泉健太代表記者会見

2022年12月2日(金)10時32分~11時22分

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/JkWuLguDO_E


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○サッカーW杯 日本代表の勝利について

【代表】
 おはようございます。
 まず、けさ、サッカー日本代表、スペイン戦に勝利ということで、おめでとうございますと思います。すごい勝利でしたし、決勝トーナメントでも日本国民を熱狂させてくれるのではないかというふうに期待しています。

○旧統一教会問題 被害者救済法案の審議に向けて

【代表】
 政治のほうですが、まずは被害者救済の法律です。
 政府からは、今、国会に法案が提出されるという段階にまで来ましたが、被害者・当事者の皆様、また、携わってきた弁護団の皆様が、まだこれでは使えるという法案にはなっていないという状況であります。提出されたから終わりというふうには考えておりません。まだまだ修正の可能性があると、そのように認識しています。
 やはり、この(政府案の)配慮義務では弱いということですね。やはりしっかり禁止ということにしなければいけないと思います。総理の側もさまざまに、国会答弁等々で、徐々に従来の立場から比べれば被害者に寄り添う努力というものはされてはいると思いますが、まさに被害者・当事者が使える、これで被害を防げると思えるような法律にしなければいけないと思っておりますので、政治としてはもう一段二段の努力をせねばならないと思っています。
 よく党首会談という話も出てきますが、党首会談ということにおいては、最終的に被害者・当事者が満足するものに至るのであればそれも一つのあり方だと思いますし、そして、例えば総理自身がさまざまな形で乗り越えられるというふうに判断したときに、これまでの政府・与党で考えてきた中身以上に決断をしたいということであれば、その決断を後押しするという意味で私もお願いにも行きたいと思いますし、また、党首会談ということの申入れがあれば真摯に検討させていただきたいと思っております。
 むしろ、どんなことを乗り越えたいと思っているのかということを総理は明確に示していただければ大変ありがたい。そこにはできる限り協力したいと思っておりますが、やはり被害者の方々が納得できる法案となるかどうか。そこが非常に重要であると思います。
 この被害者の方々の納得なしに政府・与党が、もう法案だからということで無理やり短い審議にしてしまったりするのは絶対にあってはならないことでありまして、改めて、今、国対のほうでもさまざま審議が必要かどうかということの検討をしていますが、ぜひ政府のほうにはもう一段の、この被害者(救済)に資する法案にしていただく努力を要請したいと思っております。

○防衛力整備に関する議論について

【代表】
 そして、自公の中で「反撃能力」ということが合意したという話がありました。ただ、攻撃対象ですとか、あるいは(攻撃)着手の認定ですとかは、当然今はまだ抽象的なものであります。あくまで、そしてまた与党合意ということでありますので、閣議決定する政府の文書がどのようになるかというのは注視していきたいと思います。
 常に立憲民主党としてもPTの中で議論をし続けていますので、近々、我々としての考え方というものも皆様にお伝えしていくことになると思いますが、現実を踏まえて考えていく必要がある。冷徹な、この防衛の現実、安全保障の現実というものを踏まえたときに、決して相手の攻撃全てを防御して、あるいは全てに反撃できるのかといえば、それはやはり日本一国のみで全て反撃し相手を沈黙させるということは困難であるという前提には立たなければいけない。これが現実だということでありまして、しかも、その事態に陥ったときには相当な両国における被害というものも想定せねばならない。
 であるならば、やはりこういった他国との戦争状態・紛争状態というものに至らないために、政治が何を行うのか、外交が何を行うのかということが、まさに問われなければいけないと思っておりますので、単に、防衛力、力比べということになってはならないと思っております。他国との信頼関係を築くというのは決してそれもまた生易しいことではないということでありますので、しっかり外交にも力を入れるということ。これを我々としては現時点で申し上げて、当然ながら我が国の国民の命と暮らしを守るために防衛は万全を期すということと、実際に先ほど言ったように際限なくただ軍備の競争をしてもそこにも限界があるということを、両面を考えながらバランスのよい安全保障政策にしていきたい。このように考えております。

