立憲民主党は6月8日、第34回「次の内閣」閣議で、立憲民主党公務員制度改革PT(大島敦衆議院議員、事務局長座長)がまとめた提言(「活気に満ち醍醐味ある霞ヶ関と官僚の優化に向けて~優秀な人材を確保するための6つの課題と13の解決策~」)を正式に了承しました。

 公務員制度改革PTでは、国家公務員の若年退職者の増加と志望者の減少の問題について議論していましたが、昨年参議院選挙後のPT再発足に当たって、長妻昭政調会長から、今日そして将来必要とされる人材の不足が大きな問題となっていることから、官僚及び官僚機構の実情を踏まえた優秀な人材を確保するための方策についてもあわせて検討するよう指示がありました。そこで、有識者や人事院、内閣人事局、公務労協、現場の官僚の皆さん等からのヒアリングを行うとともに、議員間の議論を重ねてとりまとめたものです。5月10日に長妻政調会長に手交・報告し、8日のNCでの政策審査となりました。

 国家公務員の若年退職者の増加と志望者の減少を招き、人材確保に深刻な問題を提起している要因について、提言は、①「ブラック霞ヶ関」などと揶揄される減らない長時間労働、②職員の仕事のやりがいの低下と育児・介護等をはじめとする家庭生活との両立の困難、③民間企業等との人材獲得競争の激化、④社会・経済のグローバル化に伴う雇用の世界的な拡がりと流動化、⑤IT化など技術革新の進展による報酬の二極化と若年層を中心とする起業意識の高まり、⑥若年層における自己実現や生活環境を重視する働き方や生きがいに対する価値観の変容、⑦政権幹部に忠実な一部の側近官僚を中心とする官邸主導がもたらした各府省職員の政策に対する企画・立案意欲の低下、⑧再就職規制に伴う本省課長補佐級などのポストにおける在職期間の長期化の8項目を挙げています。

 そして、優秀な人材を確保するための「6つの課題」を挙げ、そのための「13の解決策」を提起しています。  ①「政策の企画・立案への官僚の意欲の低下」では、内閣府・内閣官房の業務の肥大化の見直しや縦割り行政の弊害の是正、国会対応業務等一定期間業務上の負荷が大きくなる事態に対し、機動的かつ大胆に必要な職員の従事を可能とすることを打ち出しました。②「採用試験応募者の減少」では、インターシップの機会の拡大、採用総数に対する合格者数比率の引上げ、社会人の中途採用枠や退職者の出戻り採用枠の拡大などを盛り込みました。③「若手官僚の離職増加」に対しては、メンター制度の積極的な活用による個別支援、無駄な業務の廃止・DXの推進などによる単純な事務作業の削減、やりがいのある仕事に就く機会を提供するを提案しています。  ④「長時間労働の蔓延」については、「災害等による臨時の必要がある場合」の時間外労働等の運用の厳格化、超過勤務の規制を民間企業と同様に労使関係に委ねること、人事評価における恒常的に超過勤務の多い部署の管理職の減点や重要性の低くなった仕事を減らす努力の加点、適正な超過勤務を前提とした人員の配置と増員を挙げています。⑤「公務員に対する国民からの信頼の低下」では、本府省の職員が国民・住民と直接的に向き合う業務に従事する機会の拡大、本省勤務フルリモート化等を措置し地方を副業先とする2地域勤務の検討、公務員の倫理の徹底と不祥事の根絶、公文書管理や情報公開の法制度違反への厳正な対応と国家賠償責任が発生した場合の幹部職員への求償のあり方の見直しを強調しています。⑥「任用制度の硬直化」については、本府省室長・課長級スタッフ職の増員とともに、任用制度を抜本的に改めることの検討を提案しています。

 公務員の人材不足は、行政能力の低下をもたらし、ひいては国民生活にも重大な影響することから、若手国家公務員の仕事と家庭生活の両立をはかることで、やりがい、働きがいが実感でき、魅力ある国家公務員の働き方と職場をつくっていくことが求められています。「優化」とは、優れたものに変える,優れた方向へ発展させるという意味です。提言では、インターシップの機会の拡大や社会人の中途採用枠、退職者の出戻り採用枠の拡大、メンター制度、地方を副業先とする2地域勤務の検討等多様な人材を確保するためのユニークな提案を盛り込んでいます。大島座長は、「時代にマッチしていない任用制度を見直していかないと、優秀な人材は海外に出てしまう。公務員制度そのものを抜本的に変える必要がある」と強調しました。

 立憲民主党は、国民の命と暮らし・財産を守り、その幸福を実現するため、今回の提言を実現をはかるとともに、引き続き公務員制度改革と公務サービスの充実・向上を目指していきます。

【提言概要】活気に満ち醍醐味ある霞ヶ関と官僚の優化に向けて.pdf

【提言本文】活気に満ち醍醐味ある霞ヶ関と官僚の優化に向けて.pdf