衆院本会議で10月25日、立憲民主党等提出の「国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案」(国民本位の新たな感染症対策樹立法案)及び「新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案」(日本版EUA法案)」について質疑が行われました。

 提出者の早稲田夕季衆院議員が趣旨説明を行い、冒頭、政府案について「提出時期、施行時期ともに遅すぎる」と指摘し、岸田内閣に対して「感染拡大防止と社会経済活動の両立」を掲げながら、「第7波で何ら効果的な対策をせず、その結果、感染者数、死亡者数、医療難民数が過去最多となるなど、両立どころか、感染拡大も防止できず、社会経済活動も中途半端」だと批判しました。

 その上で、立憲民主党等提出の2法案の概要を以下の通り説明し、賛同を求めました。

 (1)国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防/及び感染症の患者に対する医療に関する法律/及び予防接種法の一部改正法案では、コロナ後遺症、ワクチン副反応に関する情報の公表や医療機関への支援、新型コロナの新型インフルエンザ等感染症への位置付けの見直し等について定めること。

 (2)新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定/及び使用に関する特別措置法案では、新型インフルエンザ等の治療に有用な医薬品について厚生労働大臣による指定制度を導入し、当該医薬品の買取、増産要請等の確保の措置等を講ずること。

 これらの法案により、国民本位の感染症対策を樹立しようとするものです。

 続いて、立憲民主・無所属会派を代表して中島克仁衆院議員が登壇し、政府提出「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案」と立憲民主党、日本維新の会提出の2法案について質問しました。

 冒頭、中島議員は、新型コロナ「第7波」では、1日の感染者数や各波の累計感染者数、1日の死亡者数や各波の累計死亡者数が過去最高となったこと、令和4年8月に警察が取り扱ったコロナ陽性の自宅等で発見された数が過去最多だったことを指摘し、「自分自身、無力を痛感する」と述べました。
 これに対して岸田総理は、「緊急事態宣言等の行動制限を行わずに済んだ」「病床使用率が抑えられた」などと述べました。

 中島議員は、先の通常国会で立憲民主党が提出した法案が今回政府から提出された法案と同様の内容であったことを指摘し、なぜ受け入れなかったのか理由と今回の政府提出法案の施行期日が遅い理由を尋ねました。
 岸田総理は、立憲民主党案については「国会で審議し否決された」、施行期日が遅い理由は「地方公共団体での準備期間が必要」と答弁しました。

 中島議員は、この秋冬の同時流行に備えて対策を検討する「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」で示された対策について、小学生以下の子ども、妊婦、基礎疾患のある方、高齢者の4類型に当てはまらないと、発熱がひどく、身体を動かすのも困難な状態であったとしても、まず新型コロナの検査を自力で行うことが求められ、直ちに医療にかかることができない仕組みなのかを政府に問いました。
 岸田総理は、「重症化リスクの低い方が安心して自宅療法できる」仕組みとし、希望する人は受診できると答弁しました。

 中島議員は、先の通常国会で立憲民主党が、薬事承認の重さを踏まえ、薬事承認手続とは異なる緊急使用許可制度の創設を提案しましたが、否決され、閣法の薬機法改正案が成立し、緊急承認制度が設けられた経緯を説明しました。
 もし、日本発の強力な感染症やバイオ・テロが発生した場合、国民の命と健康を守るために直ちに医薬品が必要となったときに、現行の緊急承認制度で対応できるのかと問い、薬事承認手続ではなく、医薬品に係る厚生労働大臣の指定制度を導入した理由について尋ねました。

 立憲民主党案の提出者の野間議員は、「有事の際には国民の命を守るべき迅速に医薬品を確保することが重要であることから、指定により可能とした」と、法の趣旨を述べました。

 また、中島議員は、ワクチンの副反応の情報発信の在り方について問いました。
 野間議員は、「ワクチン接種は国民の判断に委ねられている。その判断に資するよう、安全性等についてわかりやすく発信すべき。政府がこれまでの情報公開はわかる人にだけわかればよいという国民の信頼を失墜させるものだ」と批判しました。

 中島議員は、国民本位の医療提供体制の構築のための、医療制度改革の本丸である「日本版家庭医制度」創設に向けた決意と覚悟を改めて表明しました。