○同性婚認めぬ現行制度「違憲状態」 地裁判決について

【代表】
 そして、同性婚訴訟です。11月30日に東京地裁で、同性同士の婚姻を認めない現行制度は違憲状態という判決が出ました。地裁ですので、最終的な司法の判断ということにはまだ至っていませんが、立憲民主党としては「婚姻平等法案」、この法案を、民法改正案を提出してこれまでもきましたが、この実現を目指していきたいと思っています。
 ただ、この判決は当事者の皆さんからしてもまだすっきりしないものであるというところもありまして、現行の制度が憲法違反とは言えないというふうにも書かれてしまっていますので、改めてですが、我々立憲民主党としては、結婚制度に格差は要らないと。似たような制度をつくるというところがゴールではなく、やはり我が国、日本国内において、日本の、日本人の皆さんは、愛する人と結婚する権利を持つべきだと。全ての日本人の皆さんは、愛する人と結婚する権利を持つべきだと。そして、この結婚制度に格差は要らないと。このことは改めて立憲民主党として訴えていきたいと思っています。

○茨城県議選の告示に当たって

【代表】
 そのほか、きょうは午後から茨城の県議会議員選挙に応援に入ります。茨城県、非常に自民党の強い地域ですので、立憲民主党としては、候補者の擁立というのはだいぶそこには差はあるわけですが、4人全員の当選に向かって、(推薦を含め)全力を尽くしてまいりたいと、そう思っております。

○杉田政務官の過去の差別発言について

【代表】
 先ほど松本総務大臣が杉田政務官の過去の発言に対して謝罪・撤回を指示したという報道がありました。当然のことだと思います。
 立憲民主党も、これまで予算委員会等々を通じて、やはり余りに差別的な発言があった杉田政務官については更迭や謝罪・撤回というものを求めてきましたが、松本大臣がようやくこの謝罪・撤回というところにまで至ったのは一つの前進であると思っております。
 今後の対応も注視していきたいと思います。

○秋葉復興大臣問題について

【代表】
 そして、秋葉大臣がいまだにしがみついているという状態です。もうここまで国会で我々も相当問題点は指摘してきておりますので、岸田総理の決断が求められているという段階だと思いますので、岸田総理がこの秋葉大臣を守り続けるのかどうか。そこを注視していきたいと思います。


■質疑

○旧統一教会問題 被害者救済法案の審議に向けて(1)

【時事通信・木田記者】
 2点伺いたい。1点目が救済新法の関係で、泉代表は11月4日の記者会見で、与野党協議に関して、骨抜きや先送りがあった場合は国民に対する背信行為で内閣不信任に値するほどの事案だと認識するとおっしゃった。冒頭発言でもあったように、現状の政府案では不十分だ、被害者救済が十分できないといった指摘がある中で、仮に政府・与党側が立憲民主党の主張を受け入れなかった場合、どのように対応するお考えか。内閣不信任の可能性も含めてお聞きしたい。

【代表】
 今は、この協議の最終盤、私は総理が決断するものと信じています。
 当事者(実務者)間における協議、そして幹事長間における協議と、してきたわけですね。そういう中で、おそらく総理も被害者の方々と会っているわけですから、その被害者の方々にとって役に立たない法律でいいとは思っていないはずだと思っていますので、その総理の決断、最終最後、私は期待し続けていきたいと思います。現時点で仮の話をする状況にはありません。

○代表就任1年を振り返って

【時事通信・木田記者】
 もう一点、別件で伺いたい。先月30日に泉代表は就任1年を迎えた。先週のぶら下がりの際は成果を出しつつあるとおっしゃったが、一方で、立憲民主党の支持率が上がっていない、政権の受け皿として十分国民から認識されていないという状況であるのも事実だ。こうした現状をどのように分析し、どう問題を打開して2年目に臨むのかお聞きしたい。

