泉健太代表記者会見

2023年3月31日(金)10時30分~11時27分
編集・発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/9pL0GJDBYkg


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○政府の少子化対策案について

【代表】
 さて、まずは少子化対策です。
 これは政府がおそらくきょうの夕方に発表するというふうになっているところでありまして、報道によれば、いわゆる児童手当の所得制限の撤廃。そして、18歳までの支給対象年齢拡大。こういったことが児童手当で発表されるのではないかということになっております。
 これは両方とも立憲民主党がかねてから言ってきた政策でもありますので、言い続けて政権を取って実施したかったことではありましたが、こういう形で、これまで、この児童手当の所得制限撤廃ですとか、また、18歳までの支給年齢の引上げというのは、自民党が一顧だにしてこなかった中で、繰り返し委員会等でも、私もそうですが、質問してきた中で、これだけ自民党が政策の大転換をするということですから、やはり我々としても役割を果たすことができたのではないかと思っております。
 特に、この児童手当の所得制限については、彼らはつい近頃、特例給付をわざわざ廃止して所得制限をさらに厳しくした。そのときにはさんざん我々も、私もそうですが、これはおかしいのではないかと。時代に逆行しているのではないかと。そして、この特例給付の撤廃はやめるべきだということを言ってきたわけですが、そのときに随分強硬姿勢でこの特例給付を撤廃し所得制限を厳しくした数年前の自民党がありましたが、やはりそこから世の中も大きく動き、そして、野党の要求をとうとうのむという段階にまで至ったのかなと思います。
 そして、公立の小・中学校の給食費の無償化。これも我々法案を改めて出したところですが、以前からも言ってきたことが、こういったことも盛り込まれていくのではないかと思われます。
 また、保育士の配置基準の見直し。そして、育児休業給付の給付率の向上。こういったことが今後なされていくと。一刻も早くというふうに我々は思っています。
 ただ、おそらくこの政府から出てくるたたき台の問題点というのは、5W1Hで言うと「いつ」「どうやって」というところが抜けた状態になっているということですね。今、桜がだいぶ咲いていますが、桜が咲く状況にはない、残念ながらそんなたたき台、あくまでたたき台であって、木を植える段階ということであります。ですから、立憲民主党としては1日も早く、この花を咲かせられる状況をつくっていくということで、全くこの予算、例えば「倍増」と言うものの「倍増」の基準は何なのかということも明らかではありませんし、そして、具体的な金額、あるいは開始時期、これが示されていないということです。
 そして、もう一つは、基本的な家族の価値観というものは、旧来の家族観のまま、そこから動いていない。これもある意味自民党らしいなというところですが、選択的夫婦別姓ですとか、LGBTの問題ですとか、固定的性別役割分担意識の改善ですとか、こういったところはまだまだ足りないのではないかと思います。
 しかしながら、先ほど話をしたように、我々としてはこの花を咲かせられるように努力をしていきたいと思います。

○憲法審をめぐる小西議員の発言について

【代表】
 二つ目は、参議院(憲法審幹事懇後の囲み取材)における我が党の小西議員の発言についてです。
 「サル」という発言ですとか、「蛮族」という発言ですとか、これはまかりならんと私も考えておりまして、これまで参議院執行部等々に対して何らか対応するようにということも伝えてきたわけですが、改めて我が党としても謝罪を申し上げたいと思います。こういった発言は党の見解とは異なるものでありますし、そして、マスコミの皆さんや、他党の皆さん、そして国民の皆さんにも不快な思いをさせたと思っております。
 特にというか、例えば衆議院の側の憲法審査会についても言及をしたというのがありましたが、これは他党から言われるどうこうということではなく党内からも批判の声はやはりありまして、我が党として、この小西氏については、私自身も小西氏には厳しく注意をして、そして、今後こういった発言、行き過ぎた発言のないようにということを求めさせていただきました。
 改めてですが、思い余って、自制心をなくして、他者を攻撃するばかりということになってはいけない。常に節度を持って、国をよくしたい、国民生活をよくしたいという思いで各政党が、手段・手法・政策は違ってもそれぞれのアプローチの仕方で議会に政治に取り組んでいるわけですので、やはりそういった他者に対しても敬意を持つということは最低限議員として取るべき姿勢だと思います。
 そういったことからも、今回、参議院執行部のほうでさまざま判断をいたしまして、憲法審査会の筆頭幹事については、この任を降りていただくということを決定したというふうに聞いております。これは事実上の更迭というふうに見ていただいても構わないことであると思います。
 改めてですが、自身の立場の重さと、そして、常に自らを律して自制心を持って発言・行動していくということが極めて大事だと。これを強く私としても思うところであります。

