衆院予算委員会で10月17日、岸田総理と全ての閣僚が出席する基本的質疑が行われ、立憲民主党の2番手として同委員会筆頭理事の逢坂誠二代表代行が質疑に立ちました。逢坂代表代行は、(1)国葬問題(2)物価高への政府の対策(3)寺田大臣をめぐる脱税疑惑報道――等について政府の見解をただしました。

 逢坂代表代行は冒頭、安倍元総理の国葬に関し、同日発表された一部報道による世論調査で「よかった」35.2%に対し「よくなかった」が59.2%と、否定的な声が倍近くに上ることに触れ、国葬の在り方の議論においては、実施を前提とすることなく、現行憲法のもとで国葬が実施できるのかというそもそも論をしっかり検討することが大事だと主張。あわせて、今回の国葬実施にあたりどういう経過でどのような判断で行ったのかをきちんと検証した上で検討するよう求めました。

 14日に公表された、安倍元総理の国葬経費の速報値12億円をめぐっては、岸田総理は民間の警備費は会場費の中に含まれているとの認識を示しましたが、提示を受けた予算委理事会では入っていないとの説明だったとして、逢坂代表代行は確認した上であらためての説明を求めました。

 政府の物価高対策に関しては、高騰する物価への対応が遅く国民には届いていないと指摘。世界的な物価高騰の状況の中、特に日本独自の要因として円安と低賃金を挙げ、「異次元の金融緩和で日銀が借金を抱え、金利を上げて円高に持っていく対策が取れない状況になっているのではないか。物価高でも賃金が上がらず、春闘で賃金が上がった50年前とは明らかに状況が違う」と述べました。立憲民主党が14日に発表した「『生活氷河期』を乗り越えるための対策」に盛り込んだ具体策を紹介し、「聞く力を発揮して野党の提案にも真摯に耳を傾け、しっかり提案を盛り込んでほしい」と訴えました。

 岸田総理は「さまざまな声を聞く重要性そのとおり。野党はじめ国民の声を聞き策定していく。聞きながら最後は政府が責任を持って対策をつくっていきたい」と答えました。

 

 逢坂代表代行は次に、寺田総務大臣の政治団体が、妻が代表を務める政治団体に賃料を支払っていたと報じられている問題を取り上げました。まず、政治家の事務所について政治資金から賃料として支出する場合に何らかのルールがあるのかを確認すると、寺田総務大臣は「ルールは格段設けていない」と答弁。週刊誌報道では、寺田大臣の妻の政治団体が所有する地元・広島呉市の事務所所在地は、寺田大臣が妻とが共同所有する自宅にあり、政治活動の実態はほぼないと見られるなか、人件費を支出し続けているとされています。逢坂代表代行はこの点をただしましたが、寺田大臣は事務所の人件費について「常勤の支部職員とはまったく別な人に払った」と答え、源泉徴収を行う必要はないと説明。自身の政治団体が事務所を共有する妻に対し賃料を支払っていたことには、妻はその収入を納税しており問題ないと答弁。しかしながら、妻の納税に関する書類の提示は、別の経済主体であり個人情報が含まれ公開できないと主張しました。

 逢坂代表代行は、地元事務所に加え、東京都内の2つの事務所と称される物件についても、寺田大臣の自宅および秘書の住居と同じ敷地内にあり、実態がないのではないかと指摘。あらためて確定申告書の写しと添付する確認書の不動産明細の当該部分を、同委員会に提出するよう委員長に求めました。