【代表】
 まず、野党第1党の支持率というのは、2012年以降、そう変わっていないということですね。選挙前は別にして。今の状態が支持率が上がっていないというふうによく言われがちですが、私はそうそう簡単に支持率が反応するものではないと思っています。
 では、そのときに、支持率獲得のために暴れ回ればよいのかということでいえば、そうではないと思います。むしろ政党としての信頼感を一歩一歩高めていくことのほうが賢明だし、大切なことだと私は思っています。
 ですから、先日の記者会見でもお話ししましたが、やはり現実的な路線をしっかり守って、そして国民の皆様に一歩ずつ前進を体感していただくこと。現にこの国会で立憲民主党が与党とさまざまな点で協議して政策的前進を得ることができましたので、そういう姿、こつこつ取り組む姿をやはり見ていただく。それが将来的な支持率の向上につながっていくのであって、そのときには一気に花開く可能性というのもあると思います。
 じわじわとはなかなか、支持率が毎月毎月1ポイントずつ上がるとか、そんな簡単な話ではないと思います。

○防衛力整備に関する議論について(1)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 「反撃能力」に関する今のメディア状況についてどうお考えになるか伺いたい。防衛力強化の有識者会議には読売新聞の社長が入っていたりしたわけだが、ここ数日見ると、「反撃能力」について、どういうやり方をするかは別にしても、トマホークを500発とか、割合それに向けた世論構成というか、そういうのを顕著に感じる。あわせて、平和の党と言われていた公明党が、まさにそちらのほうに、中身が問われる前に合意していることも含めて、何かそういう今の世の中なのだろうけれども、そういうものに対して立憲民主党はこれからどういうふうに考えていくのか。メディア状況はやはりそういう流れになってきたのかなと思うが、お話を伺いたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 確かにウクライナにおけるロシアの侵略というものが日本の防衛政策を見直す一つの大きな契機になった。それに加えて、このアジア周辺の情勢というものを見れば、中国がかなり軍拡を続けているということ。また、北朝鮮のミサイルの不安が高まっているということ。こういうものがあって日本の防衛政策を全般的に見直さなければいけない。これはそのとおりであります。
 全般的に見直すからこそ、慎重な議論というものは当然必要ですし、予算が無限にあるわけではないということを常に我々は持っておかなければいけませんし、国家財政ということにおいて、これまでは、我が国の小さな子どもたち、幼稚園児から大学生に至るまで全ての教育予算を足し合わせたものと日本の防衛費というのは同じ規模でほぼ運営されてきているわけです。そこで防衛費がかなり増額していくということになるときに、では、どの費目の予算、どの項目の他の予算にどれぐらいの影響を与えるのか。また、各それぞれの予算項目もまだまだやるべきことがある。少子化対策もやらねばならない、教育の無償化も進めねばならない、科学技術の発展にも予算を投じなければいけない、経済産業分野におけるさまざまな支援策も講じなければいけないという中で、防衛予算は決して無限ではないということをよくよく政治の側は頭に置きながら、この装備品の購入ですとか防衛費の使い方を考えねばならないと思います。
 それに加えて、先ほどお話ししたように、周辺国を敵とみなしたり、そして周辺国を不信感で見続けるということだけでは、あるいは周辺国とそういった関係しか築けないということになれば、防衛費というのはより膨らまざるを得ないわけでありまして、だからこそ周辺国との信頼関係の醸成というものは非常に大事であると。防衛費を考える上でも大事であると思っております。
 改めてですが、先日も中国大使館を訪問して中国大使と会談をした際には、私は、中国の核弾頭を増やしていくという考え方を改めるべきだと、やめるべきだということは中国大使に直接話をいたしました。そうしたことは外交努力のほんの一部でありますが、あらゆる手立てを通じて、このアジア全体の火薬の量がただ増えればよいということに立たずに、アジア全体の火薬量を減らしていくということ。そして、新たなサイバー分野やドローンの分野においても、ただ単に周辺国全てが拡大させていくという方向ではなく、全体の中で管理、コントロールしていくということ。こういうことをもっと国民の皆様にも我々も発信して理解を得ていきたいと思っております。

○旧統一教会問題 被害者救済法案の審議に向けて(2)

【朝日新聞・鬼原記者】
 被害者救済新法について伺いたい。冒頭の話もあったが、立憲民主党として今後求めていく点を改めて確認したい。配慮義務では弱くて、禁止規定にということを少しおっしゃったが、今、配慮義務は3点あると思う。今後、与野党の修正協議があるのかどうかも含めてわからない状況だが、立憲民主党として求めていく点は、この配慮義務を禁止規定にすることという理解でよろしいか。

