衆院内閣委員会で4月26日、内閣提出の「孤独・孤立対策推進法案」に関する参考人質疑が行われ、参考人として早稲田大学文学学術院教授の石田光規さん、認定NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク理事長の栗林知絵子さん、NPO法人あなたのいばしょ理事長の大空幸星さん、枚方市副市長の長沢秀光さんがそれぞれ意見を開陳しました。

 質疑に立った青柳陽一郎議員は、(1)施行後の地域協議会と地域の伝統的な支援団体との連携の在り方(全参考人への質問)(2)「子ども食堂」にこだわる理由(栗林さんへの質問)(3)若い世代の人間関係(石田さん、大空さんへの質問)――について取り上げました。

 青柳議員は、若い世代の自殺が増加している現状を受け、「若い世代の人間関係がコスパで判断するようになっている」「人間関係が必需品から嗜好品になっている」という論法を掲げる石田参考人に、その意味の説明を求めました。

 石田参考人は、「若い世代の孤独・孤立は重要なテーマになっている。高校を出るとクラスがなくなり、自分が動いていかないとつながりのなかに入れない。自分にとって望ましい人間関係を築いていける人と、そうではない人とがはっきりしてしまう。『つき合う必要のない人とはつきあわない』が徹底されると、選ばれない人が出てきてしまい、選ばれない人はどんどん孤独・孤立感を持ってしまう形になる。人間関係がある人も、自分がそのなかに受け入れられないキャラになると、そこからはじかれてしまうと感じ、一生懸命自分キャラを作り上げ、いかにすごい人かということを見せて友達関係を維持する。逃げ道があるといいが、人の中に入っていても孤独感を抱き、それが続くと精神的に病んでしまったりする」「悪いことがあったら助け合うのではなく、それを見せないように人間関係から退くことが、どちらかというと若い人たちの間に見られる。退いた人はつながる場所がなくなり、かなり悪い状況になると死を選ぶ。若い人の人間関係は、われわれが思う友達関係、つきあいとはかなり違うという認識が必要ではないか」と警鐘を鳴らしました。

 青柳議員は、昨年まで大学生だったという大空参考人には、「同世代として人間関係がどうなっているのか。それがコロナでどうなったか」と質問。

 大空参考人は、「人間関係を一度構築をすることと、壊れてから再構築することは全く別の話で、一度壊れた人間関係を再修復するのは難しいことが明らかになった。そこに対して制度が追い付いていないという側面がある。コロナ禍での行動制限でいわゆる社会的な関係を築く機会そのものが奪われた。いきなり対面授業に切り替えたが、友達の作り方が分からない、人間関係を築いてどうコミュニケ―ションするかが分からない。大学で言えば、まずはハイブリッド型、自分で選べる形にするのが理想だったのではないか」との見方を示しました。

 また、SNS空間について、行政を含めて大人たちは、非日常として捉えている側面があること、一方若い世代にとっては、生まれたときからある、日常生活のツールの延長にすぎないものだと指摘。そのSNSを非日常のものとして扱い、悪影響を与えるものだと隔離を取らせようとするとかえって悪いことがあると述べ、「SNSよりリアルな相談の方がいいという考えが根強いが、SNSは日常生活のツールの1つだという前提の上で、他の人と比較するような状況をどう改善していくか、違う価値観をどう広めていこうかという議論の組み立て方が必要ではないか」と提起しました。

 青柳議員は「親としても参考になった」と述べ、質問を締めくくりました。

栗林参考人
長沢参考人