参院予算委員会「G7広島サミット等現下の諸課題」に関する集中審議で5月26日、質疑に立った森本真治議員は、G7広島サミットはじめ、(1)賃上げと税や保険料負担の関係(2)リスキリングと労働市場の流動化(3)児童虐待防止(4)入管法――について取り上げ、総理の見解をただしました。

 広島選挙区選出の森本議員は冒頭、広島でのサミット開催を求めてきたことについて「私たちの思いは、各国首脳に被爆の実相に触れていただくことが、核兵器のない世界の実現に向けて前進していくと確信しているからだ」と表明。その上で、広島ビジョンをめぐっては、被爆者団体の方々などから落胆の声も上がっていることに言及し、「核兵器のない世界に向けて具体的な内容をもっと発信していかなければならない。これからどうするのか、余韻が冷めないうちに、例えば今年の8月6日、8月9日までに具体的な取り組みも示してほしい」と求めました。

 岸田総理は「こうした方向性をどのように具体化していくか、重要になると私も認識している。今後の国際会議等の日程を考えると秋の国連総会ハイレベル・ウィークを念頭に置きながら、次のステップを考えていくことが国際社会を動かしていく重要なタイミングになるのではないか。国連決議から30年、再び重要性を想起させる行事を日本がリードしていくことは重要だと考える。一つひとつ取り組みを進めていきたい」と述べました。

 森本議員は、「核兵器を保有している国、(核兵器開発が)疑われている国で加盟していない国はある。未加盟国にNPT(核不拡散条約)の重要性を理解してもらうこと、NPTを体制再構築していくと同時に、それを補完する形でのさまざまな機会を通じて核なき世界の追求をしていかないといけない。核兵器禁止条約もあらゆるチャンネルの1つとして活用、発信していくことが重要だと思う。G7を機にできること全部やっていこうという努力をやっていただきたい」と要請。また、「核兵器廃絶の取り組みは政府だけではできない。核兵器のない世界への取り組みについてはいっそう市民の力との連帯が必要。もっとコミュニケーションとっていってほしい」と求めると、岸田総理も「委員のおっしゃる通り。国だけではなく、さまざまな関係者が協力していくことが重要」だと応じました。

 森本議員は、核兵器廃絶の超党派議連の活動にも触れ、「日本全体、政治全体として前に進めるよう私も発信していきたい」と力を込めました。

 参院で審議中の入管法改正案については、「この法案で問われているのは、わが国の人道主義、人間の安全保障をどのように考えて実践していくかではないか」と提起。「政府が提出している法案は、国連人権理事会から国際法、国連人権理事会等から国際法違反との指摘を受けている。サミットでコミュニケを発出した直後にこの法案を通すことになれば国際社会にG7の一員として高らかに宣言した首脳コミュニケはなんだったのかと日本の信頼も失墜してしまう。私たちはコミュニケに沿った難民等保護法案を提出している。いったん立ち止まり、わが国が人間の安全保障にきちんと取り組んでいくことを世界に示していく難民政策を考えるべき。私たち広島の人間として、平和、さらに人間の安全保障に重きを置きながら政治を進めていかないとならない。世界に誇れる日本だという姿勢を示してほしい」と求めました。