衆院本会議で3月14日、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案」の趣旨説明と質疑が行われ、立憲民主党から末次精一衆院議員が質問に立ちました。
末次議員は「路線バスや地域鉄道の利用者の割合は長期的な減少傾向に歯止めがかからず、2000年以降、2022年2月までに廃止された鉄軌道は全国で45路線・1157.9km」と指摘し、「通勤や通学の足を必要とする若年世代、通院の足を必要とする人々、高齢者といった移動の制約を受けやすい人々が大きな影響を与えた」と述べました。
末次議員は「地域公共交通はまさに、だれもが安心して安全に住み続けられるためのプラットフォーム」でありながら、「日本では、公共交通の運営主体は事業者であり、公的資金に頼らない商業輸送が基本となっていること、マイカー利用の急速な拡大と軌を一にし、地方部をはじめとして各地で公共交通機関が、地方任せ・事業者任せにされたまま危機にさらされてきた」と問題視しました。そして「これまでの過去の経緯を踏まえ、少子化の中で私たちは改めて、地域公共交通のネットワークを通じて地域の人々の暮らしを守ることの責務を考えていかねばならない」と訴えました。
地域公共交通の運営主体のあり方について、政府に質問しました。斉藤国土交通大臣は「多様な関係者の連携が重要。さまざまな取り組みを通じて、持続可能性、利便性、生産可能性等を高めていく」と述べました。
本法律案では、協議会の在り方について、鉄道事業者または自治体からの要請に基づき国土交通大臣が国による再構築協議会を開催できるとなったことを踏まえ、末次議員は最も重要なこととして、「地域の将来像について、移動の制約を受けやすい人々を中心に、幅広い人々の意見を十分に聴き、教育や医療・福祉政策と連携しながら地域の将来像を冷静に議論できる、地域が直面する課題に対応するための合意形成の舞台ができるかどうかだ」と述べました。
広域的な公共交通ネットワークの維持に関し国が果たすべき役割や交通ネットワークの分断を生じさせないために必要な機能について政府に質問しました。斉藤国交大臣は「複数の自治体が反対している場合は、事上困難となるが、国として対策が必要と考えたら、反対している自治体から理由を聴取する等、広域行政組織である都道府県と連携して粘り強く調整していく」と述べました。
末次議員は、「コロナ禍を通じ、ほとんどすべてのバス・鉄道事業者が赤字経営となり、借り入れ金が膨らむ中で、鉄道・バスの廃止の傾向に拍車がかかっている」と指摘し、具体的な支援策について問いました。斉藤国交大臣は「コロナの影響もあり、公共事業者の経営環境は一層深刻化」と認識を述べ、「予算案をつけ経営状況の必要な支援を行うよう取り組む」と述べました。