【代表】
 もちろんそれだけではありませんが、大きく一つはそういった点があります。
 これまで、マインドコントロールをどう定義するかということで、我々自身もマインドコントロールという言葉が法案そのものに書かれるというよりは、これを言葉として表現して法案の中に落とし込みができないかということを提案もしましたし、努力もしてきたわけです。例えば、マインドコントロールということについて、人の自由な意思決定を著しく困難とするような状況を惹起させる違法もしくは著しく不当な行為「困難状況惹起行為」というものを行って著しい損害を生じさせることとなる財産上の利益の供与を誘導する行為「特定財産損害誘導行為」を禁止すると。こういうことができないかと、そんな提案もしてきております。
 また、結局のところ、子どもや配偶者に生じた被害の救済を可能にすると政府は言うわけですが、子どもといっても未成年であればやはり親の同意というものが必要になってくると、事実上どこまで訴えが可能なのかということ。
 そして、扶養を外れてしまったら、では、その訴えをする対象ではなくなってしまうのか。でも、実際には子どもが成人になった後にも親が多額の献金・寄附をするということが当然あり得るわけでして、そういったものを防ぐには不十分であるということ。
 また、私たちは、親族の求めによって特別補助人というものを付すという、この制度もやはり実現していきたいと思っているところです。
 もちろんそのほかにも、寄附上限の目安ですとか、さまざまな提案をしておりますし、見直し規定等々についても我々としての考え方というのは伝えてあります。
 そういったものをできる限り盛り込んで、やはり被害者のためになる法案にしていきたいと思います。

【朝日新聞・鬼原記者】
 まさにできる限りという中で、残りの会期も限られていて、延長してでも今おっしゃったようなことをしっかり盛り込んだ法案にすることを目指されるのか。一度ベターなところというか、そこで成立させて、それでも今後見直しを含めて引き続き議論をするのか。いろいろな方法があると思うが、そこは今お考えはいかがか。

【代表】
 私たちは、やはり延長というのは、それはこの被害者救済法を成立させるという大きな使命、ミッションと比べれば、実に延長というのは簡単な話でありまして、国会を延長させて実のあるものを成立させられるならば、それは当然延長を辞さずという姿勢でやっていきたいと思います。
 政府の側が条文に書いていないことが我々は数あると思っていまして、では、その国会審議の中でどういったやりとりが政府の側としてもできるのかということも、今のままの政府案であれば相当確かめなければいけない。確認をしなければいけない。もちろん国会答弁で得られることというのも、実際に裁判を起こした場合等々においてどこまで有効に活用される答弁になるのかというところは不透明ですし、政府が法案が成立した後にさまざまな具体的な規定をつくっていくという話も、国会での審議が行われているさなかではわからないということであれば、やはり被害者の皆さんも納得できないところもあると思いますので、それなりに確認事項も増えていく。そういうことであれば当然国会の延長というのは行わなければならないと思います。
 ただ、繰り返しになりますが、延長ありきというのは、むしろ、野党の考え方というよりも、与党が、だからこそ野党案をしっかりと受け止めて、被害者が納得できる法案に持ち込む、法案につくり上げることができれば、延長というものは必要がなくなるかもしれない。今、その瀬戸際に立っているという認識を持っていただきたいと思います。

【朝日新聞・鬼原記者】
 冒頭で、党首会談のくだりで、岸田首相にお願いにも行きたいということもおっしゃっていたが、これは何か代表自ら申し入れるようなことを想定されているのか。

【代表】
 こちらから申し入れるということは、もう既に実務者レベル、幹事長レベルで行っておりますので、単に申入れのために行くつもりはありません。
 総理大臣が、やはり岸田総理が物事を動かすということのために、こちらでできるサポートはさせていただきたいとは思います。ですから、岸田総理が真剣に物事を動かす、そのときに我々に協力を要請したいということであれば、そこには私は進んで参加していきたいと思っています。

○議員立法「子育て世代・若者緊急支援法案」について

【朝日新聞・鬼原記者】
 話題が変わって、きのうのネクストキャビネット(次の内閣)の中で、「子育て世代・若者緊急支援法案」というのが図られたと思う。これは、幾つか項目があるが、どれくらいのスパンを考えて、緊急と入っており物価高ということを理由にされているが、要するにどれぐらいの期間続けるような法律を考えておられるか。仕組みづくりを。

