寺田前総務大臣の辞任を受け見送られていた参院本会議が11月22日に開かれ、大臣更迭に至る岸田総理の説明及び鈴木財務省の財政演説に対する代表質問が行われました。立憲民主党から小沢雅仁議員が登壇し、(1)岸田政権の政治姿勢、(2)補正予算案の問題点――等についてただしました。

(1)岸田政権の政治姿勢

 小沢議員は、岸田総理が寺田前大臣だけでなく山際前大臣や葉梨前大臣についても、野党側が参院予算委で再三辞任を求めたにも関わらず辞任要求を拒否し、「その数時間後に実質更迭させた」と批判。「立法府の審議を崩壊させている」として「岸田内閣は即刻総辞職すべき」と迫りましたが、岸田総理は「任命責任を重く受け止めております」と述べるにとどめました。

 その上で小沢議員は、岸田総理が自民党総裁選で、「信なくば立たず。私は自民党を改革し、国民からの信頼を取り戻し、そして新しい政治を切り拓きます」などとスローガンに掲げていたが、もはや岸田政権こそが「国民の信頼を崩している」と厳しく指摘しました。

(2)補正予算案の問題点

 小沢議員は、国民の暮らしは長引くコロナ禍、物価高騰、低賃金、年金減少の「四重苦」により「生活氷河期」とも言うべき深刻な状況に直面していると指摘。しかしながら政府の第2次補正予算案は、「規模を膨らませるために、明らかに年度内支出が不可能な予算を多分に積み上げていることに加え、肝心の経済対策もその場しのぎで不合理な対策に終始し、ちぐはぐさが否めず、矛盾だらけ」だと指摘しました。

 特に巨額の財政出動については「更なる物価高騰をもたらすという本末転倒な結果を招きかねない」と懸念を表明。また、自民党内の増額要求により、財政規律を緩め「財務省が当初提示した額が、一夜にして4兆円上積みされた」ことの事実確認を小沢議員は求めましたが、岸田総理は答弁を避けました。
 さらに、来年度予算の概算要求に盛り込まれていた事業の多くが「前倒しで」補正予算案に計上されていることについて、概算要求基準の「意味を失わせるもの」と指摘。中長期的な課題に対応するための基金を補正予算で造成・積み増すことについては、財政法29条の趣旨である「緊要性」を満たしていないと指摘しました。同時に、国会の議決を経ずに、政府が使い道を決める予備費の大規模計上については、「財政民主主義の趣旨を没却するもの」と小沢議員は断じましたが岸田総理は、「事後に国会の承諾を得る必要があることから財政民主主義に反するものではない」と強弁しました。

 また、電気や都市ガス料金価格の抑制策について小沢議員は、「『中抜き』が起きないよう、事業者経由ではなく家計に直接給付すべき」と強調。少子化対策については「腰を据えて取り組むべき国の課題であり、景気の下支えを目的とした経済対策に据えるのは違和感が拭えない」と指摘しました。