参院本会議で1月24日、2021年度決算報告に対し、会派を代表して羽田次郎議員が質問を行いました。

 羽田議員は冒頭、「昨年の臨時国会でこの決算の本会議質疑が行われるべきだったが、召集直後の財務大臣の不在や相次ぐ閣僚の辞任など、政府与党内での混乱により、決算審議を予算編成に反映させるという参院の取り組みをないがしろにする事態に至った」として岸田総理に弁明を求めました。岸田総理は、「引き続き、決算書類の早期提出、決算結果の予算への反映に務める」とは答えたものの、政府与党内の混乱への弁明はありませんでした。

 安全保障政策の抜本的な転換と財源について、「敵基地攻撃力を備えたミサイルの配備や、防衛予算をNATO並みの対GDP費2%に増額するなど、国⺠に⾒える形で中身の議論が全く行われていない」と指摘し、岸田総理に迫りました。岸田総理は、「抜本的に強化される防衛力は、将来的に向けて維持・強化されていかなければならない。財源については、27年度以降毎年4兆円が必要となるが、行財政改革の努力を最大限行ったうえで、それでも足りない約1兆円については、今を生きるわれわれが対応するもの」と、増税を見据えた答弁をしました。

 過去最大となった21年度決算の不用額等については、「21年度予算では、当初予算106.6兆円が最終的に173.3兆円まで膨れ上がった。繰越額、不用額と合わせると、歳出予算の16.6%が未執行となった。正に『どんぶり勘定』と言わざるを得ない」と厳しく批判しました。その上で、「これだけの多額の繰越額や不用額が発生したのか、とりわけ補正予算編成時における各経費の緊要性や積算、執行の⾒通しについても、徹底的に検証し、公表すべきである」として、総理の⾒解を求めました。岸田総理は、「新型コロナの感染の影響が不透明な中で、事業者等への支援に万全を期すため十分な予算を措置した」「内閣府の経済財政諮問会議などの場で、外部有識者に聞きながら経済対策を策定してきた」などと答えるに留まりました。

 コロナ関連事業の執行状況の情報提供について、会計検査院は、「国⺠の理解と協力を得ながら新型コロナウイルス感染症対策を進めていくために、広く情報提供することが望まれると指摘している。事業ごとの支出済額、繰越額及び不用額等の情報を補足資料として積極的に公表すべきではないか」と、現状認識と具体的な取り組み方針について岸田総理に質問しました。岸田総理は、「新型コロナ対策事業の透明性や国民への説明責任は重要と考えている。会計検査院の検査報告の趣旨をしっかりと受け止め、国民に対して丁寧な説明をしていく」と述べました。

 河川管理施設の耐震診断が未実施なことについて、「河川管理施設の耐震性能調査が行われた22施設について会計検査院が検査したところ、9施設では耐震性能が確保されているか不明であったり、対策の検討が行われていなかった」と指摘し、全国に整備されている河川管理施設全体での耐震性能の確保に向けた今後の具体的な取り組みについて、国土交通大臣に問いました。斎藤国交大臣は、「今回指摘を受けた9施設は直ちに耐震対策に着手した。全国の河川管理施設の耐震性能を確保し、災害時に適切に機能するよう対策を進めていく」と答えました。

 羽田議員は最後に、「今国会でも過去最大の予算案が審議される。限られた財源をどう配分するかが、時の政権の姿勢を示します。平和創造のための戦略的外交もないままに、防衛費に桁違いの比重をおく政権与党に対し、私たちは、子ども・若者支援、社会福祉に重きを置く。給食費無償化や、幼保の現場、障がい者福祉施設、介護施設で奮闘される職員皆さんの処遇改善、保育士の配置基準の⾒直し等を訴えている。適正な防衛費は確保しつつも、夢と希望の持てる、多様で、持続可能な社会を実現するために、今後も国会での議論を深めていく」と述べ、質問を終えました。