東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に関する閉会中審査が9月8日、衆参両院で開かれ、衆院では長妻昭、落合貴之、近藤和也各議員、参院では徳永エリ、田島麻衣子両議員が質問に立ちました。同日の審議は立憲民主党が開会を働きかけたもので、当初予算委員会での岸田総理の説明を求めていましたが合意に至らず、経済産業、農林水産両委員会の連合審査となりました。

 長妻衆院議員はまず、岸田総理が全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長との会談で「今後数十年の長期にわたろうとも全責任を持って、対応することを約束する」と発言したことを受け、「長期に、全責任を負うというが、どう担保するのか。何らかの法的枠組みを考えてもらいたい」と強く要請しました。

 中国の水産物禁輸をめぐっては、野村農水大臣の「全く想定していなかった」との発言をあらためて取り上げ、これは事実かと質問。野村農水大臣は「私が個人的な話をしたということで、そういう可能性も想定して被災地の水産物限定でなく全国での水産物についても支援可能な基金による300億円の風評影響対策を講じてきた」などと答弁。長妻議員は「役所は想定していたと私も聞いた。しかし大臣は個人的には想定していなかった。役所との連携が取れていたのかどうか、大臣が事前に想定していれば事前の根回しや努力ができた余地があったのではないか。危機管理がなさすぎるのではないか」と指摘しました。

 質疑ではそのほか、第三者機関による処理水に係る放射性物質の濃度測定や、観光業や飲食業など水産業に限らない風評被害対策、禁輸を強化した中国や香港、マカオ等に対する政務三役による積極的な対応、風評被害につながるような偽情報拡散に対する対策強化の必要性等を主張。西村経済産業大臣は「賠償の範囲は、期間、地域、業種を画一的に限定することなく被害の実態に見合った必要十分な賠償を行う」「被害の実態に見合った必要十分な賠償が迅速に、適切に実施されるよう東京電力をしっかり指導していきたい」旨答えるにとどまりました。

 午後には参議院で審議が行われ、徳永エリ参院議員が、北海道のほたての生産量の4分の3を中国に輸出してきたことを例にあげ、国として「一国依存のリスクを想定すべきだった」と指摘しました。
 野村農林水産大臣は、2019年から販路拡大計画を作り取り組みを進めていると説明しました。徳永議員は、「リスクの分散をはかること、発生した時の迅速な対応」の重要性を強調し、「政府が漁業者を守る時に現場任せではなく、速やかに対応できるよう」政府として取り組むよう求めました。

 田島麻衣子参院議員は「ALPS処理水の海洋放出は過去に例があったのか」と質問したところ、西村経産大臣は「海洋放出自体は実績があるが、これだけ大規模の廃炉が世界に例がない。そこで発生するALPS処理水の海洋放出は初めてのこと」と答えました。

 また田島議員は、海外の一部メディアがALPS処理水の呼び名を「放射性水」と呼んでいることを指摘しました。これに対して磯崎官房副長官は「一部の地域の発言、海外メディアの発信については、科学的根拠に基づかないものがあり、適宜抗議をしている」ことを明らかにしました。