○中国における邦人拘束事案について

【代表】
 続いてですが、中国で日本人が拘束されたということがございました。これについては大変憂慮しております。
 今、国際関係が非常に緊迫している状況の中で、日中について少しずつ対話が戻ってきたのではないかと言われる中で、こうした長く中国で駐在をしてきた経験豊富な方が帰国を直前にして拘束される。しかも、理由は不明であるし、聞くところによると、なかなかいわゆる領事面会等々も先進国間のようなものと比べると情報が伝わってこないだとか、拘束理由、具体的などういったシチュエーションにおいて拘束が行われたのか等々についてもなかなか伝わってこないと伺っております。
 改めてですが、この当該邦人の早期解放ということについて、私も近々、中国の(新しい)駐日大使が来日をして、我々のほうにも挨拶に来るやに聞いておりますので、そういった場もとらまえて、我々からも中国側には即時の解放、早期の解放ということを求めてまいりたいと思います。
 とにかく、今、中国駐在の方々全体にも相当な緊迫感があるというふうに聞いております。本来であれば自由なビジネス環境でビジネスをお互い活発にしていくということが相互において大事なわけでありますが、そういった環境が許されなくなってしまうというのは大変残念に思っております。

○統一地方選及び国政補選について

【代表】
 そして、もう既に知事選ですとか市長選が始まっておりますが、本日からさらに、この統一選挙における道府県会議員選挙41か所、そして17の政令市議選が告示されました。私たちの仲間も、今、全力で戦いをスタートさせたというところであります。
 昨日時点の擁立の状況ということで言いますと、道府県会議員は全国で204名です。現有の改選、今回の改選という意味では、現時点での現職は204名。それについて、公認・推薦を全て合わせると321名が立候補しているということになります。政令市については、改選が117、公認・推薦合わせて擁立が152という数字になっております。全員の当選に向けて、私も最大限努力をしてまいりたいと思います。
 また、この統一選に加えて、きのうの参議院本会議では吉田忠智参議院議員の辞職が許可されました。まさに退路を断っての挑戦となります。吉田忠智さんには引き続き国会で活躍をしていただくために、党として全力で応援をしてまいりたいと思っています。
 そして、千葉5区ですとか、山口4区。こちらも活動がさらに本格化しておりますので、我々として必勝を期して活動してまいりたいと思います。


■質疑

○政府の少子化対策案について

【時事通信・木田記者】
 冒頭のご発言に関連して、何点か伺いたい。まず、本日発表予定の政府の少子化対策のたたき台に関して、こちらでは財源のあり方に踏み込んでおらず事実上先送りされた形となっているが、この点の評価をお願いしたい。

【代表】
 「いつ」「どうやって」、この財源がないという問題ですね。これでは国民にはメニューだけ見せて実際の食事が届かないという状況です。
 これは本来、幾つかの点においては避けられたものであって、政府がこの2月・3月の予算の審議の中で、野党が従来から言ってきた先ほどの所得制限の問題ですとかを含めて、これを予算を組み替えてやりますというふうに決断をしてもらえれば新年度からやれるものというものも私はあったと思います。
 特に、防衛費が前年度比で26%増。一方で、この子ども・子育て支援がたった2.6%しか増えない。今回発表される少子化対策のたたき台というものがまさに示しているように、来年度予算ではほとんど国民に成果は届かない。これは大変残念な、政府のこれまでの対策の遅さが影響しているというふうに考えています。
 財源については、例えばこの予算審議の中でも政府は言っていましたが、国有財産の売却をしても、(新型)コロナ対策の基金が余っても、そして国立病院に基金があっても、それを全て防衛費に回すというのが今の岸田政権ですから、少子化対策に回そうという、その考え方がないわけですね。こういうことでは、財源確保というのは、政府自身が大変後ろ向きな考え方だというふうに言わざるを得ないと思います。

○憲法審をめぐる小西議員の発言について(1)

【時事通信・木田記者】
 別件で、小西議員の関係で。泉代表から注意をされたということだが、いつ、どのようなタイミングで注意されたのか。

【代表】
 それは細かく言う話ではないと思いますが、やはり厳しく注意をしました。

【時事通信・木田記者】
 昨日なのか、きょうなのか。

【代表】
 それは細かく言う話ではございません。

【時事通信・木田記者】
 小西議員からはその際どういった返事があったのか。

【代表】
 とにかく私からは注意をいたしました。

【時事通信・木田記者】
 小西議員が憲法審の筆頭幹事をいつ付で降りられるのかと、維新側が筆頭幹事の交代を求めていたが、これは維新の求めに応じたということなのか。

【代表】
 先ほども話をしたように、これは我が党としての考え方です。他党がおっしゃったことどうこうということではありません。やはり党としてけじめをつけるということは当然大事であるという考え方に立っております。

