長妻昭政務調査会長は7月6日、定例の記者会見を国会内で開き、マイナンバーカードを中心に取り上げ、マイナンバー保険証を取得するかどうかを本人が選択できるようにすべきだと強調。「任意と言いながら、健康保険証がマイナンバーカードに一体化される2024年秋以降、事実上マイナ保険証、マイナカードを持たないと保険証がなくなるようなことを前提に進める、基本的に強制扱いになっているのは危うい」と述べました。
カードを持たない人などに発行される「資格確認書」をめぐっては、取得には申請が必須であることから、政府が主張するように自動的、隙間なく送付されることになるのかと疑問視。保険者が必要と認める時は本人からの申請によらず交付ができるとしているものの、3千を超える保険者が要件を満たしているかを判断する必要があることから、「今の時点で隙間なくできるとは思えない。法律を変えたくがないために意固地になり面子にこだわっているのではないか。今後大きな論点になる」と述べました。
処方箋を電子データ化し、その情報を医療機関と薬局がオンラインでやりとりする「電子処方箋」の運用にあたっては、紐づけを間違った際の懸念を表明。そもそも本人確認のためのマイナ保険証を読み込むカードリーダーに欠陥があるとの声を多く聞いているとして、問題があるのであればきちん説明すべきだと求めました。加えて、2026年の導入を目指す新しいマイナンバーカードについては、政府は新しい読み取り機に交換する可能性にも言及していることから、欠陥があって交換するのかどうかについてただしているが明確な答弁がないと述べました。
一方で、マイナ保険証が普及しないと医療ビッグデータを分析できなくなるのではないかと声があることには「誤解であり、まったく関係ない」と指摘。「すでに私たちの医療情報は名前、個人特定情報は除外され収集され、一定程度ビッグデータとして活用されている。マイナ保険証を見れば自分の過去3年間の病歴などレセプト情報が見られるという利便性はあるが、リスクも大きい。仮にマイナンバーカードが取られて暗証番号4桁と合致すれば、誰でも自分のスマホで他人の病歴などが簡単に見られる。国民番号を確認できるICチップ付きのカードを健康保険証として利用できる制度は主要7カ国(G7)のなかで日本以外ないと政府も答弁した。機微に触れる病気の情報は別に管理にする必要があるのではないか。私たちは、リスクとベネフィットを比較してマイナカードを持つか否かを本人の意思に任せてほしいと言っている。あまりにもリスクが大きく、政府はいったん立ち止まっていただきたい」と述べました。
また、日本の労働生産性がOECD諸国のなかで20位以下になっている大きな理由の1つとして、日本の政府、民間のデジタル化、IT化の遅れを挙げ、「これは進めなければいけないが、機微に触れる病気、医療の情報の取り扱いを間違えると、国民の皆さんの不信を招き、むしろ逆行することになりかねない」との認識を示しました。デジタル庁のスローガン「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」にも触れ、「私はサンプル調査をやっていただきたいが、マイナンバー総点検本部でも日本年金機構のマイナンバーと基礎年金を結びつける作業を一切やらないと担当者から聞いている。誇大広告と言わざるを得ない。看板に偽りありだ」と断じました。