立憲民主党は5月16日、「性被害・児童虐待」に関する国対ヒアリングを国会内で開催。ジャニーズ事務所における性被害についてカウアン・オカモトさん、橋田康さんから話を聞くとともに、再発防止に向けて法律的な課題について整理をしました。ヒアリングには、法務省、警察庁、こども家庭庁の担当者も出席しました。
司会進行を務めた山井和則議員は、国会の場に出席されたことに感謝の意を表明。「お二人は立憲民主党と関係があって来られたのでは全くない。性暴力の再発防止に向けた手掛かりにしていきたい」と述べました。
ヒアリングで自身の性被害体験を告白したカウアン・オカモトさん、橋田康さんはそれぞれ、「今回自分の名前を出してジャニーズ事務所で起きたことを発表したことで、僕以外の被害者の方も声を上げてくださり、社会が僕たちの意見を聞いてくれる状況になっている。この状況のなかで僕たちのような被害者が今後生まれないための法律の整備がされることを強く願っている」「子どもたちが被害に遭わず、まっすぐにエンターテイメントの世界で走れる場を作るのは大人がやれることであって、自分もそこに携わっていきたい。子どもたちを守れるのは大人の行動だと思う。法律として形になればいい」と、今後の取り組みに期待を寄せました。
参加議員からは、「再発防止に向けてどのようなことを望むか」「苦しんでいる方が声を上げるための考えなどがあれば教えてほしい」といった質問や、保護者による虐待でないことから今回の事案は児童虐待防止法では虐待にあたらないことを問題視する声、法務省に対して今回のような事案を踏まえた性犯罪での公訴時効の在り方を問う声などさまざまな意見が上がりました。
カウアン・オカモトさんは、「自分の名前も顔も出し、なるべくなら隠しておきたかった体験をさらけ出したことで、このように法改正という形で周りの大人たちが動いたことが一番大きなことだと思っている。法改正が実現したからといってすべてが解決するとは思っていないが、こういうことの積み重ねがたくさんの人を救う一手になっていくと思う。この件が済んだから終わりではなく、新たに生まれてくる問題と向き合いながらその都度こうしよう、ああしようとなっていけば怖い思いをせずにきちんと声を上げられる環境が少しずつ整っていくのかなと思う」と発言。藤島ジュリー桂子社長が14日、性加害問題について謝罪したことには、「感謝したい。始まったなと思った。まずは第一歩。ここからそれぞれの立場の人間、特に被害者と、されていないけれど事務所に所属していて今苦しんでいるタレントたちのことを考えながら行動していただけることを期待している」と述べました。橋田さんは「沈黙を通していたトップの方が頭を下げられたことを、第一歩だと感じている。文面では事実かどうかについて濁していた部分があったが、そのままにしておくとずるずると話が長引いて行ってしまうのではないかと心配している。重要なのは、芸能界、アイドルの事務所としてトップを走り続けてきた会社なので、新たにこのように取り組んでいくという道標を示してもらうと多くが同じ方向を向けるのではないか」と話しました。
今回の事案を児童虐待防止法の対象に加えると通報義務がかかることへの受け止めを尋ねられると、カウアン・オカモトさんは「当事者である被害者、加害者以外に対して厳しく義務化するのは大事。家族と違って会社などにはより多くの人が関わっているので、一人でも(現場を)見て義務だとして動くようになれば加害者側も引き締まる。被害者が怖がるのではなく、加害者が怖がる法律を作るのは大事だと思っている」、橋田康さんは「通報義務があることによって、『そんなつもりはなかったのに』といった誤解などにより通報されるケースも起こりうると思うが、今までのことを含めて背負っていくことなのかなと思う」と答えました。
長妻昭政調会長は、「当事者がリスクを背負って、勇気を振り絞って声を上げなくとも周りが見て是正する仕組みが大事だ」と強調しました。