【時事通信・木田記者】
 いつ降りられるのか。

【代表】
 それは実際の参議院の手続によるでしょうから、参議院の執行部に聞いていただくとよいかと思います。

【時事通信・木田記者】
 小西議員の昨日の記者団へのぶら下がりに関して、維新の側からは、謝罪というより釈明と言えるレベルのものという批判もある。泉代表ご自身は、昨日の小西議員の謝罪・撤回は十分だとお考えか。

【代表】
 私は、その小西氏がやってきたこと、言ってきたことが十分だとか十分ではないだとか、そういうふうな判断を今しておりません。小西氏が独自でやっていることについて十分も何もなく、小西氏はまず自分自身でぶら下がりというものを開いたということなのかもしれませんが、それはおそらくマスコミに対して厳しい言葉を述べたことについて、マスコミの皆さんに対してのことなのかもしれません。ただ、その開くことというのは私が事前に報告を受けていたものではありませんので、それについて十分とか十分ではないということを言及するものではないと。
 党としては、しかし、この状況というのを、小西氏の発言ですね、これはやはり我々として看過はできないと考えています。

【時事通信・木田記者】
 関連で。維新の側から、しかるべき対応がなければ政策連携も凍結させていただくという旨の通告がきのう政調会長レベルであったかと思うが、小西氏の発言が維新との国会共闘に影響を与えたことについてはどう受け止めていらっしゃるか。

【代表】
 いや、何か他党のことでどうこうというのは、何も今コメントはありません。
 とにかく我が党として、これは他党の皆様から言及されるまでもなく我が党として判断すべきことだと思っておりますので、それに尽きます。

○統一地方選について

【読売新聞・岩本記者】
 統一地方選について伺いたい。本日、道府県議選と政令市議選が告示された。立憲民主党としての位置づけ、あとは党勢拡大に向けて、どのように臨まれるか伺いたい。

【代表】
 立憲民主党として、地方の衰退が激しくなっている時代だからこそ、これまでの議会ではいけない、これまでの行政ではいけないという改革の姿勢を持って、そして、住民福祉を向上させるための重要な戦いだと考えています。
 地方の衰退。福祉の充実。そして、議会の改革。こういったものを旗印に、戦い抜いて勝利をする。そして、それによって、中央だけではなく国も地方も発展する、そんな日本につくり変えていきたい。そのための重要な戦いだと思っています。
 また、いつ行われるかもわからない国政選挙、衆議院総選挙というものも予想しなければなりませんので、そういったものにも着実な前進となるような結果を出していきたいと考えます。

○憲法審をめぐる小西議員の発言について(2)

【読売新聞・岩本記者】
 別件で、小西参議院議員の発言について。筆頭幹事を事実上更迭されるということだった。小西議員はツイッターで、一部の報道機関に対して、放送法違反だ、けんかを売るなんていい度胸だと、圧力とも受け取れる主張を繰り返している。小西議員は参議院の予算委員会で放送法の政治的公平性をめぐり政府や高市大臣を追及されていたが、若干矛盾しているのではないかと感じる。この点についてどうお考えか。

【代表】
 若干かどうかというのもそれぞれの考え方だと思います。
 とにかく、繰り返しになりますが、政治家として、議員として、自制心を持ってやはり発言をしていく。また、他者に対する敬意を忘れない。これがやはりとにかく大事だということですね。そういったものを失ってしまっては、結局、他者からの理解は得られなくなると。そう考えます。

【読売新聞・岩本記者】
 重ね重ね恐縮だが、報道機関に対して、けんかを売るなんていい度胸だといった発言、ツイッターだが、これについても泉代表ご自身もだめだと、そういった認識でよろしいか。

【代表】
 すみません、例えば今の発言と、そのほかに例えば一つ一つ挙げていった場合に、どこからどこまでが当たるかとか当たらないかとか、こういうことはたぶんその方々の取り方によってまた変わってくるところがありますので、一連の発言ということだと私はやはり考えます。この間の小西議員の発言ということにやはり行き過ぎがあったということだと思いますし、自制心を持って節度を持って発言せねばならないということです。

【読売新聞・岩本記者】
 ツイッターも含めて自制しなければならないと。

【代表】
 政治家ですから、発信も発言も、それは同じような意味を持つというところはあると思います。

【北海道新聞・今井記者】
 2点伺いたい。まず、小西さんの発言。泉代表も小西さんに厳しく注意されたということだが、その注意の内容。どういう趣旨の注意をされたか、内容を教えていただきたい。

