衆院予算委員会は2月16日に2023年度総予算に関する公聴会を行い、立憲民主党から吉田はるみ議員が質疑をしました。

 慶應義塾大学大学院准教授の小幡績氏がいう、「ナローパス」(狭い道)すぎて、「やれることは決まっている。その中で日銀が一枚岩になれるかどうか」という指摘について問うと、小幡氏は「日銀の組織内の一枚岩も重要だが、周りの環境が重要」と述べ、政府、メディア、経済学者、日銀が一体となることが重要と指摘しました。

 リスキリング補助金については、小幡氏は、「(リスキリングは)企業が必要であれば、企業が雇っている人に足してやればよい。国が関与する必要は一切ない」「リスキリングをやろうと言う意欲が湧くような基礎力を養うために、幼児教育・初等教育に国のエネルギーを集中させたほうがよい」といった主張をしました。

 吉田議員は、「ベーシックなスキルを上げて少しでも時給のいいところに行きたいという女性の方が多い」「そういうところに支援をしていただきたい」「資源を集中していただきたい」と述べました。

 保育の質に関連し、東京都保育士等キャリアアップ補助金は補助金が保育士に行くことを条件にしていることから、こうした取り組みが国でもできないかと、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授の柴田悠氏に問うと、柴田氏は「補助金が賃金に反映されているかに関して規制緩和が行われ反映されにくい現状は、非常に由々しき状況」だと指摘し、「同時に制度もしっかり改善していく必要がある」「東京都の取り組みは非常に参考になるもの」だと答えました。

 東京大学名誉教授の北岡伸一氏には、安全保障に関連し、政府答弁は「外交上・安全保障上の問題がある」といった前置きがあり、一般的な例について求めても十分な説明がないとして、こうした答弁は難しいのかと問うと、「多くの国では秘密会をやる」「戦前の日本にもあった」「一部の国では、特に重要な問題は政府だけでなく野党の幹部・首脳ともシェアする仕組みを開発している」と述べ、「日本はちょっと不十分」だと指摘しました。

 株式会社資源・食糧問題研究所代表の柴田明夫氏には、小規模の農業をどう守っていくかとの観点から質問。柴田氏は「グローバリゼーションの中で私的収益単位としての農業、攻めの農業が焦点を当てられてきており開かれた市場も重要だが、安定供給やリーズナブルな価格形成に繋がらなくなってきている」「大きな流通から地産地消的な小さな流通を見直していく必要があり、そのために国内の資源・人材も含めてフル活用するような方向で社会的な生産単位で、国が農村に対する評価をもう一度替えてもらう必要がある」と述べました。