立憲民主党は6月8日、「電気料金高騰対策についての提言」を西村康稔経済産業大臣に申し入れました。これは立憲民主党と日本維新の会両党の政務調査会長の下、実務者が数度にわたりエネルギー価格高騰に関する勉強会を開き、政府の電気料金高騰対策の問題点を踏まえ提言としてとりまとめ、両党で要請したものです。

 提言では政府の対策の問題点として、(1)事業者への補助金制度では、いわゆる「中抜き」の懸念があること、(2)一律の引き下げでは省エネへのインセンティブが働きにくいこと、(3)エネルギー高騰の度に電気料金を減額するような支援を行うことはできず持続可能性を欠くこと、(4)低所得者への支援が手薄なこと、等を指摘。電気料金対策について、(1)電気事業者への補助金投入でなく需要家(利用者)への直接給付とすること、(2)最終消費者の省エネ・節電へのインセンティブが働く激変緩和制度とすること、(3)一過性の対策ではなく、持続的に省エネ・節電に資する設備・家電への投資を促すこと、(4)価格高騰による影響が大きい低所得層への手厚い対応を行うことを原則とすべきと提案しました。

 具体的には、(1)本年10月から各家庭に対して月3千円の「エネルギー手当」を来年3月までの6カ月分を一括して給付することや、中小事業者に対しても使用電力(低圧・高圧・特別高圧)に応じたエネルギー手当で支援を行うこと(2)既存住宅の窓やサッシの断熱化への補助による支援、特に低所得者層へは賃貸も含め40万円を上限として10割を補助、(3)省エネ家電の買い換え支援策の導入、(4)政府が実施している中小企業向けの省エネ推進事業のさらなる支援を求めました。あわせて大手電力会社の不祥事の原因究明を徹底し、再発防止策や電力会社への処分、不正な情報閲覧事案に対する罰則の強化、真に公正な市場を実現するため引き続き電力システム改革を取り組むことを要請しました。

 

 申し入れ後、出席者が記者の取材に応じ、田嶋要ネクスト経済産業大臣は「エネルギー手当は電気代高騰に対する定額での支援で、これを長く続けるわけにもいかないため、構造を変えていくことにもう一つの大事な柱がある」と提言の趣旨を説明しました。また長妻昭政務調査会長は「エネルギー手当のような家計に直接届くやり方のほうが効果が高い。西村大臣もその通りと言っていたが 、様々議論した結果、時間がかかることから、いまの(事業者への補助による)支援をしているとのことだった。エネルギー手当のやり方をぜひ進めてほしいと申し上げた」と西村大臣とのやり取りを説明しました。

 この申し入れには、長妻政調会長のほか、日本維新の会との実務者協議にあたった田嶋ネクスト経済産業大臣、大西健介政務調査会長代理、山岡達丸経済産業委員会委員の各衆議院議員が出席しました。

20230608 電気料金高騰対策についての提言.pdf

20230608電気料金高騰対策についての提言(概要).pdf