【代表】
 もう既に今述べたとおりのことです。それを注意したということです。当然、節度を持つ必要があるし、自制心を持たなければいけないと。

【北海道新聞・今井記者】
 何かそれに対して小西さんの反応というのは。

【代表】
 それは先ほどの記者さんにもお話ししました。一つ一つをつまびらかにする話というよりも、我々、私として、やはり今の発言というのは行き過ぎているという注意をしたということです。

○次期衆院総選挙について

【北海道新聞・今井記者】
 もう一点だが、代表が言及された衆院の解散・総選挙について。日本維新の党は、他党の話で恐縮だが、次の解散・総選挙で立憲を上回る擁立を目指すと、野党第1党を目指すということをかねがね掲げていると思う。現在野党第1党の立憲の代表である泉さんから見て、この維新の党勢というのはどう見ているか。

【代表】
 いえ、特段何も見ておりません。他党のことです。

【北海道新聞・今井記者】
 例えば脅威に感じたりとか、そういうのは。

【代表】
 特段何も見ておりません。他党のことです。

○憲法審をめぐる小西議員の発言について(3)

【朝日新聞・笹川記者】
 私も小西議員のことで確認させていただきたい。先ほど読売さんの質問にもあったが、今回、参院憲法審の筆頭幹事を降りてもらうというのは、ぶら下がりでの発言に加えて、ツイッターでの投稿の内容も含めて、その一連の言動を捉えての処分ということでよろしいか。

【代表】
 「一連」と言うときに、全ての方の「一連」がどこまで一致しているのかというのはありますよね。ですから、何を除外する、この発言は入っていませんとかいますというのは、なかなか定めにくいのではないでしょうか。
 しかし、一義的には、憲法審の会合の後に発言をしたことに端を発して、そこからこれまでの彼の発言を見るに、というふうに捉えていただいてよいかと思います。

【朝日新聞・笹川記者】
 憲法審の筆頭幹事を降りてもらう以外に、党としての何らかの処分は検討されるか。

【代表】
 我々として、憲法審の場、憲法審の会合を終えて発言をした、しかも衆議院の内容についてまで言及をしたというところに私たちとしては着目をして、もちろんその後のさまざまな発言というものも踏まえて、これは参議院執行部の中で人事を行ってきていますから、参議院執行部の中での対応ということで、こういった処分ということを、処分と言うと何をもって処分という言い方をするのかというのもこれまたいろいろあるわけですが、参議院執行部としての判断、それを私としても報告を受けているということです。

【朝日新聞・笹川記者】
 党の規約では、党の名誉を傷つける行為を党員がした場合に4段階の対応を取るということが定められているが、代表としては小西さんの一連の言動が党の名誉を傷つける行為に該当するというふうにはお考えにならないか。

【代表】
 党の名誉を傷つけるということの一般論と、いわゆる党の中のその何かの規定で扱うかどうかというところ、これは実は私のところで判断するのではなく、党で例えば何らかの機関が対応するかどうかというところの判断になっていくことではありますので、今、何かそれについて考えているということではありません。

【朝日新聞・笹川記者】
 最後に。小西さんは、この放送法の解釈をめぐる問題について、国会での論戦で先頭に立って政府を追及してきた立場だと思う。予算の成立後もこの問題については追及するというのが立憲の姿勢だと思うが、今後のこの放送法の解釈をめぐる問題についての国会での追及に、今回の問題が何か影響を与えるというふうにお考えか。

【代表】
 追及というのは、それぞれ追及の姿勢や仕方というのはあると思うのですが、それは何のために追及をしているのかといえば、それは国民の皆様のためということを忘れてはならないし、そして、では、なぜこの放送法の問題が国民の皆様のためなのかといえば、それは報道の自由が確保されるということが大事だからと。その本質をやはり我々は常に忘れてはならないということだと思います。誰かの首を取るとか取らないとか、そういうことが主題ではやはりないということですね。
 そこは特定の議員に限らず我々自身が気をつけねばならないことで、本質が何なのかということ。そして、どんな問題を扱う場合においても節度を持たなければいけないということ。自制心も持たなければいけないということ。
 ですので、本質をこれからも、もしその本質において曲がったものが政府にあるということであるならば、それはやはりしっかり整理をしてただしていかなければいけないと思っておりますし、これからも必要であれば続けていくことにはなると思います。

