衆院憲法審査会が3月30日に開かれ、立憲民主党の奥野総一郎議員、米山隆一議員が「選挙困難事態」などについて発言しました。

 奥野議員は、緊急政令・緊急財産処分など緊急事態条項を憲法に規定する必要はないと明言しました。憲法は、徹底した国会中心主義の下、「緊急時には迅速な臨時会召集、衆院が解散中の場合『参院緊急集会』による対応を想定している。また、武力攻撃、内乱・テロ、自然災害、感染症それぞれにつき基本法制があり、濫用の恐れなく緊急事態等の認定が行われる仕組みができている」からだと説明しました。

 一方で奥野議員は、「緊急事態条項は不要と考えるが、『選挙困難事態』への対応については議論が必要と考えている」と述べました。有事の際など日本全土で選挙が長期間にわたって行えないような「選挙困難事態」が起きた場合、どう対処するかについて憲法に明示されていないからだと説明しました。まず、有識者による参考人質疑を行うよう森憲法審査会長に提案しました。

 「選挙困難事態」の認定に関して奥野議員は、「これを全て内閣に委ねることは濫用のおそれがあり、国会に全て委ねるとお手盛りになる恐れがある」と懸念を示しました。さらに最高裁判所も憲法判断を控える傾向があり、内閣法制局が事実上、違憲審査機能を担っていることを問題視しました。これに対して「欧州型の『憲法裁判所』を創設することが三権分立の観点からも立憲主義にかなう」と指摘し、憲法審査会で「憲法裁判所」について集中討議を行うよう求めました。

 米山議員は、「選挙困難事態」の認定に関して、一部の党から司法の関与に否定的な見解があることに対して、「民主主義が選挙だけで済むのであれば、共産主義国家だって民主主義なわけである。三権分立があり、選挙で選ばれていない裁判官がコントロールする部分があるからこそ民主主義が成立し、継続する。司法をもっと信頼してよいのではないか」と発言しました。