【代表】
 続けるという意味では、我々は恒久的に続くものという認識ですね。続けていきたいということです。
 それは、出産費用の無償化。児童手当の特例給付が廃止されていますが、それを復活させていくということ。給食費の無償化。奨学金の利子について免除していくなどなど、あとは養育費を政府が肩代わりするということですね。こういうことというのは立憲民主党としては元々子ども・子育て支援の中で提案し続けていることなので、実現した暁にはやはり恒久化をしていきたいと思っています。

【朝日新聞・鬼原記者】
 今おっしゃった特例給付のところだが、児童手当の特例給付復活と。

【代表】
 第一歩ということですね。その後に我々立憲民主党としては、参議院選挙の政策でも書いていますが、全ての対象者に対して所得制限なしで高校3年生まで1万5000円と。これは参議院選挙の政策で我が党が決めて訴えているものでありますが、それとて最終的にゴールかといえば、そういうことでもないのだと思います。では、1万5000円という額でよいのかどうか。さらなる児童手当の増額ということだって今後はあり得ると思いますが、一つ一つのチェックポイントというかゴールポイントのような形で今回は訴えさせていただいているということです。

【朝日新聞・鬼原記者】
 答えていただいたが、ご案内のとおり特例給付というのは所得制限の完全撤廃にはならない。

【代表】
 おっしゃるとおりですね。

【朝日新聞・鬼原記者】
 そこは後退ではないという理解でいいか。

【代表】
 全く。一歩ずつ前進させていくということです。

○民主党政権を振り返って

【西日本新聞・井崎記者】
 この12月で民主党から自民党へ政権交代があって10年を迎える。当時、内閣府政務官もされていたこともあったと思うが、改めて、民主党政権の評価されるべき点、または課題だった点、反省すべき点。代表が考える主なものでいいので教えていただきたい。

【代表】
 民主党が全て行ったというよりも、やはり国民の皆様が起こした政権交代でして、その国民の皆様が起こした政権交代によって、例えば、それまではもう業界別の力順にある意味予算が割り振られていたような、業界主導の予算だったものが、一旦大きく棚卸しできたというのは、これはもう国民全体の成果だと思っています。行政刷新会議とか、そういうことを通じて、仕分けもありましたが、この仕分けというのはやはりあのときのパフォーマンスだけということでは全くなくて、その後も政府の中に盛り込まれて、今もなお行政事業レビューという形で生きているわけですね。そういった意味では、当時の民主党政権が苗を植えて、それがしっかり育ってきているものの一つが、この行政改革だと思っています。
 そのほか、例えば、今、全国でもう当たり前の存在になっていますが、当時私がまさに担当していたのは、こども園です。幼稚園と保育所がばらばらでしかなかったという中で、厚生労働省と文部科学省を双方ある意味テーブルに並べて、そして内閣府が主導する形で、この認定こども園づくりというものができました。これも完全な幼保一体化ではないのですが、選択肢をかなり広げることができて、利便性を高めることもできた。そしてまた、幼稚園と保育所の双方のよいところを重ね合わせて、全国でこども園が誕生したということに至っていると思います。
 そのほか、幼児教育の無償化とか、高校の無償化とか、こういうものも、もう今はまさに自民党自身がそれを取り入れて実施するというふうになったということでも、当時相当先駆けて民主党政権が取り組んだことでこうしたものは進んだのではないかと思います。
 また、全国各地にソーラーパネルも増えましたが、やはり再生可能エネルギーが我が国に可能性ではなく定着した一つのエネルギー源として捉えられるようになったのも、やはり民主党政権の大きな成果だったと思います。原発事故を踏まえて原発を忌避する動きというのはありましたが、やはりそれだけでは安定供給にはならないということで、ソーラーパネルだけではなく風力発電などを含めて再生可能エネルギーを複合的に複層的に整えていって、できる限り安定的な電源化をしていくということも、今や国全体の政策になってきていると思います。
 そういったことは、当時の3年3カ月という短い民主党政権でしたが、成果は大きかったと思っています。

