衆院憲法審査会で5月11日、参院の緊急集会、国民投票投票法改正に関して、立憲民主党の奥野総一郎、城井崇の2議員が発言しました。
■奥野総一郎議員
奥野議員は、日本国憲法の制定時、緊急政令や緊急財産処分条項が検討されたものの、「いかなる場合でも立法機能・行政監視機能等国会機能の維持を大前提として、事前の立法による政令委任、参議院の緊急集会の規定が設けられた」と経緯を振り返り、「緊急事態条項を憲法に規定する必要がない」と明言しました。
ただし、現行憲法上、大災害、大規模テロや武力攻撃事態、感染症などで選挙を期日までに行えない、いわば「選挙困難事態」に関する規定がないと指摘しました。どのような場合が「選挙困難事態」に当たるのか、その定義や判断者、期間などについて、有識者のヒアリングを行った上で慎重に検討すべきと述べました。
併せて現行憲法の参院の緊急集会に関して、任期満了で衆院議員が不在の事態で、類推適用で召集できるのか、全ての国会の権限を行使できるのか、70日を超えてどこまで国会機能を代行できるのか、などの検討が必要だと述べました。これらの問題が整理されない限り、「議員任期の延長の議論に至らない」と発言しました。
■城井崇議員
城井議員は、国民投票におけるネット広告の課題について発言しました。国民投票法が制定した15年以上前と比べて「インターネットを取り巻く環境は大きく変化し、国民投票法にも大きな課題を突きつけている」と指摘。アテンションエコノミー、マイクロターゲティング、フィルターバブルやエコーチェンバーが生じた結果、「内心の自由が知らぬ間に侵されるのではないか」と懸念を示しました。
これらの課題に対処するために立憲民主党が提案した国民投票法の改正案を説明しました。「まず第一に、放送CMについて、勧誘広告を全面的に禁止するとともに、政党等による意見広告を禁止すべき」と説いた上で、政党等によるネットCMの禁止、ネット事業者等による掲載基準の策定の努力義務、広報協によるガイドラインの策定などの規定を盛り込むべきと提案しました。そのほか、ネット広告に関与する特定デジタルプラットフォーム(特定DPF)提供者の責務の明確化など、新たに対処すべき論点も出てきていると述べました。