衆院山口4区補欠選挙4日目の4月14日夕、党公認で立候補した有田芳生候補と泉健太代表は下関駅前で街頭演説を行い、強い雨が降る中、支援者や駅に向かう人々が足を止め耳を傾けました。有田候補は「過去は学ぶことはできるけれど、変えることはできない。しかし未来は知ることはできないけれども、変えることはできる」と訴え、最後まで戦うと誓い、支援を求めました。

 有田候補は、「日を追うごとに多くの人たちが大きな賛同を示してくれている。それが戦う者には分かる。ウグイスの皆さん、ドライバーさんも『こんな選挙は初めてだ』と言う。明らかに変化が起きている」「敗れることが恥なのではない。敗れるかもしれないことを恐れ、闘わないことが恥。私たちは勝利のために前進していく」と訴えました。

 泉代表は、「立憲民主党には拉致対策本部も統一教会問題の本部もある。有田芳生さんにはリーダーとして活躍をしていただける。一日でも早く国会に復帰をしていただきたい」と訴えました。

■有田芳生候補者

 この山口4区補欠選挙に立候補したのは大きく二つの理由がある。一つは、非業の死を遂げられた安倍晋三元総理の後継議席を巡る選挙で、野党第1党の立憲民主党の候補者がいなければ有権者に選択肢を示すことができないから。

 私の父は農林省を追われ、この土地にやってきて日雇い労働者をしていた。母は唐戸の保健所で働いていた。2人は1950年、当時の山口県大津郡日置村の県立農業高校の宿直室でわずか5人で結婚式を挙げた。両親の人生の出発点・原点があったから、私が今ここに立ち下関で補欠選挙の戦いに挑んでいる。私にとって下関、山口4区はルーツ。

 二つ目は、安倍政治がどういうものだったのか、公平に公正に評価しなけれればならない。それを争点にしなければならないと思ったから。2012年12月に第2次安倍政権ができ、2013年に「アベノミクスがうまく行けば10年後には国民の皆さんの所得は150万円上がります」と公約に掲げた。異次元の金融緩和と言い、アベノミクスは10年間の社会実験をやってきたがうまくいかなかった。アベノミクスに変わる経済の政策論争をやっていかなけれならない。この山口4区補選で議論を深めていきたい。

 参院本会議の質問に立った時に、安倍総理に拉致問題とともにアベノミクスについても質問した。「やっている感が大事だ」と言っていたと根拠も示し指摘したら、安倍総理は小さな声で「私はそんなことを言っていない」と述べました。何が言いたいかというと、やっている感の政治が今も続いているということ。

 異次元の金融緩和と言っていたが、今度は異次元の少子化対策。中身は何もない。やっている感しかない。一方でロシアのウクライナ戦争をはじめとして、世界が非常に厳しい、戦争か平和かという歴史的な危機にある時に、それを利用して岸田政権は防衛費だけは5年間で43兆円、GDP比2%にする。中身ははっきりしないのに、具体的にそういう数字だけは出している。GDP比2%になれば日本の防衛力は世界第3位になる。ただその中身ははっきりしていない。こういう政治をいまこそ私たちは止めなければならない。

 だから私は選挙に立候補してこの土地から第3奇兵隊を作り上げた。幕末、長州征伐で長州藩が厳しい立場にあった時に高杉晋作たちわずか80人ほどで功山寺挙兵を行い、無謀な戦いだと言われながら勝利に向かって進んでいった。今日は高杉晋作さんの命日にあたる。高杉晋作は病に倒れたが、農民平民の立場を越えて新しい日本を作ろうと立ち上がった。そして1年後には第2奇兵隊ができ、被差別部落の方々も取り入れられた。多くの犠牲を払っても新しい時代ができた。だが無念にも第2奇兵隊は解散させれた。高杉たちの思いは潰されいった。だから私はこの土地でこの選挙にあたって第3奇兵隊を立ち上げ、多くの人たち、小さき者たちの思いをこの選挙戦で訴える。

 自民党の多くから、無謀だ、保守王国で勝てるわけがないと言われたが、私たちは立ち上がった。過去は学ぶことはできるけれど、変えることはできない。しかし未来は知ることはできないけれども、変えることはできる。日を追うごとに多くの人たちが大きな賛同を示してくれている。それが戦う者には分かる。ウグイスの皆さん、ドライバーも「こんな選挙は初めてだ」と言う。明らかに変化が起きている。