【西日本新聞・井崎記者】
 しかし、ねじれ国会もあったかもしれないが、党内対立が激しく、なかなか何も決められないというイメージも少しついたと思うが、その辺に反省点は何かあるか。

【代表】
 いや、もう反省点だらけですよ。民主党政権が反省点がなければもっと続いていたと思いますので、それは大いに反省して、一つ一つを、例えば立憲民主党に所属している国会議員、特に当時の民主党政権のときに国会議員として在職していたメンバーは、一人ひとりが反省の上に立って、今、立憲民主党の中で次なる政権づくりに当たっていると、そう認識しています。

【西日本新聞・井崎記者】
 先ほど、こつこつとやっていけばいつか花が開くこともあるというふうにおっしゃっていたが、二大政党制は最近あまり現実的ではないような感じもしてきたが、代表は二大政党制の実現についてはどう考えていらっしゃるか。

【代表】
 私は、立憲民主党の代表として、当然、立憲民主党が政権を担う政党になるべく、最大限努力を続けていきます。その結果が二大政党であれば、それは我々としてはよくそこまでたどり着いたということになるわけで、何々政党制が理想とか理想ではないということよりも、立憲民主党が政権を担える政党になるかどうかということが大事であると思っていますので、今もその一点に絞ってというか、私たちは努力を続けていくと。
 単に二大政党制がいいとか悪いとか言っても、やはり国民の皆様がそうだと思わなければ意味がないので、私たちは、国民の皆様が自民党に代わる別な政党による政権を望むというふうに思っていただけるところまで、立憲民主党は努力をし、また、その政党になりたいと。ただそれを目指して活動していきたいと思います。

○旧統一教会問題 被害者救済法案の審議に向けて(3)

【NHK・高橋記者】
 2点伺いたい。救済法案について、今、政府・与党、岸田総理の決断ができるかどうか瀬戸際という状況だと思うが、なかなか決断ができない、時間がかかっている背景・理由はどういうものがあるというふうにお考えかということと、もしこのまま野党案をのまずに被害者・弁護団にとって資さない法案になってしまった場合には、国民の目にはどのように映るというふうにお考えか。

【代表】
 まず、先ほど10時から与野党国対委員長会談がありましたが、救済法案に対して我々からは申入れを行いました。
 一つは、当然ながらこれだけの重要法案ですので、いわゆる国会における重要広範議案として総理入りで審議がスタートされなければならないということです。
 そして、我々としては、3条の配慮規定。先ほども言いましたが、これを禁止行為に含めるということ。
 また、4条6項の「必要不可欠」というところの「不可欠」というものをやはり外さなければ余りに厳し過ぎる、使えなくなってしまうということ。
 これを改めて申入れをさせていただいたところです。
 来週火曜日の本会議から審議入りするということでありますので、私はもうこの審議冒頭から、まさに総理が国民に向かって本会議場で決意を述べていただく。そして、何でしたら我々野党が納得する言葉をもうその場で提示していただいてもよいと思っていますので、来週火曜日からの審議入りまでもそうですが、それ以降も、常に総理にボールがある。常に総理の決断に懸かっているという状態で、まさにこの審議に至っていくと思っています。我々としては、そこにしっかりと対応していきたいと、このように考えています。

【NHK・高橋記者】
 総理がそのような決断に至らなかった場合には。

【代表】
 まずは、やはり至るしかないと。
 それは、被害者と会われた総理が、その被害者の方々に「この法案ができました」「この法律が成立しました」と、もう一度例えば法案が成立した後にその被害者の方々にお会いして自信を持ってその法案を手渡せるかということですよ。その方々に顔向けできないような法案であってはいけないということです。
 総理自身が責任を負っているということです。ですから、総理の決断を信じたいと思います。

○防衛力整備に関する議論について(2)

【NHK・高橋記者】
 もう一点。防衛力に関してだが、政府は来年度から5年間での防衛予算を40兆円から43兆円で検討するということだ。この額に対しての受け止めと、財源の確保が課題となっているが、どのようにあるべきか、お考えをお聞きしたい。

