衆院本会議で4月27日、政府提出の「脱炭素社会の実現に向けた電力供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」の討論・採決が行われ、「立憲民主・無所属」を代表して山崎誠議員が反対の立場から討論に立ちました。

 山崎議員はまず、法案の前提となる岸田政権のグリーン・トランスフォーメーション(GX)の基本方針について、「気候危機、さらにはウクライナ戦争を受けて、世界が再生可能エネルギーへのシフトを加速化しているなか、原発回帰を中心とした独自の路線を取ろうとしている」と指摘。「衰退する日本産業の再生の道がこの選択肢なのか。この方向性で日本は発展できるのか」と問いかけました。

 また、日本は地震大国で原発は常に過酷事故のリスクにさらされ、緊張が高まっていると言われる中で、武力攻撃の目標とされる原発を動かし続けて良いのかと提起。「東京電力福島第1原発事故から12年が過ぎたが、いまだに原発事故は収束に至っていない。原発回帰を決めるのであれば、この事故の収束に目途をつけ全ての被災者の完全な生活再建を実現してからにしてほしい。今も被災のただ中にある福島の皆さんにご納得いただくことはできない。国民の理解は得られない」と述べました。

 一方で、日本は太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど大きなポテンシャルを有する「再生可能エネルギー大国だ」と強調。「厳しいエネルギー事情がある今こそ、再生可能エネルギー導入に高い目標を掲げるべき。日本が選ぶ道は、原発依存からの一日も早い脱却、再生可能エネルギーへのシフトしかない」「世界で大きく成長している再生可能エネルギーや蓄電技術などの分野を、国はもっと後押しすべき。日本がリードしていた太陽光パネル、風力発電装置、蓄電池などの技術分野で、いま市場を支配しているのは中国や韓国の企業。自動車もEV化に乗り遅れ、厳しい状況だ。自公政権の産業政策は失敗の連続であり、与党の皆さんにはこうした不都合な真実にしっかりと向き合っていただきたい」と訴えました。 

 

 その上で、本法案は、「重大事故対策の強化」「バックフィット制度」「40年運転規制」「規制と利用の厳格な分離」等、福島原発事故を教訓に定められた原子力安全規制の柱を蔑ろにするものだと問題視。加えて、原子力産業への支援が「国の責務」「基本的施策」として詳細に規定され、原発依存を固定化するものとなっていると指摘しました。

 山崎議員は、「国の支援は本来再生可能エネルギーの導入にこそ注がれるべき」と主張。「著しくバランスを欠く原発優遇は、再エネへのシフトを遅らせる要因にもなる。GXの推進を、低迷する日本経済の復活のチャンスにしなければならない。GXエネルギー政策については国民的議論が必須であり、大企業だけでなく、広く有識者や中小企業、働く皆さんの声、国民の声を集めて真のGXを実現するよう強く求める」と述べ、討論を締めくくりました。

 本法案は採決の結果、自民、公明、日本維新の会、国民民主党各党の賛成多数で可決、参院に送付されました。