党ジェンダー平等推進本部と会派文部科学部門会議は10月20日、合同で「学校現場における性教育の『はどめ規定』」等について、河野産婦人科クリニック院長の河野美代子氏と日本教職員組合労働局長の西嶋保子氏よりヒアリングを行いました。

 学習指導要領の「はどめ規定」では性行為は取り扱わないことになっており、その弊害が性教育に取り組む関係者をはじめ各方面から指摘されてきました。

 「性教育バッシングと統一教会」をテーマに講演を行った河野氏は、自身が院長を務めるクリニックで10年間にわたり10代の受診者に対応してきたデータから、10代の少女たちの性交の相手、妊娠の相手は圧倒的に社会人男性が多いと指摘し、性交に関して学生の間にどれだけの知識を得て、どういう意識を持って社会に出ていくかが大切であり、その知識を得るのが性教育であると語りました。

 また河野氏は、2001年頃から始まった「男女共同参画社会づくり」に対する組織的な攻撃、一部メディアを含めた猛烈な性教育バッシングの経過を説明し、ジェンダーフリー・性教育に反対する旧統一協会の信者が学校で講演をしている実態などを紹介しました。

 河野氏は「ほとんどの生徒がいつかは避妊が切実になる時が来る。すべての若者が義務教育の間に避妊を学んで大人になることが私の悲願だ」「性は大切なもの、素敵なもの。素敵な性が実行できる素敵な大人になってほしい」と語り、講演を結びました。

 日教組の西嶋氏は、1970年代からの日教組の「性の教育」取組みについて説明するなかで、「子どもたちに、性についての必要な知識が与えられていないことが問題」と指摘し、「性別に捉われず自分自身の生き方を選択し、社会に主体的に生きることができる力を育てることに取り組んできた」と語りました。そして、固定的な性別役割分担の見直しやジェンダーバイアスといった学校現場と連携した取り組み例を紹介したうえで、「子どもたちが自分たちの身の回りのこと、自分の体のこと、家族との関係とか人との距離感といった大事なことをきちんと教えていける学校現場に早く戻したい。そのためにも学習指導要領の『はどめ規定』を取っ払っていただきたい」と語りました。

 ヒアリングは岡本あき子ジェンダー平等推進本部事務局長の司会進行で、西村智奈美ジェンダー平等推進本部長、菊田真紀子文部科学部門長のほか多数の衆参国会議員がリアルやオンラインで参加し、活発な意見交換が行われました。