 破れることが恥なのではない。破れるかもしれないことを恐れ、闘わないことが恥。私たちは勝利のために前進していく。

■泉健太代表

 政治家としての、そしてジャーナリストとしてのキャリアが十分の有田芳生さんが、今の政治に物申す、黙することなく「黙さず闘う」、その姿勢で立ち上がっていただいた。日本全国おかしいことにはおかしいという思いを持っている方がどの地域にもいる。そして立ち上がればどの選挙区であっても強固な自民党の地盤を覆すだけの民意はある。

 4月1日から新年度の予算が始まった。新年度の予算はあまりにも防衛費だけが増えている。自衛隊員の待遇改善だってしなければならない。北朝鮮からミサイルが飛んでくることに備えることも必要。しかし国家予算は皆さん国民の生活を第一に考えて編成する必要がある。岸田総理はどんな予算を作ったか。前年度比で、防衛費は26%アップする一方で、子ども予算はたった2.6%しかアップせず、食料安全保障が大事だと言われているのに農林水産省予算はマイナス0.4%に下がっている。

 いま賃上げが大事だと言われているが、小さなお店でも価格転嫁ができかといえばなかなかできない。中小、零細、下請けの皆さんの賃上げまでやっていかなければならない。私たち立憲民主党は今年度予算を作る時に、賃上げ予算を確保するのが政府の役割だと言ってきたが、どうなったか。経済産業省の予算は、前年度比でマイナス2.4%。

 わざわざ復興支援の枠組みまで流用して防衛予算に振り替えてしまう。国家公務員の宿舎で余った土地を売って国庫に組み入れ、皆さんの生活に使うと思ったら、それも防衛費に入れてしまう。コロナのために積み上げてきた予算で思ったよりも使わなかった予算も防衛費にまわしてしまう。いまの岸田政権は捻出したお金を防衛費に回す政権になってしまった。しかも新たに増税までする。あまりにもバランスが悪い。

 第3奇兵隊というと多少ドキッとする。私の選挙区は京都3区。鳥羽伏見の戦いがあった場所だから。改めて奇兵隊というのは何だったのかというと、階級・出生に関係なく一人ひとり思いのあるものが立ち上がって正規軍をも上回る戦いをした。それが奇兵隊であり、時代を変える役割を担った。この日本はいつの間にかどんどん世界から取り残される状態になっている。いまこそ私たちが危機感を持たなければならない。

 各国はどうやって活力を得ているか。男性も女性も働きやすい国にしている。日本はそういう国になっていますか。なっていれば、ジェンダーギャップ指数で116位なんていう国にはならない。もっと女性が活躍する国にしようではありませんか。

 下関市ではこの10年で2.5万人近くが減っている。山口県には自民党の名だたる国会議員がいて、この状況は何なのでしょうか。地方の衰退を全く止めることができなかったのではないか。当時の民主党の仲間たちが子育ては社会がやるべきだ、社会全体で支えるべきだと言った時に、山口県出身の政治家が「それはポルポト政権のようだ、社会主義のようだ」と言い、少なくとも日本の子育て支援、少子化対策は10年遅れた。だから変えないといけない。

 立憲民主党には、拉致対策本部もある、旧統一教会問題の本部もある。リーダーとして活躍をしていただける。有田芳生さんに一日でも早く国会に復帰をしていただきたい。

森本真治参院議員の掛け声で気勢を上げる参加者

 演説後に記者団の取材に応じた泉代表は山口4区の争点について問われ、旧統一教会の問題と地方の衰退は必ず争点になると述べました。

 旧統一教会の選挙への影響については、「安倍元総理が旧統一教会とかかわる以前から、岸元総理大臣が密接な関係を持ち、先日は韓国の外交文書から金丸副総裁が本来は入国できないはずの文鮮明氏を日本に入国させた」と述べ、「安倍元総理に始まることではなく、自由民主党という政党そのものが長く旧統一教会との特殊な関係を築いてきてしまった。それが多様性や多文化共生にまで影響を与え、わが国の女性の活躍をも阻害をしてきた。こういった歪な関係をやはり断ち切らなければいけない」と語りました。

演説を聞いていた学生に声をかける有田候補と泉代表
時折、和やかな話も