【代表】
 まず、財源は、私は、予算委員会でも触れられましたが、増税ありきではだめだということです。当然ながら、防衛予算の中の歳出の効率化。また、国全体の、基金を含めて、特別会計まで含めて、無駄な予算がないのかという国全体の歳出改革。また、国会も例えば文通費、これもあるわけです。そういったものもトータルで歳出削減していくというのが、まず国民に対する約束でなければいけないと私は思います。
 そして、防衛予算増額ということはよくても、やはりどこかで2%ありきになってはいないかということですね。その前提でさまざまなメニューがそろえられていて43兆という規模になっているのではないかというところから、我々は厳しくこの査定も行っていきたいと思います。

○旧統一教会問題 被害者救済法案の審議に向けて(4)

【読売新聞・大嶽記者】
 高額献金の被害者救済・防止法案について伺いたい。先ほど日本維新の会の遠藤国対委員長が、足らずの部分は附則や附帯決議ないし答弁で穴埋めする、そこが全てでトータルで何点かというような発言があった。これまで立憲民主党と日本維新の会は救済法案をめぐって足並みをそろえてきたと思うが、この日本維新の会の遠藤国対委員長の発言について受け止めを教えていただきたい。

【代表】
 大事なのは、足並みがそろうとかそろわないという国会の各党の事情ではなく、やはり被害者の皆様が真にこれを使える法案だというふうに思えるかどうかだと思います。我々は常に被害者・当事者に寄り添ってきたわけです。ですから、どの党と共同歩調を取るとか取らないとか、それで賛否を決める話ではないと思うのですね。
 そういう認識で、附則・附帯ということが、では本当に実効性のあるものになるのかどうかというのは、まさにこれまで法律を最大限駆使して被害者救済に当たってきた弁護団の方々にとって、それが使える附帯、使える附則なのかどうかというところ、ここの判断がやはり待たれるところではないかと思います。そういったところをよく確認しながら立憲民主党としては判断していきたいと思います。

○防衛力整備に関する議論について(3)

【フリーランス・西中記者】
 冒頭来、防衛3文書の改定のことや、それに対するマスコミ報道などについて質問があった。実際は、確かに閣議決定は12月中に予定されているわけだが、この国会が閉幕してからということになるのだと思う。今回の3文書の改定も、本当に1950年代ぐらいから議論が続いてきた敵基地攻撃能力保有の議論の非常に具体的な形として文書に記載されると思うが、閣議決定の前に国会の会期を延長して会期内にちゃんとこの議論もすべきだという取組や、閣議決定が国会が終わってからされるということに対して何か異論というかお考えはあるか。議論がもっと国会でされた上での閣議決定ではないと思うが、そのお考えについてお聞きしたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 国会で開かれた議論が行われることは非常に重要なことだと考えています。
 一方で、ここまで、例えばことしの通常国会、そして、ことしの臨時国会と、国会で議論しようにも、彼らも、まだ中身が決まっていない、わからないということで、常に抽象的な議論にとどまってきたわけです。そして、冬には、この年内には3文書を決定するというふうにただ言い続けてきただけですし、有識者会議の議論というものも国民にはまだ全然伝わっていないところがあります。
 ですので、そういった意味では、これは閣議決定が国会中に行われたとしても、ちょっとこの臨時国会では本格的な議論という意味では全く足らないということにならざるを得ないので、来年の通常国会で本格的な議論に入っていくことになろうというふうに思います。
 ですから、本格的な議論が行われていない以上は、この政府のさまざまな、有識者会議の報告ですとか、自公の合意ですとか、あるいは閣議決定というのは、それをもって国家全体の方針がもう決まってしまったということではなく、まさにそこから国会の中での議論というものが行われなければいけないと思います。

【フリーランス・西中記者】
 追加だが、これは新聞報道に過ぎないかもしれないが、巡航ミサイル・トマホークを500発購入するとか、国内で長射程のミサイルを量産して沖縄とか南西諸島へ配備するといった報道もあるわけだが、こういった動きが、あとは「キーンソード23」といった大規模な訓練が沖縄南西諸島で行われたり、既成事実がどんどん先に進んでしまっているような状況がある。このような状況に対して何かやはり歯止めが必要だと思うが、それについてはどのようにお考えか。

