立憲民主党は5月12日、国会内で旧統一教会被害対策本部会議を開催。旧統一教会被害への救済・支援策に関する有識者ヒアリングを行い、立正大学心理学部対人・社会心理学教授で日本脱カルト協会代表理事、日本社会心理学会会長でもある西田公昭さんから、カルトとマインドコントロールとの関係、マインドコントロールの仕組みについてなどについて話を聞き、その後、全国霊感商法対策弁護士連絡会の吉田正穂弁護士、木村壮弁護士を交え意見交換を行いました。

 西田さんは、調査研究で集団健康尺度(GHS)を作成(得点で表し最低点は51点、最高点は255点)。アンケート形式で自身の集団経験でどの程度あてまるかを回答させるものを実施したところ、大学生の部活・サークル・アルバイト先などの集団経験と、現在議論になっている団体の集団経験をしたカルト経験者を比較すると、大学生は不健康な活動が明らかに低く(51-75点が多数)、カルト経験者はレベルが全然違うと説明しました。さらにカルト経験者の平均値が176-200点くらいだが、統一教会とオウム真理教の経験者は226-250点を取っており、「普通、経験し得ないようなひどい目に遭っていたということになる」と語りました。

 マインドコントロール状態については(1)外見上に特徴はないが、以前のその人物像とはまるっきりかわってしまった言動や印象になる(2)被害者は自由に考えているように錯覚し、支配を受けていることに自覚がないことが多い(3)どのような論理的な批判にも耳を傾けないし、批判的な意見には、蔑むように否定してくる――と説明しました。

 また、マインドコントロールは洗脳の進化系だと述べ、「洗脳」は身体的に拘束して拷問にかけるなどの強制をともないながら、行動や思想を押し付ける一方で、「マインドコントロール」は認知や感情に影響を与えて価値観を転換させ、思想や行動を誘導する、コミュニケーションの技法だと語り、マインドコントロールの場合、当人は操作されていることに気づかない場合が多く、自発的な意思だと思ってしまいやすいと説明しました。

 意見交換では、西村智奈美対策本部長(代表代行)から「どういったプロセスを経て、どういう状況でマインドコントロールは解けるのか」との質問があり、西田さんは「周りの方々が全力で対応して、ようやくなんとかなる、あるいはならないかもしれないというくらい難しい問題」だと述べた上で、例として、ある宗教の代表・教祖との関係を自ら問い直していく中で、最初は教義で正当化できたものの、何度も考える中で、教義や思想で説明、教祖の言葉を使っても矛盾が解決しなくなり、「もしかしたら騙されている、もしかしたら嘘かもしれない」という仮説が頭の中で湧き、その時に周りが受け止めることができ、未来に期待できた人は、そこから違った情報が集まり、ようやく脱会の意思を固めていくことができた人物のことを挙げました。さらに、そのあとの社会復帰のための支援がいろいろな必要になると述べました。

 西田さんは脱会のためには、臨床心理士や福祉、法律などのさまざまな専門家が共同で被害者や家族を支援するセンター構想が必要だと述べ、そういった方向に動かない限り、このままでは現状では変わらず、急に脱会者が増えたときに混乱が発生すると指摘。「これまでやってこなかった政府に問題がある」と述べ、これを機に構築すべきだ訴えました。