参院本会議で11月11日、感染症法改正案の趣旨説明・質疑が行われ、「立憲民主・社民」を代表して登壇した川田龍平議員は、(1)子どもたちへのオミクロン株対応のコロナワクチン接種についての情報提供(2)ワクチン接種後に亡くなった事例と遺族会立ち上げ(3)コロナワクチンの定期接種化(4)今回改正案におけるウイルスの変異への対応(5)超過志望者数と新型コロナウイルス接種の因果関係、過去最大の超過志望者数の原因(6)患者の人権尊重という感染症法の精神が具体的にどこに反映されたのか――等について、政府の見解をただしました。

 本改正案は、都道府県が感染症の予防計画を策定した上で、地域の中核となる医療機関と事前に協定を結び、病床や外来医療の確保などを義務づけるもの。衆院では、立憲民主党など野党が提出した対案と並行して審議されていましたが、野党案の内容を踏まえて(1)新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る医療の在り方(2)新型コロナウイルス感染症の新型インフルエンザ等感染症への位置付けの在り方(3)予防接種の有効性及び安全性に関する情報の公表の在り方――の検討を盛り込む修正が行われました。

 川田議員は、乳児に対しては、中長期的な副反応も分かっていないとして、特に子どもたちへのオミクロン株対応のコロナワクチン接種については十分な情報提供がされた上で、保護者も判断できるようにすべきだと主張。感染症から患者を守るためには、コロナなど感染症にかかる前に、他の大病の早期発見のための検査や検診、早期に病院にかかれる体制を整えなければならないと述べました。

 川田議員はまた、「コロナワクチンの感染拡大防止効果はしていない」とのメーカー側の証言がEU議会で問題になっていること、全米の約半数、24の週が、明確な根拠がないという理由から学校へのワクチン接種義務を拒否していることに言及。コロナワクチンの定期接種化が必要なのかと尋ねました。

 「最大の問題は、ワクチンについての情報の不透明性だ」と指摘。コロナワクチンの研究をしたくても、企業秘密でワクチンそのものも、どんな方法で知見されたのかの詳細も全く手に入らず困り果てていたとウイルス研究者の声を紹介し、「メーカーとの秘密協定の中で、肝心の情報が公開できないワクチンを国民に定期的に接種させるのか。これだけ大規模にワクチン接種をしているのに政府が情報を伏せている。政府は何のためにあるのか」と迫りました。さらに、薬害エイズ事件は、政府と企業による情報隠蔽が千数百名もの被害を出し、800名以上のいのちを奪ったことにも触れ、「今回は規模が違う。薬害の最大の原因は情報隠蔽。そして総理は日本国民のいのちを預かっている。ワクチンについて、研究者たちに直ちに必要な情報を提供してほしい」と求めました。

 岸田総理は、新型コロナワクチンの定期接種化について、「新型コロナのまん延防止上緊急の必要があると認められることから実施しているもの。発症予防効果、重症化予防効果は認められている。将来的な接種の在り方については今後の感染状況や、新型コロナの感染症法上の位置づけの見直し等を踏まえながら適切に判断していく」と答弁。

 加藤厚生労働大臣は新型コロナワクチンに関する情報提供について、「新型コロナワクチンの薬事審査に関する情報については審査報告書としてまとめられ、知見に関する詳細な情報を含む申請資料とともに、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページで公表している。また、関係審議会の議事録についても速やかに公表している。厚労省としては引き続き、審査プロセスの透明性、公正性の確保を図る観点からも十分な情報開示や情報発信に努めていく」と答えました。

 川田議員は、衆院での修正について、「ワクチンの副反応に関する情報公開等について、現在の政府の対応が不十分であり、国民の不安や疑問を解決する上では、さらなる対応が必要という立法府の意思を示したものと理解している」と評価。この修正を踏まえて、政府はコロナ後遺症に苦しむ患者に対する医療提供、ワクチンの副反応に関する情報公開をどのように進めていくか、岸田総理の決意を問いました。

 これに対し岸田総理は、「調査研究により科学的知見の収集を進めつつ、後遺症に悩む患者が地域の医療機関で適切に医療が受けられるよう、国内外の研究等により得られた知見を医療従事者に周知するとともにホームページやSNSを通じて積極的に情報発信をしていく」「医療機関等からのすべての副反応疑い報告の情報について、審議会で専門家の評価を受けた上で定期的に公表している。こうした副反応の情報や、研究成果等を含めワクチンの有効性や安全性に係る情報についてはさまざまな媒体を通じて、より分かりやすく速やかに情報発信をしていく」と答えました。