【代表】
 ありがとうございます。
 これは防衛政策・安全保障政策は常にバランスが必要な話でして、行き過ぎはあってはいけない。しかし、全く訓練をしないわけにもいかないと思っています。
 その意味では、国民の理解を得ながら、先ほど50年代からという話がありましたが、確かに法律なりが想定していた当時の事態、国会論戦が想定していた当時の防衛技術・軍事技術と、今、大幅に環境が変わっているというのはこれは間違いないことでありますので、現在の他国の軍事力、軍事技術、そういうものは当然踏まえながら日本側も対応しなければいけないと思っています。
 その中で、先ほどお話ししましたが、周辺国との単に緊張を高め合うだけでは、抑止のような取組であって実は抑止どころか緊張が高まることになりかねないというふうに思いますので、やはり外交でどのようにして全体を管理、コントロールしていくのか。この視点が極めて重要だと思います。他国、周辺国との防衛交流というのもそのためにある部分もありますので、ぜひ交流ですとか外交というものを活発にして、信頼感の醸成、そして周辺の緊張の緩和という努力をしていきたいと思います。

○旧統一教会問題 被害者救済法案の審議に向けて(5)

【読売新聞・大嶽記者】
 救済法案の関係で伺いたい。先ほど泉代表のほうからは、附則や附帯決議については使える附則・附帯決議なのかということを判断していくというふうなご発言があった。ただ、きのうの長妻政調会長のNC後の質疑の中で、あくまでも条文の修正を求めるというような受け答えがあった。立憲民主党としては本体の条文の修正を求めていく考えなのか。

【代表】
 そうです。元々そう言っています。当然です。
 我々が言ったのは、その附則や附帯決議なるものが本当に実効性のあるものと当事者の方々が言えるものなのかどうかというところですね。我々がそれを、附則や附帯を求めていくということでは、現時点ではですよ、現時点ではと言うと変ですが、今は我々は条文の修正を求めていると。これが立憲民主党のスタンスです。

○「故渡部恒三氏」「経済政策」について

【フリーランス・小山記者】
 復興大臣が行かなかった福島に代表が行かれた。お墓参りをされた渡部恒三さんの薫陶というのは具体的にどういったことが一番心に残っていらっしゃるか伺いたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 やはり渡部恒三先生は、政権交代に向かって力を合わせて頑張れということが、もう一番のことだったと思います。自民党に残り続ければ本当にトップリーダーの一人に間違いなく当時からなっていた方ですから、自民党を率いる方にもなっていただろうという方が、この国に政権交代が必要だと、使命感を持って自民党を出られたわけです。だからこそ、当時の民主党が政権を担える政党になるために皆で力を合わせろということを常々我々若手にも言ってくださいました。
 それは今でも残っておりますし、私自身もその思いで、やはりこの立憲民主党という政党を政権交代可能な政党にしていくということと、皆が力を合わせなければならないということですね。その思いです。

【フリーランス・小山記者】
 もう一点。総理が代表との答弁で、増税はしないと、向こう10年しないと言った後に、軍事費の増強を宣言し増税の可能性も出した。これは大変私はショックだったが、最初は基金の言い訳かなと思ったが、その後、国債は使わないと宣言されている。立憲の組替え動議の内容が本来の政策よりも縮小されていたので、残り時間は少ないが、庶民のための経済政策を適切に訴えることができたのかと、ちょっと物足りなく思っている。参議院でこの2点についてしっかり最後まで詰めていくことはできるか。

【代表】
 衆議院と参議院の中での立憲民主党の方針というのは基本的には同じ方針で、さまざま我々としても努力を続けてきた中で組替え動議を出させてもらっていますので、当然、常に立憲民主党の考えだけで取り組めるものではないところもありますが、我々の思いとしては最大限この組替え動議にも盛り込んで出させていただいたし、参議院でも同様の対応をしていくということになると思います。

【フリーランス・小山記者】
 ということは、そんなに強い指示は出されていらっしゃらない感じか。

【代表】
 強い指示、というのは。

【フリーランス・小山記者】
 この辺を押せとか、そういったことです。組替え動議、縮小されているので、私は精いっぱいとは思っていない。

【代表】
 ごめんなさい、何から縮小されていると。

【フリーランス・小山記者】
 本来の立憲の経済政策として打ち出したものから縮小されている。なので、精いっぱいとは思わないが。

【代表】
 一党で出しているものではないので。