参院本会議で5月17日、「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案」について、古賀千景議員が代表質問を行いました。

 古賀議員は、これまでの日本語教育機関の審査制度の問題点、本法案の歴史的意義について永岡文部科学大臣に見解をただしました。永岡文科大臣は、受け入れを予定している留学生の日本語レベルに教育課程内容が適合していない、教員の数や必要な経験が不足しているなど教育事情に不適切な事例が見られたことを説明しました。そのため本法案では、日本語教育の推進に関する法律で示された検討事項を踏まえ、質の担保された日本語教育機関を認定する制度、認定機関で日本語を指導することのできる登録日本語教員の資格制度を実現することとし、「これにより日本語教育の質の維持向上が推進されるとともに、日本語教師の社会的認知を諮り処遇改善が図られる」等と答えました。

 古賀議員は、制限を超えて不法に留学生を就労させている日本語教育機関があると指摘し、最近では福岡市の日本語学校において、転校をめぐるトラブルにより、外国人留学生が金属製の鎖と南京錠で数時間にわたって拘束される事案が報じられたことを例としてあげました。こうした事案が起こらぬような仕組みを構築することが重要だと述べ、未然防止に向けた取組みについて、文部科学大臣及び法務大臣の見解を問いました。永岡文科大臣は、「適切な在留管理、研修、関係者への周知などを通じて人権侵害行為の未然防止を図るとともに認定後の毎年の定期報告において不適切な事案を把握した場合、指導、改善を求める」と答弁。斉藤法務大臣は、入管庁の実地調査において「適切な在籍管理を行われているか、また人権侵害行為が行われていないかなどを確認するとともに留学生から任意の協力を得ながら留学生に対する違法、不当行為の有無等、日本語教育機関の実態把握を行っている」等と話しました。

 また古賀議員は、「文化庁の調査によれば、法務省告示校で働く常勤の日本語教師の約7割が年収400万円以下です。告示校では、6割以上の日本語教師が非常勤であり、その方々の多くは更に低い収入だ」と指摘し処遇改善の必要性を訴えました。永岡文科大臣は、「本法案により、登録日本語教員の新たな国家資格を設ける」とし、研修履歴の蓄積、掲載などキャリア証明に資する仕組みを検討するほか、登録日本語教員を対象とした留学、就労、生活などの研修等を充実させその専門性向上を支援する取り組み等により「登録日本語教員の処遇改善につなげていく」と答弁しました。

日本語教育機関認定法質問要旨.pdf

日本語教育機関認定法230517.pdf