【産経新聞・大橋記者】
 きのうの小西さんの記者会見でも何度か法的措置という言葉をおっしゃっていたが、この問題、ちょっと個別の私のあれで恐縮だが、小西さんがサルのやることだと発言した記事を産経ニュースで載せたときに、小西さんから晩に届いたLINEが、オフレコで、しかもその場で撤回した発言をよくも書くなとあきれますが、書くのであれば以下の発言をちゃんと追記するように伝えてください、修正しないなら意図的な記事として法的措置を取りますと。ここをこう直せというところまで全部書いてある。これはどう考えても編集権への介入だと思う。きのうそれを小西さんともやったのだが、小西さん的には何かそういう根拠を示せみたいな、全然かみ合わなかった。この行為をまずどう思うか。

【代表】
 本当に、自身で例えば大きな問題を発見して、それを問いただす。これは尊いその出発点だというところはあると思うのですが、どんなに大きな問題を扱うにしても、やはり常に自制心を忘れてはいけないということ。また、客観性も忘れてはいけないということ。自分の戦いに余りに目を集中させ過ぎて周りが見えなくなってしまってはいけないということ。こういうことはやはり常に気をつけなければいけないですね。
 そして、こういうとき、そういうときだからこそ、周りの意見を聞いたり、他者の意見を聞いたり、冷静な目で考えたりということがやはり大事で、これは役所の皆さんとの例えばレクの仕方等々も含めて、人に対して、自らの考え方、認識で、周りをとにかく押しのけてというか、自説の主張のために最短距離をただ走ろうと思ってしまってはやはりいけないのだと思います。
 そういった節度が、やはり足らなさがあったのではないかというのを感じます。申し訳ございません。

【産経新聞・大橋記者】
 直さないなら法的措置を取るというのは完全に圧力だと思う、この発言は。これを黙認するとか許してしまうと、本当に今後、放送法の解釈をめぐって国会で政府を問いただしていく、その正当性が失われると思う、立憲民主党の。そこの点に対しては代表はどうお考えか。

【代表】
 今の記者さんのその開陳というのは、今この場でおそらく初めて公でおっしゃったのかなと思いますから、今の事実を我々が先ほどまでの段階で踏まえてということにはやはりならないので、今そのお話があったということを受け止めて、我々としては対応を考えていかなければいけないと思います。

【日本経済新聞・大澤記者】
 最初に、小西さんの発言に関連して、細かいところを幾つか確認したい。まず、代表からの注意というのは、念のための確認だが、口頭で注意したということでよろしいか。

【代表】
 何で注意をしたというのは、いろいろな形で注意をしました。口頭に限らないということです。

【日本経済新聞・大澤記者】
 口頭も含めて、いろいろな形で注意されたと。

【代表】
 はい。

【日本経済新聞・大澤記者】
 先ほどの朝日さんの質問に関連するが、党の規約では、名誉を傷つけた場合で、必要とされる場合、国会議員の場合は常幹に幹事長が必要と考えれば対応が移ると思うが、現時点で、今後の常任幹事会で処分の対応を検討するか、幹事長と相談するお考えはあるか。

【代表】
 そこは、今言っていただいたように、基本的にはまず幹事長の部局なりで、まずは考えていただくことになると思います。

○国会審議 後半国会に向けて

【日本経済新聞・大澤記者】
 別件で。今週予算が成立したが、足下では各社の世論調査で岸田内閣の支持率が上昇していたり、社によっては、複数社で支持率と不支持率が反転したというところがある。一般的に予算審議中は内閣支持率が減少傾向になることが多いとは思うが、これまで前半国会の国対戦略をどう総括されているか教えていただきたい。

【代表】
 それは一般論ですね。それぐらいしか、特段何もありません。

【日本経済新聞・大澤記者】
 後半国会に向けて、どういう戦略で臨まれるか、改めて教えていただきたい。

【代表】
 我々は別に、与党を蔑むためにとか、ただ単に打撃を与えるためにやっているわけではないので、おかしなことについてはおかしいと言う党として役割を果たしていきたいし、おかしなことがなくても、我々として行うべきだと、優先順位を高くする政策というものをこれまで打ち出してきているので、特に、GX法、防衛3文書、入管法、こういう重要な法案が扱われる後半国会です。
 立憲民主党の考え方で、やはり自民党と違うというふうに思うのは、エネルギーについては、今、原子力をすぐに全廃せよという考え方ではない。我々は必要であれば当面の再稼働というのはあり得るというふうに考えていますが、一方で、ここからさらに新しい次世代の原子炉の研究開発に多額の予算を投じて、それをまた各地に設置・建設をしていくというのは、本当に成功するのか。かつ、国民の理解が得られるのか。そして、我が国として正しい道なのかといえば、そうではないと考えていますから、中長期的には再生可能エネルギーへの投資をもっと、その力があるのであれば増やしていくべきだと。こういう考え方があります。
 この辺りを強く主張していきたいと思いますし、今、日本が世界に比べると賃金が上がらない国と言われている中で、世界から選ばれない国になりかねないと思っています。技能実習生、特定技能、そして世界からの外国人労働者。これまでは強気できたかもしれませんが、もう外国人労働者が日本を選ばなくなる可能性があるかもしれないというときに、改めて我が国がどのように外国の方々と多文化共生という観点から共存していくのかということも、この入管法でも問われてくると思います。
 また、防衛3文書については、立憲民主党自身は、防衛費の増加そのものを否定するということではなくて、数字ありきはおかしいと言ってきた。そして、場合によっては二重三重に予算の無駄が、この5年間で43兆円という中では発生するのではないかということも、兵器の単価が高くなってしまうのではないかと、こういうようなことも含めて具体的にこれから詰めていきたい。
 論戦の中で政府におかしいところをただしていきたいと思っていますので、そういう中の国会論戦を国民の皆様に見ていただいて、どちらが正しいことを述べているのかということで、選んでいただけるような国会にしたいと思います。

