与野党6党の幹事長・書記局長会談が11月18日に国会内で開かれ、政府から「被害救済・再発防止のための寄附適正化の仕組み(概要)」が提示されました。

 岡田克也幹事長は会談後の会見で、(1)寄附に関する規制、(2)借入れ等による資金調達の要求の禁止、(3)子や配偶者に生じた被害の救済を可能とするための特例――の3点について、「問題点があり不十分だ」と指摘したうえで、『これらの問題点は、実務者間で詰めていきたい」と報告しました。

 岡田幹事長はまた、「時間があまりないことは事実で、この国会で法律を成立させることは非常に重要なことと考えている。ただし、中身のないもの、十分でないものを成立させても意味がない。いかに実効性があることを盛り込んだものを成立させるかだ。そのためにしっかりと4党協議の場を通じて議論をしていく」と述べました。

 問題点は以下の通りです。

■(1)寄附に関する規制

 例えば、1回目の寄附時にマインドコントロールに陥って、2回目からは進んで寄附をするケースもある。この時に、2回目以降の(寄附)行為について、「寄附の勧誘に関する一定の行為の禁止」に該当しないことが考えられる。

 「寄附をすることが必要不可欠であることを告げること」とあるが、本人が進んで寄附をしている場合には、この「必要不可欠」と毎回は言わない場合がある。また「必要不可欠」であることを告げられたことの立証責任は被害者側にあり、非常に難しい。

■(2)借入れ等による資金調達の要求の禁止

 「個人等が居住する建物等の処分により寄附資金の調達を要求してはならない」とあるが、これ以外のものを処分することは対象外ではないのか。例えば、田んぼなど居住する建物以外の資産を処分する場合は対象外となると、事実上、上限規制は無いに等しいのではないか。

■(3)子や配偶者に生じた被害の救済を可能とするための特例

 「債権者代位権の特例として、扶養義務等に係る定期金債権のうち期限が到来していない部分を保全するために、取消権を行使できる」とあるが、あくまで範囲は扶養義務に係る定期金債権の範囲にとどまっており、巨額の寄附をした時に、大半が返ってこない。