岡田克也幹事長記者会見
2023年1月31日(火)15時34分~16時02分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/wxqFE_N15JA
■冒頭発言
■質疑
- 児童手当の所得制限について(1)
- 外遊時の土産購入について
- (追加発言)安保政策等について予算委で質疑
- 児童手当の所得制限について(2)
- 防衛力整備に関する議論について
- ロシアによるウクライナ侵略について(1)
- 北九州市長選について
- ロシアによるウクライナ侵略について(2)
■冒頭発言
○第67回常任幹事会を開催
【幹事長】
まずは常任幹事会の関係です。
来たる党大会に向けて、必要な文書について、最終的なご意見をいただきました。その上で私に今後の微調整については一任するということになりました。内容はまだ皆さんに明らかにできる状況ではございません。
常幹についてはそういうところかなと思います。
○安保政策等について予算委で質疑
【幹事長】
予算委員会をやっておりますが、私も昨日質問に立ちました。例によって、無理を言って60分時間をもらったのですが、足らなくなってしまいました。特に「反撃能力」のところが、資料も二つ用意しておいたのですが、一つ目を示すだけで終わってしまって、今後、各委員に引き続きしっかり議論してもらいたいというふうに思います。
私が申し上げたのは、具体的にはどういうケースで、特に「存立危機事態」における「反撃能力」というものはどういうことがあるのか示してもらいたいということを申し上げました。そうでないと、これは議論のしようがないというふうに思います。抽象論で、3要件を満たす場合はとか言っていますが、要するに日本自身は攻撃を受けていない段階で、同盟国、例えばアメリカに対して攻撃があったときに、相手国の領域、つまり領土・領海・領空にミサイルを撃ち込むという話なので、もう少し具体的にこういう場合があると言ってもらわないと、まさしく、集団的自衛権の行使とはいえ、相手から見たら先制攻撃になりかねないような話であります。自ら戦端を開くということになりかねない話で、ここはしっかりと議論しないと、本当に専守防衛の枠を大きく超えてしまうことになりかねないということを懸念しております。
それから、これは「存立危機事態」の概念そのものが曖昧で、かつ、判断の基準も曖昧だということはきのう申し上げさせていただきました。きのうも申し上げたように、憲法違反か憲法違反でないかの境目なのですね。「存立危機事態」に該当すれば、自民党の、政府の解釈では、憲法違反ではないと。しかし、「存立危機事態」に該当しない中で武力行使をすれば憲法違反だと。そういう憲法違反か違反でないかという極めて重要な切り分けの概念、それが非常に抽象的であって、かつ、その判断基準も、きのう安倍さんの答弁を示しましたが、極めて裁量権が大きいものだというところは、仮に「存立危機事態」、限定的な集団的自衛権を認めるという立場に立ったとしても、非常に問題があるというふうに思います。
それから、きょうの玄葉さんとのやりとりを聞いていて、私はちょっとというか非常に気になったのですが、ミサイルではなく戦闘機とかドローンの場合であっても「反撃力」行使の場合になり得るのだと、例えばミサイルではなく戦闘機がやってきて日本を攻撃したときにミサイルで(相手の領域へ)反撃するということも総理は否定されなかったわけです。これは私は、非常に問題ではないかと、おかしいというふうに思っていまして、きのう議論しようと思ってできなかったのですが、3文書の一つの「国家防衛戦略」の10ページにこう書いてあるのですね。「反撃能力」とは、「その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合」に「相手の領域において反撃を加えることを可能とする」能力であると。「等」はついていますが、弾道ミサイル等、弾道ミサイルに準じるものだと思うのです。それが戦闘機までということになりますと、それでも相手の領域にミサイルを撃ち込めるということになると、無限に広がりかねない。戦闘機が該当するならば、それ以外の日本に対する攻撃があった場合に相手の領域にミサイルを撃ち込めるということになりかねないので、ここのところもしっかりと議論を詰める必要がある。
非常に、「反撃能力」の具体的中身についての議論。それから、特に先ほど言いました「存立危機事態」における「反撃能力」の行使。そういったところについては具体的に議論しなければいけないというふうに改めて感じたところであります。
○有機フッ素化合物規制の議論について
【幹事長】
それから、きょうの新聞で、PFASの規制の話が出ておりました。