○憲法審をめぐる小西議員の発言について(4)

【フリーランス・堀田記者】
 きのう小西さんが、本会議が終わった後に、ぶらはちょっと不十分だということで、参議院の第1面談室で会見をやったが、この会見をやるということは泉さんは知っていたか。

【代表】
 いえ、知りませんでした。

【フリーランス・堀田記者】
 そうすると、注意をしたというのは、この会見が終わってからではないわけか、時間的に。

【代表】
 先ほど話をしたように、いつ注意したということを私は何か、一回切りの注意ということではないときもありますから、いろいろな形で注意していますので、全体としてはやはり厳しく注意をしたということです。

【フリーランス・堀田記者】
 はっきり言うと、問題になっている議員が何かを行うということに対して、例えば職員をそこに派遣して、どういった状況で行われたかということの記録を取るということについては、別に興味はありませんか。

【代表】
 面白い聞き方ですね。「興味はありませんか」というのもあれなのですが。
 基本的には、党がセットしていれば、そういう態勢になっていたと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 党がセットしていなくても、正直言って、今、きょうから千葉は県議選も市議選も始まり、千葉5区の問題もあるので、この小西さんの言動というものはそれにも影響すると思う。しかも、維新が非常に怒っている。維新の候補も出ているから、ここでいろいろとあるので、物事をきちんと決着するということについて、泉代表から小西さんにきちんと言った覚えはないか。

【代表】
 ちょっとおっしゃっている趣旨が幾つか絡んでしまっているような気がしますが、他党に言われてどうこうではやはりないということですね。他党が怒っているからとかではないわけです、こういうのというのは。党所属の議員が発言をしたということに対しての党の対応のあり方ということに尽きます。

【フリーランス・堀田記者】
 それから、きのうの会見が行われたということの詳細は聞いているか。どのような結果で終わったかということは。

【代表】
 何をもって皆さんが「詳細」とおっしゃるかというのは、それぞれだと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 何かは聞いているか。

【代表】
 何かは聞いています。

【フリーランス・堀田記者】
 どういう感想をお持ちになったか。

【代表】
 まず、やはりちゃんと党として、本来は、私は、参議院執行部と話合いをして、そういう場を持つべきではないかと思います。

【毎日新聞・安部記者】
 先ほど、今後も放送法の追及を続けていくということで、その理由について、報道の自由が大事だからということでおっしゃっていたが、泉代表が報道の自由が大事だと考える理由を教えていただきたい。また、与党・野党を問わず、国会議員として報道の自由ということについてどう向き合っていくべきか、お考えを教えていただきたい。

【代表】
 報道の自由が大事なのは当たり前ではないですかね。それは我が国が自由と民主主義の国であるからであります。それがまさか記者から質問されるとは思いませんでしたが。
 そして、今後も続けていくというのは、真実について不明な点があればそれは問うていくということであって、何かその追及戦略を続けていくとか、辞任をひたすら求めていくとか、そういう答えありきの話ではなく、政府がどういう見解に立っているのかということの整理はしていかなければいけない。それが不十分であればということですね。そういうことです。

【毎日新聞・安部記者】
 日々我々にニュースとして報道される立場として、どう向き合っているかも教えていただきたい。

【代表】
 マスコミの皆さん、報道の皆さんというのは、国民と発言者をつなぐ役割をしていますから、その発言者の考え方なりが圧力なく国民に伝わるということ。皆さんもその真実の報道というのを目指しておられると思うので、そういった環境が維持されることがとても大事だと思います。

【NHK・高橋記者】
 小西さんの件について、憲法審の幹事を更迭されるということだが、こうした小西さんの発言が憲法の議論に与える影響についてどういうふうに考えていらっしゃるかと、もし後任の幹事等々も決まっている、検討している状況であれば教えていただきたい。

