何度も選挙に挑戦し、現在は政治活動に支障がないよう介護施設で夜勤専属として働きながら活動を続ける、おやまだ経子石川2区総支部長。多彩な経験を交えながら、政治に対する信念と情熱を語ってもらいました。

自死遺族としての経験

 私が20歳の頃、寿司屋を経営していた父親が自死しました。その後、子どもが生まれワンオペで子育てをしていました。この子が将来20歳になった時、生きやすい社会であってほしいと思ったことを思い出します。その後、子育てのかたわら、行政書士の資格を取り、資格予備校での講師やタレント活動をしていました。その時、多くの女性から「おやまださんを知って資格を取ろうと思いました」と声をかけていただきました。私のチャレンジが、「他の人のチャレンジにつながるんだ」と思い、嬉しかったことがずっと心に残っています。その後、女性政治塾に参加しました。「政治なんて変わらないと思っていたけれど変えたいと行動している女性がこんなにいる」「チャレンジすることによって他の誰かの希望につなげていきたい」「私みたいな悲しい自死遺族を減らしたい」との思いから、次第に政治を変えていきたいと思うようになりました。

 負の連鎖という言葉があります。自死遺族として生きる経験から、自殺対策はもちろんのこと、その根本でもある孤独・孤立の問題、ひきこもりなど政治の課題は非常に多いです。また、8050問題(80代の親が50代の子どもの生活を支える)などもあります。私の息子はもとより次世代の子どもたちのために負の連鎖を断ち切り「あなたは一人じゃないよ」との思いを込めて現在、「笑顔あふれる未来へ つねに一緒に」との言葉を伝えるために政治活動を続けています。

 県内で活動をしている時、ある方から「ひきこもりになった時に、(自治体に)相談に行ける窓口がない」「冷たい制度の壁にぶつかった」との声を伺い、とても印象に残っています。また、私が父親の自死を公言して活動していることからか、前回の参院選中に「この間、父親が自死をし、それまで他人事ととらえていたと痛感した」と連絡がありました。実は、人に「言えない」だけで、困難を抱えている方がたくさんいるということを連日、感じています。私の経験を話すことによって、声をかけてくれる人がたくさんいる。だからこそ、人に「言えない」声なき声を、政治の場に届けたいと思っています。

自民党は「保守」ではない

 これだけ少子化が叫ばれているにもかかわらず、若者の自殺率は先進国の中で日本が1位です。こうした社会を変えるためには、自己責任論ではなく、国が責任をもって、人に冷たい法制度を人に寄り添う法制度へと変えていかなければなりません。

 石川県は「保守王国」と言われます。しかし「保守」であれば、守るべきものは守らねばならない。守るどころか今の政治は守れていないのが現状ではないでしょうか。石川2区内の自治体は「住みやすい街ランキング」でよく上位に位置しますが、石川県は40代の働き盛りの男性の自殺者数が増加し、20代の若い女性はほぼ県外に出ていく選択を取っていることが大きな問題になっています。北陸新幹線開通や道路が増えることでもちろん一時的に活気づくとは思いますが、令和の時代だからこその持続可能な政策をもっと優先すべきであると考えます。例えば、なぜ若い女性が県外に出ていってしまうのか、そこには男性との賃金格差、就職先の選択肢の少なさ、男女の無償労働時間の偏りがあると思います。私も介護士ですが、保育士さんなども含め、女性が多く働くケア労働の待遇改善は、政治の課題です。

笑顔あふれる未来へ

 石川県は、第1次産業の担い手不足も深刻です。担い手がいない、後継者がいないということは、結局は私の原点である「孤独」の問題に行きつくと思います。持続可能な地方をつくるためにも、一過性ではない、地域循環型の施策を行うことが必要です。「笑顔あふれる未来へ」、一緒につくっていきましょう。

石川県連の仲間と田植え。写真左から、おやまだ総支部長、近藤和也衆院議員、荒井淳志1区総支部長。