これは私が沖縄に行きましたときに現場を見せていただいて、問題提起をして、党のほうでもそれを受けて政調で何度か会議も持ってもらいました。これは米軍基地だけではなく、自衛隊基地とか、あるいはその他の場所も含めて、高い数値が出ているものがありますので、早急に対応する必要があると思います。
アメリカはかなり先を行っていて厳しい規制を適用しており、民間の会社で900億円ぐらいの賠償を払ったところもあるということで、人の健康に関わるところで、特に水道水の話ですので、きちんとした対応を早くやってもらいたいと思います。
■質疑
○児童手当の所得制限について(1)
【共同通信・恩田記者】
児童手当の所得制限撤廃の件だが、泉代表は先ほどの党会合でも言及があったが、自民党に反省をということで、この予算委、両日求めてきているが、茂木さんはきのうの党会合で過去にこだわっていると述べたり、反省する姿勢はなかなか見えないと思うが、これについて幹事長の受け止めはどうか。
【幹事長】
話が二つあるのですね。
まず、所得制限を撤廃するのかしないのか。(茂木)幹事長は撤廃と言っているけれども、総理は言っていない。一人の意見だというふうに、切って捨てた。ここは自民の中でしっかり考え方を統一してもらいたいと思います。
それから、反省の話は、反省してもらいたいですよね。結局、何を反省するか。茂木さんは「日曜討論」の中で反省していると言いましたが、何を反省しているのかということです。やはり、所得制限を入れるということに象徴される、子ども・子育てに対する後ろ向きの姿勢が、十数年前、そういうことがなければ今の事態は避けられたかもしれないということです。そこの遅れについて、しっかり反省してもらいたいということです。茂木さんがそういう意味で反省とおっしゃったのかどうか、ちょっとわかりません。余りにも軽く言われましたので。
深刻にそれは反省して、そして、きのう申し上げた、家族で子育てするというのは当然扶養義務がかかるわけですから当然のことですが、だけど、それだけではどうしようもないからこそ社会全体でそれを支えなければいけないんだというのが私たちの主張で、同じ立ち位置に立って、本気でこの子ども・子育て(支援政策)をやってもらいたいというふうに思います。
○外遊時の土産購入について
【共同通信・恩田記者】
もう一点。予算委では岸田首相の長男の翔太郎さんが秘書官として外遊中に公用車を使ってお土産等を買ったという問題が出てきているが、国民民主党の玉木代表がきょうの午前中の会見で、民主党政権でも同様の事例があったということで、その土産を配る慣習ごとやめるべきだという主張をされたが、それについてはどう考えるか。
【幹事長】
私はそういうことはしませんでしたが、大臣によってはした方もいらっしゃるかもしれません。私は非常に無駄なことだと思っていましたが。
閣僚間で申合わせをするとか、そういうことはあっていいのだと思います。大体、大臣って、海外に行く人、行く機会があるのだから、お互いに贈りっこをしていたら、とても、その時間だけ、手間だけ、無駄になるのではないかというふうに思います。
ただ、それを、何と言いますか、法律で規制するとか申合わせで規制するという問題なのかどうか、それはそれぞれ判断かもしれません。内閣の判断かもしれません。
○(追加発言)安保政策等について予算委で質疑
【幹事長】
ちょっと先ほど言い忘れたのですが、私の質問に関して、あと2点申し上げたいと思います。
まず、43兆円の内訳について、私はトマホークと12式改良型の二つを取り上げたのですが、それぞれ答えが極めて不十分だったのですね。トマホークについては、数も含めて、これは言えませんと。500発という数は随分メディアに出ているのですが。全体の5年間の予算も言えませんというのは、ほかの国産であれば数字は出るのだろうと思います。なぜトマホークに限って言えないのかというのはよくわかりませんし、もし全体、歳出改革でお金をひねり出すというなら、これは43兆円という大きな塊だって同じような目でしっかり精査をして、仮にそこで年間1兆円減らすことができれば増税は要らないわけですから。予算委員会でも我々もしっかり指摘していきたいと思いますが、政府のほうも、慌てて年末に積み上げた数字ですが、もう一度精査してもらいたいと思います。これだけ特別扱いするのはおかしいということです。
それから、原子炉建屋にある、プールの中にある使用済み燃料の問題については、議論がかみ合いませんでした。総理が繰り返されたのは、規制委員会で乾式とプール、両方を認めているというような趣旨のことをおっしゃったのですね。しかし、私が主張したように、規制委員会はミサイルによる攻撃の場合は審査の対象にしていない。もうそれは民間事業者では能力を超える話なので、国の話だというふうに言っているわけです。一般論としてプールに入っているものと乾式について規制委員会が何か言っているとしても、それはミサイル攻撃の場合は除いて言っているわけですから、全く答えになっていないのですね、そこは。したがって、そこのところについてきちんとした答えが必要だというふうに私は思います。
