立憲民主党は5月26日、「地位利用第三者児童虐待防止法案(正式名称:児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律案)」を衆院に提出しました。
自分の将来や仕事などに大きな影響力を持っている大人から、性加害などの行為を受けた場合、その被害者は、被害を警察や周囲に訴えることが難しい場合があります。また、いまある法律では、「児童虐待」は保護者からの行為に限定しており、第三者からの性暴力やわいせつ行為は「児童虐待」に該当せず、仮にそれを知ったとしても通報義務の対象ではなく、「見て見ぬふり」をすることができてしまいます。
立憲民主党は5月16日、大手芸能プロダクション創設者による性加害の当事者から、法改正の必要性について訴えを聞きました。
被害の未然防止、早期発見のために何が必要かの議論を重ねた結果、経済的または社会関係上の地位に基づく影響力を有する第三者が行う児童に対するわいせつな行為等を、新たに「第三者による地位利用児童虐待」と定義し、発見者に警察への通報を義務付ける内容の法案を提出することに至りました。
提出後の記者会見で筆頭提出者である菊田真紀子衆院議員(子ども政策部門長・文部科学部門長)は、「長い間、この問題が社会の前面に出てくることはなかった。国会においても、防ぐことができなかったことを大変重く受け止める」「勇気を振り絞って悲惨な経験をお話頂いたことは、立憲民主党の国会議員一人ひとりがわが事のように捉えなければいけないと認識をした。一歩でも二歩でも、前進するための法律を作り、成立させる思いで、提出に至った。今後こういったことが、未来に夢を持つ青少年、子どもたちに起こることがないようにしっかりと対応していく」と話しました。
本法案の付託委員会である、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会筆頭理事の坂本祐之輔議員からは、「学校教育の現場、あるいはスポーツクラブの現場、スポーツ少年団の現場などで、子どもたちへの被害が起こっているのではないか。全ての国民の皆様方のお力をお借りしながら、子どもたちの健全育成のための重要な法案であり、超党派での成立を目指していく」と法案成立に向けた決意が述べられました。
最後に山井和則国対委員長代理より、「一言で言えばこの法案は『見て見ぬふり防止法案』だ。性的虐待を受けて泣き寝入りをされている方が今も多くいる。今回の被害をきっかけに、日本全体の泣いている子どもたちのために、再発防止をしたい」と、提出に至った思いを述べました。
さらに、早期成立に向けて自民・公明・立憲の3党実務者協議を模索していたが、自民・公明両党が直前で拒否したため、立憲民主党単独での提出となったことについて説明した上で、「被害者の方々の本当に悲願の法案であり、限られた日程ではあるが、審議して超党派で成立をさせていきたい」と述べました。
法案提出者は、菊田真紀子、山井和則、柚木道義、後藤祐一、大西健介、森山浩行、坂本祐之輔、早稲田ゆき、岡本あき子、湯原俊二、吉田はるみ、おおつき紅葉各衆院議員です。法案提出には、小宮山泰子衆院議員も参加しました。