立憲民主党ジェンダー平等推進本部は3月28日、シリーズの最終回となる「第8回りっけん女性塾オンライン・トーク 『従属』や『同化』を超えて~女性が個人として認識される政治へ」を開催しました。ゲストにキャスター・ジャーナリストの安藤優子さんを迎え、安藤さんが昨年出版された「自民党の女性認識ー『イエ中心主義』の政治指向」に基づくお話を伺い、女性議員が少ない社会的・構造的な要因、その打開策等について西村智奈美ジェンダー平等推進本部長、辻󠄀元清美ジェンダー同本部副本部長、大河原まさこ同本部副事務局長と対談を行いました。

 安藤さんは、日本に広く、根深く社会に存在している、女性はこうあるべきだ、女性はこうらしくあるべきだという認識の正体が知りたいと思い、日本の社会や文化に基づく、社会学的なアプローチで分析し、1970年代に日本に提唱され、自由民主党が政策として取り入れた「日本型福祉社会論」に行きついた経緯を話しました。日本型福祉社会論では、女性が「家庭長」として、家庭内の安全保障を担うとされており、女性は子どもを育て、夫を元気に送り出し、高齢者の世話をして、家庭内の安全保障が女性によって完結することによって、国の社会福祉予算を減免することが大きな柱であり、「家庭長は常に家に存在し、常に家の構成員としてしか女性を認識しないという、極めて象徴的な女性認識」と解説しました。そして、経済政策における女性を常に利用し、妻、母、婚前は娘として、常に家父長に従う従属的なイエの構成員であるという認識は、女性個人をリスペクトするのではなく、女性を常にイエという物の中の構成員として認識するという構図だと話しました。そのことが女性議員の少なさに直結するのは、イエを切り盛りしている女性が、24時間365日間戦うのは無理であり、家庭長に支えられて何の憂いもなく365日、24時間政治活動にコミットできる男性の方が集票能力に長けているという認識によって、候補者選定の段階で女性ではなくて男性を選ぶようになるからだと説明しました。

 西村議員は、ジェンダー平等は人権の問題だが、人権の観点から語ろうとすると敬遠され、共感を得にくいこともあると打ち明け、女性が社会に出るということ、経済活動の真ん中、政策決定のプロセスに入っていくことは、経済のためでもあるのだとういう説明をしていると話しました。
 これに対し安藤さんは、「経済成長に女性の参画が欠かせないという視点は大切だと思う。一方で、一人の人間に立ち帰る、人権を保障してあげるケア政策のようなものが必要。女性が1人の人間としての認識をされていないというのが全ての問題に通じていると思う」「女性でも、男性でも誰でも、一人の個人としてリスペクトすることが全ての出発点。一人の個人として認めるということを共通認識として持ってほしいと思う」と語りました。
 西村議員は、政治が一人ひとりの声を受け止めきれていないと指摘し、「選挙の前だけでなく、普段から有権者と政治の距離を近くしておくことが必要」と話しました。また、政治家になろうと考えていなかったけれど、突然声をかけられ、「いっそのことやってみようかと思ってこの世界に飛び込んだ。やって良かったと思っている。国会で質問したり、政策を法案にして国会に提出できたり、今は成立しなくても政府が取り入れることもある。そういうやりがいのある仕事だということもぜひ伝えたい」と語りました。

 辻󠄀元議員は、「今の選挙制度は、子育てや身の回りのことをすべてやってくれる家庭長がいて、自分は政治と選挙のことだけ考えていれば強いという制度になってしまっている。それは男性ばかりがつくってきた政治のシステムだから、そうじゃないとなかなか勝てない制度が根付いている」と指摘しました。また、女性はガラスの天井に阻まれているのに対し、男性はガラスの下駄をはいているとし、加えて「世襲という下駄も履いていると実力よりも水増しした人が権力を握っている」と問題視しました。
 安藤さんは、分析した3回の衆議院議員選挙では、世襲、地元の名士の出身などイエを背負っている候補者が多く、とりわけ自民党にその傾向が強いことが分かったと説明し、「1970年代の女性を家庭長として女性を閉じ込めるみたいな政策は再生産されてきたと捉えている」「今まで男性だけでつくってきた政治は異様な政治。それを普通の状態に戻そうよと言っているだけ。逆差別でもなんでもなくて、同じフラットのところに立ってみること、あたり前に状態に一度戻してみようということだ」と話しました。
 辻󠄀元議員は、「ドイツやフランスなど欧州でもかつては女性が家庭長のような役割をしていたけれど、それを早くチェンジした国の方が、経済も好循環しているし、社会全体も一人ひとりが自分らしく生きられるようになっているのではないか」と指摘した上で、日本でも、男性ということで履いてる下駄をはずしてもらって、女性が意思決定の場に入り、社会や経済界に多様な考えを持ち込むことで、全体的に強くなれると語りました。

 大河原議員は、都議会議員の時に安藤さんから取材を受けて知り合い、今回の女性塾の講師をお願いしたと明かしました。「家族と晩御飯をもう何十年も食べてないと豪語するおじいさん、おじさん政治家がいて、その人たちが子どもたちの教育を語るのが許せなかった。男性議員に任せられないという強い思いをもった」と振り返り、日本型福祉社会論は、「女性とか家族を含み資産として、その中で安く使える労働力としか見ていなかった」と問題視しました。また、「政治は生活。ちょっと変だな、悩んでいること、何が邪魔をしているか考えたら、政治に行きつくというのが私の経験」と語り、政治への参画を呼びかけました。


 りっけん女性塾第1回から第8回はすべてYouTubeでご覧になれます。どうぞご視聴ください。

https://www.youtube.com/playlist?list=PLZaX2HgSozF5fybbhpJ2L0lHLiMD_OZB-