立憲民主党は8月24日、「子ども予算強化キャンペーン」全国行脚の第1弾として、兵庫県尼崎市の「あまがさき・ひと咲きプラザ」を視察し、取組みについて意見交換しました。党からは、泉健太代表、井坂信彦衆院議員、宮城亜輻尼崎市議が参加しました。また、松本眞尼崎市長も同席しました。

 「あまがさき・ひと咲きプラザ」は、2015年に廃止された「聖トマス大学」の跡地に、市民の学びや育ちを総合的に支える拠点として整備されたものです。施設内には、子どもの育ち支援センター「いくしあ」、尼崎子ども家庭センター、学校でも家でもない若者の居場所「ユース交流センター」、データとエビデンスで子どもたちを支える「学びと育ち研究所」、「子どものための権利擁護委員会」、不登校の児童や生徒を支援する「ほっとすてっぷ」などが整備され、2019年に完全オープンしました。

 

 尼崎市の野島裕介・子ども政策監は、尼崎市の目指す方向性について「子ども・若者を政策の中心に置き、子どもの教育・福祉を充実させることによって、街全体を活性化させ持続可能な状態にしていくことを目指し、『子どもファースト』をキーワードに、さまざまな政策を打ち出してきた」と述べた上で、「地域的な課題も含めさまざまな課題があるが、子どもを支援していくことで解決できるのではないか。教育政策を通して街の課題を解決できる人を育てることができるのではないか。その中心施設が『ひと咲きプラザ』だ」と説明しました。

 泉代表は、「この尼崎市での取り組みを良い事例として横展開で全国に広めていくことは極めて大事なこと。皆さんが、子どもを大事にする行政の先頭を走って頂いている」と述べました。その上で、「各自治体が子育て支援で頑張っている。良い競争ということもできるが、若者世代の取り合いという面が出てはならない」として、「子どもの育ちや権利をしっかり守ろうという視点なのか、自治体間競争の中での政策なのか、そういうところを私たちもよく見ながら、真に子どもたちのためのものでなければならない」として、皆さんと一緒により良い子どものための行政を作り上げていきたいと述べました。

 松本市長は、「中核市は児童相談所を設置できるが、施設ができるまでは国から交付税が受けられないことが課題」と指摘。新しい組織を作るとなると、人の採用や育成、ノウハウの蓄積など、事前の準備と費用が必要になると話し、「この児童相談所の設置に加え、不登校児に向けた新しい学校の形も模索している。ぜひ準備段階から支援をしてもらえる仕組みにしてほしい」との要望がありました。

 市の職員から施設の概要についての説明を受けた後、松本市長らとともに、「いくしあ」「ユース交流センター」など施設内の視察を行いました。「いくしあ」では、学校に行きづらくなってしまった子どもたちのための学習支援を行っている教室を視察。「ユース交流センター」では、友だちと勉強や遊ぶために施設を利用している子どもたちの様子を視察しました。泉代表は、施設を利用している子どもたちに、「ここにはいつも来るの?」「しっかり勉強しているね」などと声を掛けました。子どもたちからは、「友だちと一緒にいられることが楽しい」などの答えが返ってきました。

 視察終了後、感想を求められた泉代表は、「例えば、児童相談所を設置すると決めても、設置されてからでないと、国から支援が受けられない。外国人の子どもたちへの教育は市の持ち出しになっている。不登校の子どもたちが増えている時に、自治体として施設を設置した場合の費用も足りない」と課題が山積みであることを指摘。岸田政権での子育て政策・少子化対策は予算と財源を明確にしないまま、 防衛費ばかりが積み上げられていく状況だとして、「希望の持てる子育て環境を提供できていない。もっと子ども予算の強化を政府に求めていきたい」と述べました。