参院予算委員会で3月9日、2023年度政府予算における「経済・財政・雇用」に関する公聴会が開かれ、村田享子議員が質問しました。

 村田議員は、「岸田総理は防衛費をGDP比2%にする財源1兆円を増税で賄うということで、法人税、たばこ税、復興税の流用という話が出ているが、国民は納得している状況とは言えない。また、今まさに春闘が行われている。その中でも法人税増税は労使交渉に影響を与えている」と述べたうえで、「今回の防衛費増税」「今後の所得拡大が課題と言う意味で、春闘について」の見解を片岡剛士公述人に求めました。

 片岡公述人は防衛増税について、「名目GDP比で防衛費2%は、諸外国並みの水準にすることで望ましいと理解している」と述べたうえで、「一旦は倍に増えるかもしれないが、それ以降は増えない状況になり、さらに国民に過大な負担を課すことに繋がる。成長無くして防衛費拡大は持続不可能ということが重要」と指摘しました。また春闘については、「インフレ率が高まる中で、かつてないほど賃上げ圧力が加わってきている。中小企業も大企業の動きに引きずられる形で賃上げしていくという流れも出ている。この流れが続いていくことを非常に期待している」と述べました。

 新しい資本主義について村田議員は、「岸田総理はリスキリング、日本型職務給の確立、そして成長分野への労働移動で構造的な賃上げを実現しようとしている。この新しい資本主義、構造的賃上げで本当に日本の賃金が持続的に上がっていくのか」と、八代尚宏公述人に見解を求めました。

 八代公述人は、「一番大事なことはいかにして継続的な成長を実現できるか。そのためには生産性を上げていかなければいけない。生産性が上がって初めて、賃上げも実現する」と述べたうえで、「画一的な賃上げは好ましくないのではないか。ベアをいくら上げても問題はないが、定期昇給を強く要求されると、これは年功賃金をそのまま維持することになる。メリハリの利いた賃上げが重要になってくるのでないか」と指摘しました。

 村田議員は、本予算と補正予算の位置づけについて、「昨年の補正予算においても新たな基金の造成、または巨額の予備費を積むということがよく見られると感じている」として見解を求めました。

 片岡公述人は、「本予算の中で歳出圧力を避けようとするあまり、予備費を積んだり、また10年、20年ぐらいの中長期的な効果をもたらす支出といった話も補正予算に積まれている。こういったものはある意味是正する必要があると考えている」と述べました。