【代表】
 まず、二つ目のところは、現時点で何かはございません。私もその話を聞いてはいないという状況です。
 与える影響というのは、それは実際の憲法審の中で引き続き対応していくということだと思います。

○入管法改正案について

【フリーランス・西中記者】
 先ほど一言触れられた、入管法の改正について伺いたい。法案が4月半ばにも衆議院本会議で趣旨説明が行われ審議入りするかもしれないという情報が最近ある。今国会冒頭の1月15日の衆議院本会議で泉代表の後に続いたおおつき紅葉議員も、名古屋入管でのウィシュマさん死亡事件以降も入管収容施設での死亡事案が続いていることや、まさか一昨年の多くの国民が反対して廃案になった入管法改正案をそのまま出すのではないでしょうねといった問いただしも岸田首相にされた。実際に閣議決定された法案は一昨年とほとんど同じ骨子の法案が出てきたわけだが、それに対して、このような法案は修正ではなく廃案にすべきだという声が高まっており、全国各地で反対デモが行われたり集会が行われたり、全国19か所の弁護士会も抗議声明を公表している。こういった廃案を求める声が今非常に強くなってきているわけだが、4月中旬にも衆議院で審議入りするという中で、この入管法改正案に関して党としてどのような姿勢で臨むか、泉代表の現時点でのお考えをお聞きしたい。

【代表】
 今の入管法の問題点、これを改革するために、政府案のおかしなところを変えるために、全力を尽くしたいと思います。その手法、国会での対応の仕方というのは、各現場現場で、今、最善の方法を目指して検討しているところであります。

【フリーランス・西中記者】
 ということは、基本的には、対案を出すことも考えられるが、やはり廃案を求めていくような取組を野党合同でやっていきたいというお考えか。

【代表】
 記者さんのお望みや要望や考え方ではなく、立憲民主党として党内で、最善を尽くすために、今、議論をしておりますので、その考え方に基づいて今後対応していきたいと思います。

【フリーランス・西中記者】
 私の声というよりも、そういう意見が今強くなっているという意味だ。

【代表】
 そういう意見が強くなっているのは了解いたしました。ありがとうございます。

○「文化庁京都移転」「GX関連法案」等について

【フリーランス・小山記者】
 この度、文化庁が京都で開庁した。泉代表のご提案がきっかけだったような話がSNSに載せられていたが、これまで実現のエピソードなどがあればお願いしたい。

【代表】
 私の提案が第一声ということではありません。私が、2015年の段階で、今から8年前ですが、この文化庁のことを取り上げて質問したときには、まだ政府が決定をしていなかったときでした。京都の多くの、当然ながら行政、経済界、そして地元の皆さんからさまざまな声が上がる中で、政府がまだ決定をしていないという状況が続いていました。そういうこともあって、ぜひ私から質問をさせていただいて前向きな答弁を勝ち取りたいという思いで質疑をさせていただいたということになります。
 当時は、たしか小泉進次郎さんに答弁をしてもらったわけですよね。「地方創生」というものが、あのときは石破大臣とか小泉さんとかが、ある意味、政府の主要課題として取り組んだというところはあったと思いますが、その後、地方の活性化というのは少し政府の中で後ろ側に回ってしまっているきらいがありますから、何とかこの文化庁の京都移転というものは、文化行政を活性化させる。関西地域にも、日本の歴史で言えば都が置かれていた歴史が大変長いエリアですので、多くの国宝や重要文化財がある。伝統工芸士も4分の1は京都に在住しているとか、いろいろな優位性がありますから、行政としてしっかり定着をさせていくということと、この文化庁がもたらす経済効果であったり活性化というものについても数字をさまざま出して、この役割というものをしっかり認知をしてもらえるようにしたいなと。
 一方で、今、課題になっているのは、職員が東京と京都を本当にどれだけ行き来しなければいけないのかということがありますから、ここはオンラインだとかをより進めて、全国各地に行政組織があっても十分にやっていけるということを、これからの時代、もっと示していかなければいけないなと。そんなふうに考えています。

【フリーランス・小山記者】
 二つ目だが、GX束ね法案については、まだまだ市民のほうでは有識者からの声が絶え間なく上がっているということだが、国民民主党の玉木さんの会見をオンラインで見たが、束ね法案であることの恣意性をむき出しにしたような感想のご発言があり、ちょっと残念に思っている。グリーントランスフォーメーションに反対するなんて立憲は本当にそれでいいのかみたいなことをおっしゃっていて、泉代表のほうからこちらの場で言い返してもいいのではないかと思って、ちょっと反論をお願いしたいと思うが。

