党ジェンダー平等推進本部は9月16日、大沢真理東大名誉教授を講師に招き、「周回遅れから逆走する『新しい資本主義』~生活の危機にどう立ち向かうか」とのテーマで講演を行いました。
大沢氏は、岸田首相が「新しい資本主義」として当初掲げていた「令和版所得倍増」、「一億円の壁」の打破、金融所得課税の見直し、格差や貧困の拡大への言及といった、周回遅れだがEUや国際機関の動向と合致する姿勢が、この一年足らずの間に次々に後退していく変遷を時系列で具体的に解説しました。そして本年6月7日の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」で、「所得倍増」が「資産所得倍増」になり、「格差」と「貧困」が切り離されるなど、周回遅れが決定的に逆走に転じたと指摘し、「貧困をネグレクトして、分配戦略・成長戦略たりうるのか、(貧困者の多数は女性であることから)もとよりジェンダー平等政策たりえない」と批判しました。
また、EUの社会的投資パッケージでは成長戦略と福祉国家の現代化戦略が一体であり、ジェンダー平等の次元を重視していること、貧困・社会的排除との戦いはEUの主要目標の一つであることを挙げ、「ボトムアップが成長戦略のカナメであり、この背骨がないと、成長戦略としても分配戦略としても失敗が必至」と述べました。
そして、日本で貧困・格差を削減するために、年金に最低保障額の設定、ディーセントワークと同一価値労働同一賃金の実現、金融所得・相続への課税強化、給付付き税額控除の導入、生活保護制度の解体と住宅給付の導入、児童手当・児童扶養手当の統合等を提案されました。
講演には西村智奈美ジェンダー平等推進本部長、長妻昭政調会長のほか、衆議院から篠原孝、阿部知子、大河原雅子、岡本あき子、神津たけしの各議員、参議院から打越さく良議員が参加、オンラインでも横沢高徳参院議員のほか多くの国会議員や自治体議員が参加し、活発な質疑や意見交換が行われました。
当日の資料はこちらから。配布資料.pdf