安倍元総理の国葬儀が行われた9月27日、立憲民主党は旧統一教会被害対策本部・消費者部会合同会議を国会内で開催し、(1)宗教2世の支援に関するヒアリング(2)旧統一教会被害者(宗教2世)及び全国霊感商法対策弁護士連絡会からのヒアリング(3)カルト的被害防止・救済法案(仮称)に関する意見交換――を行いました。

 冒頭、党旧統一教会被害対策本部の西村智奈美対策本部長(代表代行)は、21日に日本維新の会との国会での共闘で合意した項目にある、霊感商法や高額献金の被害者救済と防止策について法的整備などの協議を始めることに触れ、合意後すでに、長妻昭政務調査会長らが実務者で協議を始めることになっていると説明。さらにこの会議で被害防止・救済法案の骨子・要綱案についての意見を受け、今後の政調審議会等で賛同を得ていきたいと述べました。また、維新以外の各党にも呼びかけており、問題解決に向け主導していくと語りました。

■宗教2世の支援に関するヒアリング

 宗教2世の生活相談に携わってきた社会福祉士の松田彩絵さん(女性用ケアハウスLETS仙台所長)は、すべての虐待の定義に「宗教的虐待」を盛り込んで欲しいと語り、法整備によりさらに多くの2世の手助けができる社会であって欲しいと訴えました。

 松田さんは8年前、たまたま居合わせた相談現場で初めて旧統一教会の2世に会い、問題の根深さと支援の重要性を感じたといい、それ以降、さまざまなカルト2世や3世の支援を手弁当で行ってきた経験から、具体的な事例の説明をしました。

オンラインで参加した松田彩絵さん

■旧統一教会被害者(宗教2世)及び全国霊感商法対策弁護士連絡会からのヒアリング

 これまでも被害対策本部に出席してきた旧統一教会2世信者であり、現在は脱会している小川さゆり(仮名)さんからヒアリング。22日に開いた旧統一教会の会見について、(1)被害者への謝罪がなかった(2)把握しているはずなのに具体的な被害事例、被害額を言わない(3)現信者を納得させるための会見のように感じた――などの感想を語りました。

 小川さんは、2009年コンプライアンス宣言以降の高額献金の証拠となる資料を説明し、自身を含め被害者の人生を見れば、現行法がまったく不十分であることは検証するまでもなく明らかだとして、旧統一教会の解散と、反セクト法のような法律を作って欲しいと訴えました。

小川さん(プライバシー保護のため首より下のみ撮影)

 また、全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長の川井康雄弁護士から、16日出された連絡会の「旧統一教会の解散請求等を求める声明」について説明がありました。

 声明では、旧統一教会に求めることとして、(1)今後の伝道活動で被勧誘者に対してあらかじめ旧統一教会であることや宗教団体への伝道であることを明らかにする(2)これまで正体隠しの伝道で信者をした場合に先祖の因縁などで不安をことさら煽っての献金や、経済・生活状態からの過大な支出が顕になった場合に真摯に謝罪し、損害の一切の賠償(3)今後、信者から名目を問わず金銭を受領した場合は必要事項を記載した領収書の交付と、あわせて会計・財務の記録を保管し、献金者から要求があった場合には記録を開示(4)信者に対し、子どもへの信仰継承を行う際には、わが国が批准している子どもの権利条約第14条2項に基づき、「児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法」によるよう指導する――ことなどを挙げました。

 また声明では、文部科学大臣に、宗教法人法第78条の2に定める報告質問権を行使し、同法第81条1項に基づき解散命令を請求することを求め、その他、被害防止・救済のための法整備などのカルト対策、2世問題への対応、学校における対策と啓蒙教育、行政のサポート体制についても言及しています。(声明全文・連絡会ウェブサイト

全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長の川井康雄弁護士

■カルト的被害防止・救済法案(仮称)に関する意見交換

 ヒアリングの後、議員間でカルト的被害防止・救済法案(仮称)に関する意見交換を行いました。