全国20の指定都市が抱える行財政の課題について、指定都市市議会議員と国会議員が議論する「指定都市行財政問題懇談会」が11月11日午後に国会内で開催され、17指定都市の立憲民主党に所属する市議会議員と、岡田克也幹事長をはじめ党幹部や指定都市選出の衆参国会議員26人が参加しました。

 指定都市を代表して、段木和彦千葉市議が岡田克也幹事長に政令指定都市共通の要望書を手交した後、「人口や産業が集積・集中している指定都市では、原材料価格の上昇や円安の影響に伴う物価高騰等の社会経済情勢の変化への対応のほか、引き続きの新型コロナウイルス感染症への対応のため、財政需要が著しく増加している」とともに「多くの緊急かつ重要な施策を積極的に推進するためには、国・都道府県・市町村の役割分担や事務権限を明確にした上で、適切な財源が措置される必要がある」ことから、「真に地方が自主的かつ安定的な財政運営が行えるよう、地方税財源の拡充強化を推進し、新たな時代にふさわしい大都市税財政制度を確立していくことが肝要と考えており、大都市財政の実態を十分にご賢察いただき、今後の大都市税財政制度の拡充について、格段のご配慮を賜りますようお願い申し上げたい」とあいさつしました。

 出席した国会議員を代表して、岡田克也幹事長が「政令指定都市の議員は、市民に直接接し、県の権限を事実上持つ、非常に重要な役割だと思う。それだけご苦労も大きいと思う。あたかも新型コロナウイルス感染症の次の大波が目前まで来ている。物価もこれからさらに上がって市民生活、国民生活はさらに困窮する。日本の政治にとっても重要な局面を迎えている。岸田内閣は本当に混迷し、いろんな判断が遅れて傷を深くしている。重要なことに取り組むことができない状況だ。これから大きな困難を乗り越えるために、ぜひ皆さんも奮闘していただきたい。自治体になるべく財源・権限を移して、地方自治・地域主権改革を実現していくというのは私たちの基本的な変わらぬスタンスだ。そういう視点に立って皆さまの現実のお話を聞かせていただき、政策をぜひ前進させていきたい」とあいさつしました。

 千葉市の山元隆司財政局長から、指定都市の「大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望」の説明があった後、意見交換を行いました。指定都市議員からは、(1)真の地方分権を進めるための税源配分の是正や都市財源の拡充強化(2)地方交付税の確保と臨時財政対策債の廃止、直轄事業負担金の廃止(3)都市防災機能の強化と市街地再開発の事業の着実な推進(4)小児医療費の全国一律助成制度の実現(5)特別市の早期実現(6)障がい者支援施設整備の国庫補助による支援(7)台風4号の被災者支援と復旧復興の後押し(8)インクルーシブ教育の推進と学校へのエレベーター設置支援(9)地域強靭化に向けた防災対策強化(10)経営危機に直面する市バス、地下鉄事業に対する支援(11)カジノ・IRとセットでの万博への対応は現地と歩調を(12)認知症神戸モデルの全国化と財政支援(13)自治体DXの推進(14)不登校など登校が困難な児童生徒への支援と子どもの居場所づくり(15)医療的ケア児及び家族の支援拡充――など多岐にわたるテーマが出されました。

 国会議員からは、皆さんの要望をしっかり承りたいとしたうえで、(1)小児医療費助成は党としても国の制度であるべきと考えている(2)マイナ保険証の強制はあってはならない(3)マイナンバーカードの交付率を他の事業の査定に使うのはおかしい(4)出産準備金の自治体負担は疑問(5)電球をLEDに取り換えるなどだれでもできることを全国で取り組んで財源のねん出をしてほしい(6)地域でのエネルギー政策の検討で固定資産税も増える――などの発言がありました。

 衆院からは泉健太代表、枝野幸男、逢坂誠二、西村智奈美、早稲田ゆき、近藤昭一、田嶋要、城井崇、 岡本あき子、青柳陽一郎、松木謙公、山崎誠、森山浩行、吉田統彦各議員が、参院からは水岡俊一、福山哲郎、小西洋之、岸真紀子、古賀之士、熊谷裕人、高木真理、宮口はるこ、水野もとこ、牧山ひろえ、鬼木誠各議員が出席しました。

大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望(令和5年度).pdf

個別要望事項(立憲民主党).pdf