【コメント】「健康保険証の廃止ありき」で突き進む岸田政権に強く抗議する


立憲民主党 政務調査会長
長妻 昭


 本日、岸田総理は、来年秋の健康保険証の廃止について、廃止方針を堅持する考えを会見で表明した。わざわざ会見を開く意味があったのか甚だ疑問だ。多くの国民は保険証廃止の延期・撤回を求めており、与党内からも同様の声が上がっていた。いったいこれまで、どんな国民の声を聞いたのか?「保険証の廃止ありき」で進む岸田政権に強く抗議する。
 また、来秋の保険証廃止は、状況によっては見直すとの趣旨の話もあった。しかし、現時点ではっきり方針を表明しないと無益な資格確認書の作業が進んでしまいかねない。

 私たち立憲民主党は、デジタル化は日本にとって喫緊の課題であると考えている。しかし、国民の不安を置き去りにして強引に突き進むと、かえってデジタル化が後退してしまう。これは他のデジタル先進国の貴重な教訓である。政府は、個人情報は国民の所有物であることを自覚した上で、「不安払拭なくしてデジタル化なし」を肝に銘じなければならない。
 河野デジタル大臣が昨年10月に突然、「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」ことを打ち上げ、先の通常国会でトラブルが頻発し不安が高まる中、政府・与党が健康保険証を廃止するマイナンバー法等改正案の成立を強行した。このことが、現在の混乱を招いている。
政府は、マイナンバーカードは希望する人が持つと任意であることを強調していたが、このままでは、事実上の強制となってしまう。「リスクと便益(ベネフィット)を自分で判断して、マイナンバーカードを持つか否か、自分で判断させてほしい」ということを言いたい。

 岸田総理はマイナ保険証を持たない人向けに発行する資格確認書について、保険者が更新時期を最長5年の範囲で設定できるようにするほか、マイナ保険証を保有していないすべての人に交付することを示した。しかし、今の健康保険証と何が違うのか理解に苦しむ。膨大な資格確認書の交付には事務負担やコストが計り知れず、初めての資格確認書の膨大な事務作業でミスの多発や混乱が予想される。それをあえてやるのは理解不能だ。また、保険証と異なり、資格確認書はマイナ保険証と双方を所持することはできず、カードリーダーによる読み取り不能の場合は対応できなくなる。

  立憲民主党は、次期臨時国会の冒頭に健康保険証の廃止を延期する法案を提出することを検討している。過ちては改むるに憚ること勿れと言う。岸田政権はまずは、本法案に賛成して私たちの提案も聞いて国民の信頼が得られるデジタル化に舵を切ってほしい。

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