福山哲郎議員は3月13日、「物価高、少子化対策等現下の諸課題」に関する参院予算委員会の集中審議で(1)総務省「放送法の政治的公平性」に関する行政文書、放送法の解釈変更(2)LGBT政策――等について政府の見解をただしました。
福山議員はまず、総務省「放送法の政治的公平性」に関する行政文書を受け、高市大臣が「ねつ造」だと指摘する4つの文書の1つ、2月13日の大臣レクがあったかどうかを確認。総務省は「2月13日放送関係の大臣レクがあった可能性が高いと考えられる」「今現在、3月7日に公表した文書以外について承知しているところはない」と答えました。
高市大臣は、4つの文書ついてはあらためて「紙に書いてあることは不正確。確認の取りようがないが、自信を持ってあらためて否定する」などと強弁。福山議員は、「当時の総務大臣がねつ造だと言っている限り、総務省は行政文書に係ることが全て正確だと言えず、留保しなければいけなくなっている。森友・加計学園問題も同じだった。官僚が正確に文書を作成し、文書を公開したら安倍総理や昭恵夫人との関係が明確になるから、きっちりと残っていたから改ざんせざるを得なかった。それほどこの国の公文書は丁寧に正確に作られていると思っている」と指摘しました。
その上で、磯崎総理補佐官が2014年11月、所管外である放送法の解釈について総務省に問い合わせしたところから始まり、立場を超えて1人の局長との打ち合わせをして作られた解釈変更が現在の政府見解となっていることについて、そのプロセスを含めて問題視。「報道の自由は、憲法第21条の表現の自由の一内容。民主的な政治の根幹に関わる権利に係るものであり、極めて厚く保護されている。報道の自由は、放送番組が自律的に自ら編集ができる自由を与えている。これは戦前メディアを検閲したことへの反省だ。磯崎元補佐官や、自民党が言われている、公権力が報道の自由を規制することを通じて政治的な公平性を担保することなど想定していない。一番組の中で具的な基準がないのは、一つひとつ基準を作ったら検閲しなくてはいけなくなるから。立憲主義の中で政治側、権力側をどう制限するかが胆だ。考え方が根本的に間違っている。補充的な説明だからいいなんてとんでもない」と断じました。
福山議員は、審議会も法制局も通っていない、手続きに瑕疵があるものだとして、いったん白紙に戻して議論をし直そうと提起。岸田総理は「放送法の解釈をめぐるものなので所管する総務省が精査中であり、総務省から説明する課題。政府としての考え方は、解釈の変更ではなく補充的な説明を行ったものだとの考えを維持している」と、無責任な答弁に終始しました。
子ども・子育て政策に関しては、岸田総理が2021年の自民党の総裁選当時から「倍増したい」と発言していたことに触れ、「予算化が2年遅れていることを遺憾に思う。倍増するのであればわれわれにはメニューがある。野党の意見もしっかり受け止めて倍増に取組んでもらいたい」と要請。岸田総理は「野党の意見もしっかり伺いながら、国民の皆さん、当事者の声を大事にしながら政策進めていきたい」と答えました。
LGBT政策に関しては、昨年6月にドイツ・エルマウで開かれたG7サミットの共同声明(コミュニケ)に「性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、誰もが同じ機会を得て、差別や暴力からの保護を確保することへの完全なコミットメントを再確認する」とあり、岸田総理もこれに署名しています。福山議員は「LGBTの皆さんを保護する国内法を担保してほしい。総理自身がリーダーシップをもって差別解消するための指示を出す決意はあるか。G7でまさか去年より後退したコミュニケを出すつもりはないでしょうね」とただしましたが、岸田総理は明言しませんでした。