玄葉さんもきょう言っていましたように、福島第一原発のときも、一番心配されたのは、燃料プールの水が抜けてしまって、そして使用済み燃料、かなりたくさん詰め込まれていましたから、それが冷やすことができなくなれば、東日本全体が人が住めないような、そういう状況に陥るかもしれないということが一番心配されたし、アメリカはそれを最も心配したわけですね。それだけの問題だということです。
ですから、プールに入って、もう使われてしまって、エネルギーの安定確保とかそういうのとは関係のない世界なのですから、これは。なぜそれが、より安定的な乾式キャスクなどに移して、建屋から少し離れたところで、敷地の中でもいいですから、より安全な形で保管できないのか。誘導策は政府はやっているのですが、やはりこれは法律できちっと期限を切って事業者に義務づけさせる、そういう問題だと思います。
これをやらずにもし惨事が起こったときには、私は岸田内閣、これは自民党政権そのものが怠ったことでそういう惨事を招いたということになりかねない、そういう問題だというふうに思います。国民の命を守るためになぜできないのかというのは、私は非常に不思議でならないところです。
○児童手当の所得制限について(2)
【TBS・星記者】
きょうの予算委で、2010年の子ども手当に関する自民党の議論の姿勢というか暴言というか、長妻政調会長から言及があった。総理は反省すべきは反省するというふうに発言しているが、総理のこの言葉をどのように評価されるか。
【幹事長】
いや、本当に反省しているかどうかですよね。本当に反省しているなら、もっと丁寧に、何を反省しているのかと。先ほど言いましたように、結局、やり方も極めてひどかったということと、それから十数年の遅れが出たという、その双方についてきちっと言葉を尽くして反省してもらいたいというふうに思います。
それから、きのうも出ていましたが、3党合意というのがあるのですね、このこども手当をめぐる。そこで所得制限を入れるということと、名前が子ども手当から児童手当になったということですが、そのときの私は当事者ですので、3党幹事長で最終的に詰めたわけですが、あのときは法律がまだ十分ではなく、参議院では我々少数になっていましたので、放置しておくと、私の記憶では、元の自民党の時代の児童手当に戻ってしまうという、そういう中で、法律をきちんとつくらなければいけないと。私としては、額を何とか守ろうと、それを最優先にいたしました。名前の話は、非常に悔しいけれども、児童手当にしろというならそれはそれで受け入れようと。名を捨てて実を取るみたいな、そういう感じだったのですね。
所得制限についても、私は当時の公明党の幹事長に言ったのですが、本当にこんな960万でいいのかと、せめて1000万を超えるぐらいのところに持っていかないとまずいのではないかということを言ったのですが、結局あの数字になってしまったということです。あと、自民党も政権に戻ってから特例給付をつけたりしていますから、やはりやり過ぎているんですよね、彼らも。その特例給付もまた一部廃止したりして、右往左往している感じが所得制限についてはいたします。
【NHK・岩田記者】
国民民主党が児童手当の所得制限の撤廃を盛り込んだ法案を参議院にきょう提出した。これについて、提出への受け止めを教えていただきたいのと、それから、この国会で野党の連携を強調して幹事長はおっしゃっていて、特に国民民主党との連携も前向きに検討していきたいということだが、今後、子ども政策をめぐってどのような連携をしていきたいと考えているか。
【幹事長】
所得制限撤廃は、私たちも主張してきたし、法案も出してきた話です。ですから、これだけ自民党の幹事長も含めて撤廃ということで一致するのであれば、与野党で一緒に出すということだって一案だし、我先に、私が先に出しましたというような、そういう話ではないというふうに思います。できるだけ、与党はともかくとして、野党で歩調を合わせてやるべき話ではないかと思います。
【NHK・岩田記者】
きょうの国民民主党の動きを受けて、これから玉木代表を含め、連携を取ってというか、話合いをしていきたいというふうにもお考えか。
【幹事長】
なるべく協力してやっていきたいというふうに思いますが、いち早く法案を出されたのはなぜなのかなと、率直に思いますね。
○防衛力整備に関する議論について
【フリーランス・横田記者】
今おっしゃった、乾式キャストなし原発推進の岸田政権というのが、国民の生命を脅かす存在だというのは岡田幹事長のおっしゃるとおりだと思うが、安保3文書についても、きのうの質疑応答でトマホークの具体的な内容を全く答えないとか、先制攻撃になるおそれについての歯止めについても答えない、岸田政権自体が国民の生命を脅かす存在だというふうに岡田幹事長もご覧になっているか。
