衆院予算委員会で11月29日、2022年度第2次補正予算案に関する集中審議(外交等内外の諸課題)が開かれ、立憲民主党の2番手として質問に立った渡辺創議員は、(1)大臣をめぐる各種の疑惑と総理の姿勢(2)子ども予算の倍増――等について取り上げ、政府の見解をただしました。

 昨年の総選挙で初当選して1年、予算委員会で初めての質問となった渡辺議員は、「この国の全体が安全保障、脱炭素、子ども関連など新たな国民負担を強いる可能性もある大きな課題に直面している。だからこそ、岸田政権は国民と堂々と向き合うことのできる資格を有しているのか、その信頼に耐えうるのかが問われている」と切り出し、「その支障となっているのが、内閣の皆さんを取り巻く各種の疑惑だと思う。秋葉大臣の疑惑をしっかり問うことも野党の議員としての責務だと胆に銘じて質問をしていく」と表明。秋葉大臣をめぐっては、秘書に選挙運動の報酬を支払った疑惑、選挙運動にいわゆる影武者を使っていた疑惑、自身の政党支部から義兄が代表を務めた政治団体「政治経済研究所」に600万円寄付した問題などが指摘されています。

 自身の秘書に選挙運動の報酬を支払った疑惑をめぐっては、秋葉大臣は車上運動員としての対価だと説明していましたが、同じく選挙中に車上運動員として従事していた、いわゆるウグイス嬢が新たに「秘書は選挙カーに乗っていない」と証言したとの一部報道を受け、渡辺議員は「本当に二人の秘書は8日間と6日間、車上運動員としての活動に選任していたのですね。事実誤認であったり、誤りはないか」とあらためて確認しました。しかしながら秋葉大臣は「事実関係としてこれまで申し上げてきた通り」と答弁。渡辺議員は、宮城県選挙管理委員会には昨年の衆院選挙時の車上運動員の活動予定などを事前に登録した公文書が保管されているとして、秋葉大臣に対し「二人の秘書に開示請求するよう指示し、その文書を公開いただければ大臣の発言を補完的に証明する材料になるのではないか」と対応を求めました。

 渡辺議員は、各種疑惑に対する秋葉大臣の答弁を受け、「国民の信頼を得られる状態か。不信が募るのではないか」とただしましたが、岸田総理は「愚直に説明責任を果たすことは重要。指摘、疑念があるのであれば果たす努力を続けなければいけない」などと述べるにとどまりました。

 渡辺議員は、子ども関連の倍増予算について、岸田総理が「来年度の骨太方針で倍増の道筋を示す」と発言したことを受け、令和6年度(2024年度)のの追加の予算で倍増を実現するという理解で良いか」と質問。「中長期に社会全体で賄っていく道筋を明らかにすることを申し上げた」と、令和6年度予算かどうかの明言を避けた岸田総理に、渡辺議員は「1期目のあいだに実現するのであれば令和6年度までに倍増を実現しないと形にはならない。多くの国民の皆さんが期待している。早く安心できる継続的な仕組みができ上がることを待っていると思うので意識していただきたい」と求めました。

 また、立憲民主党は同日、緊急の子ども対策に限定した補正予算の組み替え動議を日本維新の会と共同で提出予定だと述べ、その内容を紹介(「出産費用の無償化」「養育費立て替え払い制度を導入」「児童手当の特例給付の復活」「学校給食の無償化」「奨学金の返済減免と制度拡充」)。「物価高の中でも子育て世帯の負担を緊急的に軽減するとともに、今後の安定的、継続的な子育ての支援策の在り方を示す内容。ぜひ与党の皆さんも受け止めてほしい」と呼びかけました。

 なかでも義務教育段階での給食費無償化については、4386億円で実現できると述べ、「たくさんの基金に使い道が明瞭でない資金が大量に積まれていること、多くの予備費があることを考えれば、政治の決断一つでできることではないか」と提起しました。しかしながら岸田総理は「学校給食費の無償化はすでに地域の実情に応じて実施している自治体もあり、そもそも学校給食法の趣旨を踏まえて設置者である各自治体で判断すべき課題だというのは政府の立場だ」と答弁。渡辺議員は「地域の実情が給食の問題でそれほど違いがあるとは思えない。国民の実情を考えて子どもたちを守るためということを考えるのであれば自治体に任せるのではなく政府が判断すればいいこと」だと指摘しました。