【代表】
 反論というか、私が先週記者会見で既に述べていて、GXについては賛成ですということを冒頭申し上げて、法案の我々の対応、考え方というのを記者会見で述べていますので、それをおそらく読んでいればそういう発言にはならなかっただろうなと思います。

【フリーランス・小山記者】
 原発がたくさんあり地震もたくさんある国だと観光立国と言われても行くの怖いよねと外国人に言われないかと、今度ちょっと聞いてみようと思う。3点目だが、やはり小西さん、私の立場からちょっと心配でという感じで、大手のメディアさんにとってどうかというよりも、自民党に近い方々が何を言っていらっしゃるかというよりも、ごく普通に全国で穏やかに暮らしている、普段意見を言わないような国民にとって何が大事なのかということで考えると、やはり憲法はとても大事なものだと思う。憲法審査会の筆頭である、そのシンボルである小西さんの言論がちょっと元気をなくし過ぎないように気を遣っていただきたいと思う。放送法に関しても、現状、高市大臣はしらを切っているので、ちょっと小西さんが負けのイメージに演出されているのかなと見えてしまう。放送法に関しても、国民が辟易している部分について問題提起してくれた小西議員には国民の強い支持が寄っているとも感じる。狭い範囲での価値観のジャッジがなされることには大変危機感を覚える。この部分というのは堅持していかれるか。要は、放送法に関しては本論についてよどみなく追及を行っていただきたいが、それができるかということと、憲法審のほうのテンションが落ちないようにしていただきたい。今、参院の緊急集会という内容で立憲が抵抗してくれるのを国民は見守っているので、こちらもテンションを落とさないようにしてほしいが、いかがでしょうか。

【代表】
 「いかがでしょうか」というよりも、ご意見として承りたいと思います。

○憲法審をめぐる小西議員の発言について(5)

【テレビ朝日・森本記者】
 小西議員についてだが、オフレコの場で発言したというふうに本人は認識されているとおっしゃっていたが、憲法審の幹事懇の後の集まりというのは、ICレコーダーもその場で記者も回していた状態で発言されていて、本人のご認識とは違うかもしれないが、事前にオンレコでいいか確認していたという話も出ている。その状態で話していた中で、途中でオフレコなんだよねというふうな言葉を入れたから、そこからオフレコになるとか、きのうの会見の場でも、途中で今からここはオフレコでと。カメラもいる状態、記者もかなりの人数がいてICレコーダーもすごく回っている状態で突如ここからはオフレコでというふうに始まったりと、小西議員のそもそものオンレコ・オフレコの差というか認識というのがずれているのかなという感じもしたが、そこに関して何かお話しされたりとか、党としてはどうお考えなのか。

【代表】
 今のその細かい話というのは、今そこでおっしゃっていただいて、私もそれについては、ああ、そういうふうに、今、おっしゃったんですねということを認識しているという状況です。

【テレビ朝日・森本記者】
 その幹事懇のときの発言というのはオンレコだったオフレコだったというのは、どういうふうな認識でいらっしゃるか。

【代表】
 それは私がどうこうではないと思いますよ。しかも、今、そこで何か立憲民主党としてそれはオンレコではないかとかオフレコではないかという話をしているものではありません。
 とにかく小西氏の発言に行き過ぎがあったということだと私は思いますし、そういった形で節度や自制心をなくしてはいけないということであると思うし、今の例で言えば、自分自身の感覚で全て他者が受け止めてくれるわけではないということを前提にして人とのやりとりというのはしなければいけないのではないかとやはり思います。自分がこう言えば必ず周りはこうなるという感覚・認識では、それはコミュニケーションにはならないのではないかと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 大体オフレコなんていうのは、常にオフレコなんていうのは週刊誌でやってしまうわけだから、秘書官のことも含めて、もうオフレコだオンレコだというのではなく、本当に自信を持って言うように、あなたから小西さんに言ってください。

【代表】
 まず一義的には、この小西氏の問題というのは、参議院執行部なり幹事長なりで、今、対応しているところです。もちろん私からはこの行き過ぎた発言について注意をしましたが、これは人としての注意はやはりしなければいけないと思ってしておりますが、決して小西氏一人のその認識で世の中が従うわけではないということに尽きるのだとやはり思います。ですから、そういったところはちゃんと受け止めてもらいたいと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 立憲民主党には優秀な方が多いが、便利であるということでツイッターとかを使い過ぎて、便利なものがまた不便になって、すぐ炎上する方がいる。要するに、発言をする前は、もうちょっと考えてやったほうがいいと思う。それを泉さんはきっちり言ってください。

【代表】
 これは我々は党内にもいろいろな意味でちゃんと伝えていきたいと思います。