立憲民主党は12月13日、政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議の取りまとめに向けて、原子力発電所の運転期間の延長や次世代原発への建て替えや新設、安全性を軽視した再稼働の推進といった原発の最大限の活用等、原発回帰政策が検討されていることに対し、撤回を求める要請書を西村康稔経済産業大臣に提出しました。

 

 党環境エネルギーPTの田嶋要座長(衆院議員)は冒頭の発言で、「東京電力福島第1原子力発電所事故から11年が過ぎても、国民からの懸念の声が多くあり、昨今のエネルギー事情が緊迫しているのは理解できるが、丁寧な国民への説明や、手順を踏んだ議論が必要」と述べ、報道等で急いで原子力政策に関する政府の方針転換が進められていることに懸念を表明し、そのような方針転換は撤回すべきであり、安全性を譲ることはできない、と西村大臣に申し入れました。

 これに対し西村大臣は、「福島第1原発事故は一時たりとも忘れず、世界一厳しい原子力規制委員会の基準の下で安全性を最優先にと常日頃から大前提として考えている。一方で、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーの安定供給が非常に重要な局面となっており、責任を持たなければならないと同時に、カーボンニュートラルもあり、それをどう両立するかをGX実行会議で議論している。省エネ・再エネも補正予算で対応している。そのうえで、エネルギーの安定供給、脱炭素化に向けて原発は重要な位置付けと認識している。もちろん、原発を低減させていく大きな方向性があるので、震災前には30%程度あったウエイトを2030年には20~22%まで下げる方針の下、安全性の確保を大前提にしながら、地元の理解も得られたところは再稼働していく。その先の次世代革新炉についても、いま最終の取りまとめをしている。審議会の議論は既に終わっており、方向性が出ればパブリックコメントを行いたいと思っている」との所見を述べました。

 党環境エネルギーPTの山崎誠事務局長(衆院議員)は、「ウクライナ侵略によって電力の安定供給への認識も変わったが、原子力発電施設が武力攻撃のターゲットになっていることも大きいと受け止めている。経済産業省が原子力発電を推進するとしてもこれまでの避難計画では難しいのではないか」と、問題提起しました。

 西村大臣からは、「迎撃ミサイルPAC3等の訓練をしていること、経済産業省だけでなく、警察庁や防衛省、外交も含めて対応していくべき、また安全性の最終判断は規制委員会が行うべき」との応答がありました。

 田嶋座長は、「規制委員会が安全性確認を担うとはいえ、政府全体としても広く国民の命を守る責任がある」と述べました。

 申し入れ後、記者の取材の応じた田嶋座長は、「西村大臣は省エネや再エネも大事と述べていたが、どれくらい本気で力を入れているかが、事故から11年経ったいまの日本の状況を作り出している」とし、「私から言えば、原発のために、再エネ・省エネを生かさず殺さずやってきたのが自民党の政治だ」と指摘しました。

 また田嶋座長、山崎事務局長は14日、原子力規制庁の金子修一次長に対して、西村明宏環境大臣・内閣府特命担当大臣(原子力政策)宛の同じ要請書を手交し、意見交換を行いました。

 電力供給への不安や気候変動対策の強化の必要性等、様々な課題について、立憲民主党は引き続き政策実現を目指してまいります。

原子力政策に関する西村経済産業大臣への要請.pdf

原子力政策に関する要請(環境大臣宛).pdf