立憲民主党など野党は10月11日、旧統一教会問題に関する第18回目となる国対ヒアリングを実施しました。祝福2世のみらいさんから相談窓口での経験と要望をヒアリング。また宗教2世の方の被害状況についての報告を受け、省庁と意見交換を行いました。

 祝福2世(旧統一教会の信者同士が合同結婚式で結婚し生まれた子ども)で、現在は脱会したみらいさんから、小学校時代に母が海外宣教で3年間不在のときは毎日コンビニの弁当だったり、高校時代に7日間断食をして水だけで過ごしたことなど、自覚がないまま宗教的な虐待を受けていたことについて説明があり、こうした虐待に気づくためにも小中高校生を対象とした啓蒙活動や、夕方・土日やSNSでも受け付けられる相談窓口の開設を求めました。また、市などで提供している学習用のタブレットに相談アプリなどを入れてほしいと要望しました。また、献金が違法かどうか、返金についての相談窓口が、有料ではなかなか相談もしにくいと言った指摘がありました。

 最近になり献金が返金可能であることを知った被害者も多く、一方で全額返金要求をしても減額しようとする教会の動きもあること、また献金から時間が過ぎ時効になっていたり、認知症になり証明が困難な人もいるなどの説明があり、被害者の救済を求めました。あわせて霊感商法や高額献金で多くの被害を生み、家族も分断させる旧統一教会の解散を要望しました。

 宗教2世のSさんから旧統一教会への献金の返金対応について寄せらた要望を山井和則衆院議員(党対策本部・副本部長)が読み上げました。要望の中でまず前提として、返金要求は献金した本人からの申し出が必要であり、2世が直接献金しているわけではないので、要求の対象外であることや、2世が返金を要望しても親の説得がそもそも難しいといった説明がされました。その上で、2世が直接献金をしているわけではないものの、(1)献金のために生活困窮に陥る(2)本来2世が使うべき貯金や奨学金が献金に使われる(3)2世名義の借金が献金や生活費に充てられる――ことなどを挙げ、2世自身が関わっている範囲について、2世には親の献金を返金してもらう権利があると主張しました。

みらいさん(プライバシー保護のため首より下のみ撮影)

 山井議員は、祝福2世の山本サエコさん(仮名)の要望も読み上げ、その中で教祖が配偶者を決める合同結婚式で生まれた2世を各家庭で自由に育てて良いはずはなく、2世の問題は親子や家庭の問題ではなく、教会組織の問題だと指摘。また都市部でない地域では、弁護士に相談しようにもノウハウがなく教会からの嫌がらせを受けてしまうなどの懸念から相談に乗ってもらえないと訴えました。さらに親から逃れるために着の身着のまま逃げると証拠などが手元にないといった課題を挙げました。その上で山本さんは祝福2世は問答無用で被害者として推定し、主張・立証責任を免除、もしくは教会が主張・立証責任を負うよう求め、被害者が泣き寝入りすることなく、全員が救済されるよう求めました。

 省庁との意見交換では、主に返金に関する確認が行われました。ヒアリングには全国霊感商法対策弁護士連絡会の木村壮弁護士も参加し、弁護士の立場から省庁と意見を交わしました。

木村弁護士
入手した教本を示す山井議員