長年、弁護士としてさまざまな困難を抱えた人々の相談に応じ、支援しながら「国のあり方、制度のあり方、社会のありように大きな疑問を持つようになり、この国の根本的な課題に取り組む必要を感じ、政治の世界に挑戦することにした」と語る、しのだ奈保子北海道第7区総支部長が、今の社会に感じる課題、解決に向けた日々の取り組み等を語りました。

篠田奈保子 http://shinodanaoko.com/

脆弱な社会で生きていく困難さ

 今は、とてもリスクの高い社会です。昭和の社会で機能していた家族、会社、地域の3つのセーフティーネットが今はどれも壊れていて、何か1つ予想外のことがあると、すぐ闇に転落してしまう。本当に極端な方向に不幸が連鎖していく。そんな脆弱(ぜいじゃく)な社会だと思います。

 ひとり親の支援をしています。子どもを抱えて女性がひとりで仕事をし続けることの困難を実感します。労働者の支援もしています。労働環境がどんどん劣悪になり、低賃金で安定して生活を営めない方が増えています。家族の問題も切実で、DV被害など、支援が行き届かず家族の中の弱い人たちにしわ寄せがいっています。中小企業者の経営相談も受けますが、下請けいじめなどの中で、厳しい経営を余儀なくされています。

構造的な問題を抱える国の制度を変えたい

 この国には財力がある人、立場の強い人たちばかりの意見が取り上げられるという大きな構造的な問題があり、力のない人たちが追いやられています。その現状を変えていかなければならないと思っています。それには現場の個別の支援も大事ですが、政治・制度を変えていくことが、根本的な解決になると思っています。

 私は、特に働く女性の課題に取り組みたいです。それが子育て支援にもつながると考えています。女性が安心して安定して働き続けることのできる政策を実現したいです。特に介護・保育・障がい者支援などのケア労働といわれる現場には女性が多く、処遇改善が進んでいません。力を入れて取り組みたいです。

丁寧に子どもに寄り添った支援

 最近話題になっている離婚後親権制度は、あくまでも「子どもの福祉のためにどのような制度が良いのか」という、子どものための議論であるべきです。「親の権利」とか「親の平等」の話へと議論がずれている点に危機感を持っています。

 私は6人きょうだいの中で育ち、4人の子どもを育ててきました。子どもの育ちに多く関わってきたと言えますが、子どもの意思をどうくみ取るかは、大変難しいことです。子どもは一人ひとり全然違います。持って生まれたものも、発露の仕方も違う。だから、こうあるべきと断言できないのが、子ども支援の本来だと思います。 

 決めつけず、一人ひとりをみて、丁寧に子どもに寄り添った支援ができたらと思います。

 子どもは本来、生命力にあふれた存在です。希望を持てずに絶望感の中で暮らす子どもたちがいるのは、私たち大人の責任です。だから絶対に何とかしなければと思っています。

現場の声を聴く

 まずはしっかりと現場を見ること。そして現場の人々の声を聴くこと。声を出せない人たちの声を聴きとることに重点を置いています。どうしても政治活動をしていると、農協に行けば農協の代表者、漁業に行けば漁業の代表者、会社に行けば会社の経営者を伺うことが多いです。それだけではなく、漁業の課題であれば、実際に海に出て漁業をしている人に、農業の課題であれば、農業に従事している人などから声を聴くようにしています。なによりも現場に足を運ぶ活動を意識しています。

 そして皆さんに「本当にこのままで良いのですか?」と問いかけていきたいです。市民の皆さんに当事者として、この問いかけを受け止めていただいて、一人ひとり皆さんの頭で考え選択してほしいです。