泉健太代表は12月23日国会内で定例の記者会見を開き、(1)来年度予算案閣議決定(2)GX経済移行債(3)立憲民主党「外交・安全保障戦略の方向性」――等について発言しました。
泉代表は冒頭、同日上皇さまが89歳の誕生日を迎えられたことに祝意を表明。「これからもご長寿でご健康にお過ごしいただきたいと思っている」と述べました。
新潟や東北が記録的な大雪に見舞われたのに続き、26日頃にかけて広い範囲で寒波の影響が予想されることを受け、党として21日に「12月22日からの大雪に関する情報連絡室」を設置。泉代表は、「国民に気象情報を分かりやすく伝え、災害対応に万全を尽くすよう政府に要請したい」と述べました。
政府が同日の臨時閣議で決定する来年度予算については、一般会計の総額が過去最大の114兆円規模、今年度の当初予算を約6.8兆円上回ると報道されています。これを受け泉代表は、「増加幅も総額もかなり大幅なものになる。岸田政権の財政の組み方は、規律に乏しいものではないか。概算要求よりも膨らむことはふつうあり得ない話。こうした規律のなさ、特に防衛費が大きく膨らんでいることに懸念を持っている。それに比べると子育て予算や社会保障予算は十分な配慮がなされていない」と指摘。加えて、新型コロナや物価対策などのために5兆円規模の予備費を計上とされていることを問題視。「コロナ禍でなし崩し的に予備費を膨らませたものを、パンデミックはいつ起こるか分からないとずっと5兆円を置き続けるのか。財政民主主義がなし崩し的に無視をされ、国会が関与できない予算の額が増えるのはあってはならない。来年度の予備費5兆円だけでなく、政府の予備費に対する考え方を議論することが必要だ。あらゆる場で政府に問いただしていきたい」と述べました。
政府による脱炭素推進のための投資を賄う「GX経済移行債」については、「償還財源が曖昧なまま発行を決定するとのことで、説明責任も問われていくと思う」と指摘。「かつて小渕さん(元総理)は世界の借金王と言われていたことがあるが、その時は減税も含めて対応している。これだけ財政が膨らみ、国債の発行も多くなる。しかし、国民には増税を求めるのが今回の岸田政権の特徴。この増税は国民の理解は得られないと思うが、言う場がない。国会が開いていない時に大きな方針を決めて議論なく進めようとするのは大変問題だと思う」と述べました。
泉代表は、安全保障の戦略についても同様だとして、立憲民主党「次の内閣」で20日に了承された「外交・安全保障戦略の方向性」に言及。「野党第1党として責任ある、現実的な取りまとめをした。専守防衛に徹することを明確にした。そして、自公(自民党・公明党)の合意に基づく政府の反撃能力が曖昧模糊、はっきりしていない。何の要件もない政府、自公の言う反撃能力では、時の政権や、何の前触れもなく行使するか否かが決められてしまうのではないかと懸念をしている。私たちは政策的な必要性と合理性を満たし、専守防衛と適合するか否かを見極めた上で判断するべきだと書いている。しっかりと要件、抑制的な文言を問題を定めたところは大きいのではないか。政府の3文書に対して立憲の考え方を基に、来年の通常国会で政府に問いただしていく。いろいろな兵器についても、何がどれくらい必要なのか一つひとつの精査も行っていかないといけない」と力を込めました。
政府が22日、原子力発電を最大限活用することなどを盛り込んだ今後の基本方針をまとめたことには、「安定供給を前提にしながら原発に対する依存をなくしていく、原発から脱却し新しいエネルギーにシフトしていく、この方向性を持つべきだと立憲民主党は言ってきた。原子力エネルギーの最大限の活用となると、再生可能エネルギーの市場にも大きなブレーキがかかりかねない。わが国は、着実に再生可能エネルギーを増やしていく努力をもっとしていくべきであり、省エネ技術ももっと使えるものが出てくると思う。そうした努力が足りない中で過去の電力に戻ろうとする姿は、過去への回帰になる」「(党の)安全保障戦略の中でも、原子力発電所の安全保障、防護対策が不十分だと指摘した。原子力発電所そのものも危険な存在だということで言えば、少しずつエネルギーをシフトしていくことが必要」などと述べました。