にこそ、その努力すべきところがあると思いますので、これからも引き続き、支援を待つのではなく、支援を積極的にいただく努力を続けていく。これが大事だと思います。
○「女性候補5割」について
【朝日新聞・鬼原記者】
女性の候補者を5割にした。先ほども触れられたが、このことが選挙戦の結果にどういうふうに影響したとお考えか。また、今後の選挙で、この5割以上の方針は堅持されていくお考えか。
【代表】
もちろん、どう影響を与えたかというのは、それをもって立憲民主党に投票してくださった方があればそれがプラスに表れたということであると思いますので、形としてわかりやすく何人の方がというのは出せるものではないと思います。
ただ、これは我々自身が目指すべき社会像として、女性の議員というのは、国、地方、また、あらゆる企業も含めて、女性の意思決定への参画はもっともっと増えていって当然であるということを党として示したのであって、その姿勢というのは基本的には変わるものではないと思います。
もちろん、そのときそのときの事情で、じゃあ50%、今回は女性が50%を超えたわけですが、そのパーセンテージの厳格さばかりを求めても仕方ないところがありますので、それは48%のときもあれば55%のときもあるかもしれないけれども、しかし、目指す社会というのは男性も女性も意思決定に参画できる世の中にしていくということであって、そこに向けて全力を尽くしていく。
本当に今回、全国各地で立候補してくださった女性の方、女性候補者は、優秀有能な方が数多くおられて、今後も政治活動を共にしたいと思う方ばかりでありましたので、やはり大事にしていきたい。その思いを強く持っています。
○安倍元首相銃撃事件について(2)
【産経新聞・玉崎記者】
先ほどの質問でも出たが、安倍元首相の銃撃事件を受け、選挙戦とは一線を画すべきだという趣旨の発言をされたが、それについてもう少し詳しく、どういう因果関係があるのかお聞きしたい。
【代表】
因果関係というのは、どういう意味ですか。
【産経新聞・玉崎記者】
要するに、安倍元首相の事件と選挙戦の関係が一線を画すというのは、どういう意味で関係性を、一線を画すというふうな趣旨でおっしゃったのか確認させていただきたい。
【代表】
私は、切り分けるべきだという立場だということですね。
【産経新聞・玉崎記者】
その切り分けるというのは、何と何を切り分けるという趣旨か。
【代表】
それは先ほどの質問をしていただいた方におそらく聞いていただいたほうがいいと思うのですが、たしか、この選挙結果にどんな影響を与えたとお考えですかというような趣旨だったと思いますので、私はそこは切り分けるべきだと考えていますとお答えしました。
【産経新聞・玉崎記者】
それは影響はないということとは違いますか。
【代表】
さあ、それは、私はとにかく切り分けるべきだと考えています。