【幹事長】
まだ議論が始まったばかりなので、政府の3文書の中でも「反撃力」とか予算の話はしっかりと予算委員会で詰めていきたいと思います。
【フリーランス・横田記者】
きのうの幹事長のやりとりを聞いていて、まさにアメリカの誤ったフェイク情報によって日本が戦争に巻き込まれるおそれがあるのではないかと。かつてイラク戦争のときに大量破壊兵器があると言って戦争が始まったように、台湾有事が米中戦争に発展して日本が巻き込まれると、それがフェイク情報で起こされるという危険もあるのではないかと、きのうの質疑応答を聞いて思ったが、この見解についてはどう思われるか。
【幹事長】
それは横田さんの個人の見解なので、僕はコメントはいたしません。
ただ、綿密に具体的ケースで検討した結果だというふうに総理は答えておられます。全部は言えないにしても、やはり具体的な、こういうことを考えて、この予算であったり、予算の積み上げであったり、あるいは「反撃力」という結論に至ったんだということは、もっときちんと説明してもらわないといけない話だというふうに思います。きのうの審議でも明らかになったように、2プラス2でアメリカと決めてしまっているのですね、さらに深めるということを。単に説明しただけではないんですよ、決めてしまっているんです。そういう姿勢は非常に疑問だと思います。
【フリーランス・横田記者】
そういう決めてしまった中に、横浜ノースドックへの部隊常駐があり、これは横浜市民へのリスク増になると思う。立民も推薦して支援して当選した山中横浜市政にも関わることだと思うが、これは立民として神奈川県連と一緒になって、検証を求める、中止撤回を求めるという可能性はあるか。
【幹事長】
具体的な話はこれから予算委員会などでしっかり議論していきたいと思います。
○ロシアによるウクライナ侵略について(1)
【フリーランス・堀田記者】
来月に、プーチンさんのほうで侵略したウクライナの一周年というか一周期になるが、立憲民主党として、これから何か取るべき態度というのか、日本国家ではなく立憲民主党としてどのようにしたらいいかというような意見とか案はあるか。
【幹事長】
我が党の考え方は、ここは政府と大きくは変わりません。やはりG7を初め欧州あるいはアメリカとの共同歩調を崩さないということが非常に大事だと思います。その中で、もちろん我が国には我が国の制約というのもありますから、例えば武器輸出についての制約とか、そういう制約の中でできる限りのことをやっていくということだと思います。
○北九州市長選について
【共同通信・恩田記者】
北九州市長選のことだが、弊社の世論調査では、与野党相乗りの候補と新人候補と激戦の様相となっている。与野党の候補と新人の候補で激戦になるのはなかなか珍しい構図かと思うが、こうなっていることについて幹事長の受け止めはどうか。
【幹事長】
ちょっと私も現地の状況をよく把握しておりませんので、何とも申し上げられません。我が党も相乗りで推薦もしていますので、しっかりと県連で対応していただきたいと思います。党としても、県連からの要請があれば、しっかり後押しできるようにしたいと思っています。
○ロシアによるウクライナ侵略について(2)
【フリーランス・横田記者】
先ほどの堀田さんの質問に関連して。ウクライナに対して日本は仲裁国の役割を果たすべきだと、これは大地塾、鈴木宗男さんと佐藤優さんの勉強会でそういう提案が出ていたが、立憲民主党としてそういう立場を岸田政権に求めると。このままだと、ずるずると戦争が長引いて、米国の軍事産業がもうかっても被害が増すだけだと。とにかく停戦をまず進めると。こういう役割を日本政府がやるべきではないかという主張なのだが、岡田幹事長のご見解をお願いしたい。
【幹事長】
これはなかなか難しい問題ですよね。当事国、ウクライナが戦争を続けるというふうに言っているときに、いやいや、もう停戦ですよというふうに外から言うというのは簡単な話ではないと思います。
ただ、トルコなどを見ていますと、停戦かどうかは別にして、例えば小麦の輸出について仲介したとか、そういうことはありましたので、我が国としても、NATOはある意味では正面から対峙している、戦争しているとは言いませんが対峙しているわけですが、我が国はそういう立場ではありませんので、もう少しやりようがあるのではないかというふうには思います。
【フリーランス・横田記者】
せっかく維新と立民で協議会、連携強化という動きが始まったわけだから、佐藤優さんと鈴木宗男さんを呼んで今の話をお聞きになるというのはどうか。
【幹事長】
いや、特にその予定はございません。鈴木さんは違う党ですし、現状ではそう簡単に停戦ということにはならないだろうというふうに思いますし、それがウクライナの望むことでもないというふうに思います。